【3月6日 AFP】(更新)ロシア国内64か所の町や都市で6日、同国のウクライナ侵攻に抗議する反戦デモが行われ、4644人が拘束された。独立監視団体「OVD Info」が明らかにした。

 警察当局によると、首都モスクワでは「無許可の抗議」に約2500人が参加し、1700人が拘束された。同国第2の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)では約1500人がデモを行い、750人が拘束された。

 先月24日のウクライナ侵攻開始以降、ロシアで反戦デモで拘束された人は1万人を超えた。(c)AFP

 

 

[リスボン/グダニスク(ポーランド)/ヘルシンキ 8日 ロイター] - 人権監視団体のOVD-Infoによると、ロシア警察は8日、ウクライナ侵攻に反対する抗議デモの参加者100人超を拘束した。6日の反戦デモでは5000人超が拘束されたという。

OVD-Infoの声明によると、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日以降、ロシア警察は国内の反戦デモの参加者1万3000人以上を拘束している。

ウクライナ侵攻を巡り、ロシア国内と海外のメディアの報道姿勢は大きく異なっているが、多くのロシア国民は政府に好意的なメディアから情報を得ている。

ロシアの世論調査機関VTsIOMによると、プーチン大統領の支持率は2月27日までの1週間に6%ポイント上昇し、70%となった。ロシア大統領府に調査結果を提供しているFOMでも、大統領の支持率は同期間に7%ポイント上昇し71%となった。

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ロシア西部サンクトペテルブルクからフィンランドの首都ヘルシンキに向かう国際列車には連日、およそ700人のロシア人乗客が詰めかけ、満席の状態が続いている。フィンランドの交通運営当局によると、侵攻開始以前にはこの路線はほとんど空席だったという。欧州連合(EU)とロシア間の航空便の運航が停止されたためとみられる。

また、フィンランドのほか、国境を接する隣国エストニアやラトビアに向かう車が数百台に達し、国境で長い車列を作っているという。

 

 

ウクライナ侵攻
2022年3月11日 11:00 (2022年3月11日 23:12更新) [有料会員限定] 日本経済新聞

柳井氏は2日、日本経済新聞の取材に応じ、ロシア事業を続ける意義について語っていた

ファーストリテイリングは「ユニクロ」50店を展開するロシア事業の一時停止を決めた。「衣服は生活必需品」(柳井正会長兼社長)との考えのもと、当初はロシア事業を継続する方針だった。しかしウクライナ情勢が混迷を深め、国際社会でロシアへの批判が強まるなか、修正を余儀なくされた形だ。

「企業はそれぞれだと思う。そこに消費者がいる以上はサービスを提供する。当社がアップルのように米国企業ならすぐ止めるかもしれない。でもロシアは日本のすぐそば。ロシアの人々が日本に悪感情を持つことがいいことなのか」。柳井氏は2日に日本経済新聞の取材に応じ、ロシア事業を続ける意義についてこう語っていた。

だが方針は一転し、21日から全50店と電子商取引(EC)サイトを休止することを決めた。

ウクライナに侵攻したロシアに対して国際社会の批判は強まっている。ファストリの事業継続を巡る反応も、柳井氏の想像以上に厳しかった。

駐日ウクライナ大使はユニクロのロシア営業継続方針について「残念だ」と名指しで批判していた。海外でも批判的な受け止めが多く、不買運動の動きも出ていた。

休止決定後、米国のラーム・エマニュエル駐日大使はツイッターに「さすがファーストリテイリングとユニクロ、ロシアに英断を下しました。また一つの大企業が私たちとともに立ち向かっています。次に続くのは誰でしょう?」と投稿した。

ファストリの2021年8月期の欧州事業の売上高は約1100億円。欧州の全117店のうちロシアは4割超を占め、欧州最大の店舗もモスクワにある。期待の成長市場だったことも、ファストリの事業継続の判断の背景にはあったようだ

 9日、爆撃を受けた産科病院の外を歩く女性(ウクライナ南東部マリウポリ)=AP

しかし、侵攻開始から2週間以上がたち、ロシア軍は病院といった民間施設にまで攻撃を強めている。「一般のロシア国民の生活を助けるということが理解を得られなくなっている」(ファストリ関係者)。社内でも事業継続のリスクやレピュテーション(評判)リスクについて急速に議論が進み、社外取締役などから方針転換を求める声が出ていた。

「独立自尊の商人」。柳井氏は自らをこう表現する。21年秋の会見では「自らの信念と現実が違っていたら、勇気を持ってそれは違うと言わないといけない」と強調した。「安易に政治的立場に便乗することはビジネスの死を意味する。これが商人としての私の信念」と語っていた。

柳井氏は衣服は生活必需品との考えのもと、周囲の批判にも屈せず店を開け続けることを重視している。11年の東日本大震災では電力不足からの節電要請があっても、売り場の照明は落とさずに営業を継続した。

また、20年春の新型コロナウイルスの緊急事態宣言下では多くの企業が営業自粛する中、商業施設に入るテナント店以外の自前店舗を開け続け、コロナ禍中に旗艦店も新規開業した。当時、多くの消費者はこうしたユニクロの行動を支持した。今回、「ロシアの人々にも生活する権利がある」(柳井氏)としたことは、これまでの姿勢とも一貫するものだ。

ただ、政治とビジネスは不可分の関係になっている。欧米では企業やスポーツ選手も政治的なスタンスを示すことが当たり前だ。中立の立場を示しても、曖昧な姿勢ととられかねず逆に批判も受けやすい。

ファストリは海外での売り上げが国内を上回る日本の小売業ではまれな存在だ。ファストリもウクライナに対しては、約11億5000万円と衣料品約20万点の寄付という日本企業で最大規模の支援を打ち出している。

だが、ロシアでの事業継続ばかりが目立ち、評価する声は少ない。柳井氏の信念が世界には通じなかった格好だ。今回のユニクロの動きには、多くの日本企業にとって教訓が含まれている。