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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

小沢一郎vs検察庁 最終ラウンドへ 石川知裕衆院議員逮捕

2010年01月16日 | 日本の政治
 ま、いつものことながら、石川議員も小沢幹事長も、推定無罪が働くことを確認して。

 小沢氏への疑惑は前にも書いたように、単なる政治資金規正法違反の問題を超えて、贈収賄事件の様相を呈しています。朝日新聞はそのことを書いていませんが、検察庁のめざす本丸は、実は肝沢ダムの下請け工事に関して水谷建設から金を受け取ったのが賄賂といえるのかどうか。野党の一国会議員に過ぎない小沢氏にダム入札に絡む職務権限があったといえるのでしょうか。刑法で必ず勉強しますよね、ここ。

 小沢氏の師匠、田中角栄元首相は、ロッキード事件で首相には航空機選定を含む広範な職務権限があると判断され、有罪が確定したのですが、国会議員の弟子は逃げ切れるのか。

 まさに、小沢氏の事務所や他のゼネコンの事務所が捜索したくて、石川議員の事件は利用されているわけです。刑事訴訟法で勉強する別件逮捕・勾留の問題は、あり、といえますよね、法定刑からして、受託収賄罪の方がはるかに重いんだから、そっちが本件で、政治資金規正法違反の被疑事実は別件といえる要素十分です。

 さらに、思い返せば、昔、「造船疑獄」(疑獄とは贈収賄という意味)事件があって、当時の巨大与党、自民党の幹事長が田中角栄氏のボス、佐藤栄作氏でした。この人の起訴を「指揮権発動」でストップしたのが、犬飼法相。

 この事件、憲法の国政調査権で必ず勉強しますよね。

 そうやって思い起こしていくと、今回の一連の事件は、司法試験受験生にとっては格別に味わい深いわけです。常に報道を自分の勉強している内容にあてはめながら生活するといいですよ>受験生(ほんとに予備校講師だ)。


 佐藤氏は日本の首相の在任最長記録を後に打ちたて、ノーベル平和賞をもらっているが、実は、最近話題の日米核持込み密約の張本人だったりする。彼を刑事裁判に持ち込めていたら、日本の戦後史はまるで違ったものになっていたのです。
 当時の検事たちは悔しかったでしょうね!

 だから、与党になったばかりとはいえ、政権与党の幹事長に襲い掛かる検察庁の意気込みは本物、と考えていいのではないでしょうか。それに対して千葉法相はどう対処するのか。

 ここで、東京地検が小沢氏の影を踏みそこなうと、3月、6月には検察人事の季節を迎えるわけで、政権与党を事実上動かす小沢氏側のドラスティックな反撃も考えられるところです。

 小沢氏が突っ張りつづけられるのか、それとも、検察庁ががぶり寄れるのか、それは検察人事前決着なのか、それとも、参院選後決着なのか、まさかの参議院選挙直前の政権与党幹事長の身柄拘束は、あり、なのか。

 逆にまさか石川議員を人身御供として差し出すことで小沢vs検察庁は「示談」済みなのか。

 俄然、緊張と興奮の権力ドラマ、最終章、終わりの始まりです。



写真 本文と全然関係ないけど、下の写真の客体とこの写真の人物が、同性とは・・・
人生は玄妙なり


東京地検、石川議員ら逮捕 小沢氏団体の土地問題 朝日新聞 2010年1月15日23時41分
 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が2004年に取得した土地の購入原資4億円が政治資金収支報告書に記載されていない事件で、東京地検特捜部は15日夜、事務担当者だった元秘書で衆院議員の石川知裕(ともひろ)容疑者(36)=同党、北海道11区=と、小沢氏の元私設秘書の池田光智容疑者(32)を、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕した。
 石川議員は任意の事情聴取での説明に虚偽が多く、特捜部は、証拠隠滅や自殺の恐れがあると判断。任意捜査の方針から一転し、逮捕に踏み切ったとみられる。通常国会が18日に開会される前で国会議員の逮捕許諾請求の必要がなく、検察当局はぎりぎりのタイミングで逮捕を決断した。
 西松建設の違法献金事件で陸山会の会計責任者だった公設第1秘書・大久保隆規(たかのり)被告(48)が昨年3月に逮捕・起訴されてから10カ月。小沢氏側の政治資金をめぐる捜査は現職国会議員の逮捕に及んだ。同法違反容疑での国会議員の逮捕は、03年の坂井隆憲元衆院議員以来7年ぶり。
 特捜部の調べでは、石川議員は大久保秘書と共謀のうえ、04年10月29日、複数口座を使って分散入金した4億円で、東京都内の宅地を約3億4千万円で購入したが、04年分の収支報告書にはこの4億円を収入として記載せず、支出総額も約3億5千万円を過少に記載した疑いが持たれている。
 また、池田元秘書も大久保秘書と共謀し、05年分の収支報告書の支出総額には約3億5千万円過大に記載し、07年分の収支報告書には4億円過少に記載した疑いがあるという。特捜部は、大久保秘書についても同容疑で逮捕状を取っており、16日以降に逮捕する方針だ。
 石川議員は昨年12月27日に1回目の任意の事情聴取を受けた。4億円の不記載は認めたが、原資については「小沢氏の個人資産で、紙袋で受け取った」と述べ、資金を分散入金した理由も明らかにしなかった。だが、特捜部は、石川議員が「胆沢(いさわ)ダム」(岩手県奥州市)工事の受注に絡んで中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県)から裏金を受領し、土地購入原資に充てた疑いが強いとみている。
 特捜部は小沢氏本人にも聴取を要請したが、小沢氏側は「必要性がない」と拒否。特捜部は、石川議員から2回目の聴取をした13日、陸山会や石川議員の事務所、胆沢ダム本体工事を元請け受注した大手ゼネコン「鹿島」などを一斉に家宅捜索した。そのうえで14日にも石川議員から3回目の聴取を行ったが、石川議員は否定を続けたとみられる。
 一方、水谷建設の元幹部は特捜部の聴取に、胆沢ダム関連工事を下請け受注した時期と重なる04年10月と05年4月に、大久保秘書の要請を受けて、5千万円ずつ計1億円の現金を石川議員と大久保秘書に渡したと供述した。特捜部は、土地取引と同時期の1回目の5千万円について、元幹部が証言した授受日の直後に陸山会口座に同額が入金されていることから、分散入金された4億円の購入原資の一部になったとみて捜査している。
 国会会期中に国会議員を逮捕するには、国会に逮捕許諾請求を提出し、許諾の議決を得る必要がある。検察当局は、国会審議への影響を配慮して許諾請求は避けたい考えで、土日を除いて最後の機会となる15日に方針を決断した。

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7 コメント

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判例六法 (もと)
2010-01-21 01:16:46
 数年前に、有斐閣の判例六法がポケット六法と同じサイズに小型化され爆発的に広まったようです。
 当てられたときのためでもありますし、新司法試験合格者の中に勧める人がいます。
 短答が憲民刑だけでなく、行政法、商法、民訴、刑訴まで範囲に含まれるようになったので、それらの知識を1冊でチェックすることができるので便利な面もあると思います。
 
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そうなんです。判例六法なんです。 (ray)
2010-01-21 00:36:46
検察捜査に関しては同感です。

試験が判例重視だからということではなくて、授業で当てられた時のためですね。それなら模範六法のほうが使い勝手がいいのですが、装丁のセンスで判例六法を買ってしまう。私も院生の人たちになぜ判例六法?と質問したのですが確たる理由がないんです。

受験のプロなら受ける試験によって新旧それぞれの司法試験用六法を買わないとダメなんですが、むちゃくちゃ高いし、そのくせ判例載ってないし、そこまでやらなくても新司法試験は通ってしまうということなんでしょう。
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Unknown (vncello)
2010-01-19 22:03:34
もちろん政治権力の腐敗を正すことは検察庁の重要な役割だと思います。

国策捜査とは、隣り合わせということだと思います。

ただ、検察が国策調査を行うのが常という意識が国民に漂うとしたら、墓穴を掘ることになると思います。

話がまったく変わってしまって申し訳ありませんが、最近、塾で気付いたのですが、最近のローの学生さん?だと思うのですが六法は判例六法を使っている方が大変多いのですね。
判例重視の影響でしょうか?
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検察庁 (ray)
2010-01-18 12:44:30
 検察庁が権力者に踏み込めなくなったら、世も末なのですから、小沢氏を追及することはいいことだと思うんですよ。

 ただ、検察庁が国策捜査といわれるようなおかしな強制捜査をする感じはもう長いことあって、小沢氏への追及も手放しでは誉められないんですね。

 おっしゃるようになぜこの時期に小沢氏だけ?という謎を解明する鍵が、アメリカと自民党の意向という要素で説明つくのではないか、とか考えてしまいます。
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小沢氏VS検察 (vncello)
2010-01-18 01:14:09
小沢氏を引きずりためにのみ専心しているのではないでしょうか。
かつての田中角栄や金丸、竹下のときに絶対的な権力により腐敗した政治権力を浄化させるための目的は正当化される側面があったということがあったと思いますが、今の政治的過度期で自民党時代には期待もできなかった政策が実行に移されようとしている最中で、検察はこの国をどうしようと思っているのでしょうか。

どこかの阿呆な大統領が「無限の正義」という名の下にアメリカをぼろぼろにしていったわけですが、日本は検察と一部政治家の面子の争いで瞑想を続けるとしたら非常に国民は不幸ですね。今の検察は阿呆なブッシュと同じように「過剰な正義」に熱を浮かされているのではないでしょうか。
小沢氏の政治資金の流れを透明性を図るとともに、検察権力の行使についても国民による監視の目の強化を図るべきではないでしょうか。

ところで新聞に東京地検幹部の談話として「小沢氏は司法を軽視している」というものが載っていましたが、検察は自分たちの権限行使を司法権と勘違いしているのには驚きました。

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国策捜査 (ray)
2010-01-17 02:19:15
 逮捕して小沢氏の3人の元秘書を抑えたかったのでしょうね。全員を疑心暗鬼にすることができるし、小沢氏も強気な発言を繰り返していますが、内心は大変不安な状態だと思います。身柄拘束の圧迫力は想像を絶するものがありますから。

 それだけに、いわば形式犯に過ぎない違法行為で国会議員まで逮捕するというのは異常です。国策捜査、ではなくて、検察のための検察捜査なのだと思います。全官僚組織の代表として鉄槌を小沢氏に振り下ろす、くらいの気持ちでやっているのではないでしょうか。

 俺に、俺たちに、たてつく奴は許さない。そういう体質の両者の対決ですから興味深いのですが、小沢氏はあくまで個人だし、鳩山内閣に指揮権発動するほどの迫力もありませんから、検察またもやりすぎ、の感は否めません。
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今、なぜ? (vncello)
2010-01-17 00:52:04
お久しぶりでございます。

「推定無罪」という言葉を、誰に理解させたいかと思えば、まずはメディアですね。

ところで、なぜ東京地検は今この時期に逮捕までする必要があったのでしょうか?
小沢氏側がこの件で山を越えるとなると、なお小沢氏への権力集中がなお一層進む可能性もあるわけですから、
時を経るに従って、国民も、必ずしも検察=正義というイメージを薄れさせていると思われます。
こういう勉強をしていればですが、今回の逮捕の適否は別として、検察権力というの強大な国家権力であるということを感じます。
小沢氏の政治権力も同様ですが・・・
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