NHK 「“あれはトラウマの再演だった” AVに出演した、ある性被害者の告白」より
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アダルトビデオ(AV)のような性的動画の撮影や配信で出演者の心身や私生活に被害が起きるのを防ぎ、救済するための新法案「AV出演被害防止・救済法」が2022年6月14日、参院内閣委員会で全会一致で可決され、明日15日の参院本会議で可決、成立する見込みです。
これまで、ほぼ唯一の確実な被害救済手段だったのが、未成年者の契約の取消権だったのですが、今年4 月 1 日に民法改正で成人年齢が引き下げられ、18 ・19歳の若者に新たな被害の増大が懸念されていました。
若年の出演者の被害の拡大を防ぐため、AV被害者の救援に取り組んできたヒューマンライツナウなどの人権団体が、未成年者取消権を存続する法制度の実現を強く求めてきたのに、漫然と未成年取消制度が18・19歳に適用されなくなる事態となり、この法案の成立が急がれたのです。
この法案ではこれまで未成年者として保護されてきた18・19歳に限らず、どの年齢、性別でも、映像を公表した日から1年間は無条件で契約を解除し(施行後2年間に限り、2年間)、販売や配信の停止もできるようにしているのが画期的な点。
詳しく見ると、「出演者に対して性行為を強制してはならない」(3条)ことを前提に、契約締結段階で 撮影する性行為の内容や出演によって個人が特定される可能性があることなどを明記した契約書を出演者に渡すことが義務づけられました。
このように事業者に詳細な説明義務・契約書交付義務を課し、撮影は契約書・説明文書の提供から1か月経過後と定め、出演契約で合意した性行為でも拒絶できるとしています。
また、撮影終了後公表までは4か月を空け、その間に出演者に映像を確認する機会を与えることも義務付けています。
さらに、事業者が義務に反した場合、出演者は無効主張ないし契約取消・解除ができます。
その上、出演者は公表後1年間(施行後2年間は2年間)はいつでも無条件で何らの違約金も課されずに解除でき、しかも、取消・解除の結果、事業者は原状回復義務を負いますし、出演者は販売・配信の差止め請求ができますし、さらに拡散防止に関する規定と、上記の様々な事項に違反した事業者に対する刑罰規定も設けられているのです。
私たち法律家の常識なのですが、私法の大原則には本来は契約自由の原則や契約者対等の原則があるので、無条件解除とか解除に伴う損害賠償請求権を認めないなど、出演者に認められた上記の諸権利と事業者に対する様々な義務と制限は契約法理の大きな変更です。
これらはすべて出演者保護のために創設された規定で、契約法理をこれでもかというくらい大幅に、しかも何重にも出演者に有利に変容させています。
だからこの法案がこの国会で成立するのは本当に良かったんです。
AV新法は第1段階として出演契約者救済のための時限立法・特措法として緊急に制定し、第2段階としてそもそも性行為を撮影・公開するアダルトビデオを違法化する議論をその期限内に必ず始めるべきだ。
ただ、そもそも、性行為を撮影して販売すること自体を合法としていいのかという問題は残ります。
売春防止法は対価を払って性行為をさせることを禁じているわけで、それが撮影の対価として支払われれば合法とするのは、売春防止法の脱法行為と評価されても仕方ありません。
そこで、この法案には2年以内の見直し規定がありますが、2年後に検討を始めるのではなく、法施行直後から被害防止や救済実績を踏まえ、さらに幅広い当事者も参加した議論が必要です。
特に、AVに関してはごく一握りの成功者、有名な俳優の発言に注目が集まりがちですが、彼らはたまたま被害を受けなかっただけに過ぎないかもしれないし、そもそももう「業界の人」ですから、AV業界の暗部を知らなかったり、正直に語っていないことが多いと見るべきです。
真に話を聞くべきは、無名の、多数の被害者です。
その点で言うと、AV被害の実態としては、出演契約を強要されるだけでなく、貧困などを背景に出演する人が多数いますし、映像が販売されてから周囲に知られて心身の健康を崩したり、私生活に大きな悪影響を受けたりするケースもあります。
何年も何十年も経ってからPTSDが発症することもありうることを考えると、出演・撮影から1年しか解除ができないというのでは被害救済にはあまりにも不十分です。
そういうこともあって、この法律には、出演する背景にある貧困や性犯罪と性暴力といった問題の根本解決のため、社会福祉による支援といった必要な措置を講じていくことも盛り込まれましたが、そもそもAVの撮影現場自体が性暴力の現場になることが往々にしてありうるわけで、社会福祉による支援が単なるお題目ではないように、充実させていく努力は今からすぐに始めないといけません。
今回の画期的な法律で、AV撮影契約に伴う問題はかなり解消できました。
しかし、そもそも対価を払って性行為を撮影し、それを配信・販売することを事業として認めておいて、上記のような性被害を未然に防げるのか、あとから救済できるのかと言えば、それは大きな疑問があります。
今回の法案が出演者救済法としてどうしても早期成立が必要だったと私も思いますが、AVの存在をそもそも許していいのか、AV禁止を含めて議論を深めるべきでしょう。
普通は法案にいろいろ問題があれば継続審議をすべきなのでしょうが、この法案については救済法なので一刻も早く成立させるべきだし、自公与党を含む6党で合意できたのが奇跡なので、法案の成立を急いだのは必要な事でした。
ただ、これで問題がすべて解決したわけではないことは誰もが認めるところですから、今回私も含めて世間が知ったAVの問題については、国会議員だけでなく、社会全体が考え続けないといけないです。
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アダルトビデオへの出演を強要される被害を防ぐため、無条件に契約を解除できる期間を設けるなどとした法案が、参議院内閣委員会で全会一致で可決されました。
法案は15日の参議院本会議で可決・成立する見通しです。
成人年齢の引き下げで、新たに成人となった18歳と19歳が、アダルトビデオへの出演を強要される被害が増えるおそれがあるという指摘を受けて、自民党や立憲民主党など6党がまとめた法案は、先月27日に衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。
そして、14日の参議院内閣委員会で、趣旨説明と質疑のあと採決が行われ、全会一致で可決されました。
法案では、年齢や性別にかかわらず、契約を交わしてから撮影までに必要な期間を1か月、撮影の終了から公開までに必要な期間を4か月とするとしています。
また、無条件に契約を解除できる期間も設け、法律の施行から2年は、公表から2年間とし、その後は公表から1年間とするとしています。
法案をめぐっては、被害者の支援団体が性行為の撮影を合法化するものだと指摘していることから、委員会では、政府に対し、被害の予防や救済に万全を期すとともに、違法な行為を容認し、合法化するものではないことを周知徹底するよう求める付帯決議も採択されました。
法案は15日の本会議で採決が行われ、可決・成立する見通しです。
松野官房長官「政府も被害発生防止に取り組む」
自民 宮崎衆議院議員「政府で運用してもらえるよう見守る」
立民 山井衆議院議員「画期的な被害者の救済法ができる」
法案の詳しい内容は
【議論のきっかけ】
18歳と19歳の人が新たに成人となることで、親などの同意を得ずに結んだ契約を原則あとから取り消せる「未成年者取消権」が使えなくなって、アダルトビデオへの出演を強要される被害が増えるおそれがあると指摘されました。
このため、与野党6党で検討が進められ、最終的には、被害が出れば長期間にわたって心身に悪影響が及ぶことから、法律の対象となる年齢や性別は問わないということになりました。
【制作者側の義務】
契約書には、
▽アダルトビデオであることを明記し、
▽撮影の日時や場所、
▽作品を公表する期間や方法、
それに、
▽出演料や支払いの時期なども記載する必要があります。
また、
▽映像の公表によって出演者が特定される可能性があることや、
▽行政が設置する相談窓口の連絡先、
▽契約解消のルールの説明も求められます。
【出演者による契約の解除】
制作者側には、
▽契約から撮影までには1か月間、
▽撮影終了から公表までには4か月間をあけるよう求めていて、
この間は、無条件で契約を解除できることになっています。
また、作品が公表されたあとでも無条件で契約を解除できることになっています。
具体的な期間は、法律の施行から2年たつまでは公表から「2年間」。
施行から2年がたったあとは、公表から「1年間」となっています。
このほか、制作者側が書面の交付や説明の義務を怠るなど、契約にかしがあった場合は、撮影や公表からの期間にかかわらず、取り消すことができます。
そして、出演者がこの法律に基づいて契約を解除しても、損害賠償の責任は負わないことになっています。
【罰則】
契約にあたって、意図的にうその説明をしたり、脅したりした場合、法人に対しては、1億円以下の罰金、個人には3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。
また、契約の際に書面を渡さなかったり、うその内容の書面を渡したりした法人には、100万円以下の罰金、個人には6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
【アダルトビデオを合法にする懸念も】
このため、国会では、違法な行為を容認し、合法化する法律ではないことの周知徹底を政府に求める決議が採択されたほか、法律の内容について、2年以内に見直しを行う規定も盛り込まれました。
参院内閣委員会は14日、アダルトビデオ(AV)の出演被害防止を目指す「AV出演被害防止・救済法案」を全会一致で可決した。15日の参院本会議で可決、成立する見通し。AV被害救済を初めて明文化する法律となる。
法案は年齢・性別を問わず、AV公表後1年間(法施行後2年間に限り2年間)は無条件に契約を解除できるなどとする内容。契約成立から撮影まで1カ月、撮影から公表までも4カ月空けることを義務付ける。契約の不実告知には3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金を科すことを盛り込んだ。
4月の改正民法施行に伴う成人年齢の引き下げにより、新たに成人になった18、19歳は、親らの同意を得ずに結んだ契約を後から取り消すことのできる、民法上の「未成年者取り消し権」の対象外となった。18、19歳を狙った出演強要などの急増が懸念され、自民、公明両党および立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党の与野党6党が今国会中の議員立法による新法成立を目指し、協議してきた。
与野党協議の実務者を務めた自民党の宮崎政久衆院議員は可決後、記者団に「被害防止と被害発生時の救済の手立てに踏み込んだ、画期的な内容だ」と述べた。一部の被害者支援団体などは、新法により売春防止法で禁止されている金銭取引の上での性交を追認し「性搾取の合法化につながる」との懸念を示している。そのため、法案には「施行後2年以内に検討を加え、必要な措置を講ずる」と明記した。宮崎氏は「さまざまな懸念に適切に対処できるよう(法律を)しっかり運用することが重要だ」と語った。【花澤葵】
■AV被害に遭った女性に残る恐怖
モデルの仕事などと言葉巧みに誘われたり、金銭的な理由からAVの撮影に応じたものの、事後に取り消すことができないAV被害。
AV被害に遭った女性(20代)
「女の子が裸になっているような写真を何枚も見せられて、『5000円でどう』っていう風に『動画を撮らせてくれたら2万円あげるよ』と」
2万円はネットカフェに1週間以上泊まれる金額。女性は性行為の撮影に応じました。
AV被害に遭った女性
「20歳には死にたいと思ってたので、どうせこの世界でしか生きられない。どうせ死ぬならまあいいかなって思ってました」
父親から暴力を受け、15歳の時、児童福祉施設に保護されました。18歳で施設を出ざるを得ず、体と引き替えに住む場所をくれる大人がいる歓楽街を選ぶしかなかったといいます。
ネットで販売されたという自分の動画が今も誰かに見られているのではないか。女性は恐怖を感じています。
AV被害に遭った女性
「後悔というか抗えない力に無力感を感じて、電車に乗った時とか隣で風俗の女の子のプロフィール見ているおじさんとかを見ると、この人、もしかしたら私の画像を見ているかもしれないと思うと、本当に電車だったら駅に降りたいみたいな感覚」
■増加するAV被害 成人年齢引き下げでさらなる懸念
女性たちが性産業に不本意に足を踏み入れるのを防ぐため活動するNPOがあります。この日、新宿・歌舞伎町で10代から20代の女性たちに声をかけていました。
「LINEを交換した後に『お茶しない?』ということで、喫茶店に行ったところで風俗やAVを勧められて断れなくなってしまう。AV被害ですと、特に社会に希望が持てなくなった瞬間とか居場所を失う瞬間をスカウトは見逃さない」
NPO法人「ぱっぷす」 金尻カズナ理事長
「被害の低年齢化。高校生であっても声をかけて、アイドル活動やユーチューバーをさせて、その後AVに出演させるケースも実際にある」
さらに、今年4月から成人年齢が引き下げられたことで、18歳、19歳の被害が増える恐れがあるのです。
そこで、超党派の議員がAV被害対策法案をまとめました。法案では、年齢や性別にかかわらず、映像の公表から1年間は無条件で契約を解除できるとされています。また、契約を交わしてから撮影までに必要な期間を1か月、撮影の終了から公開までに必要な期間を4か月とするとしています。
「画期的なものだと。被害者の立場に立った形になっている」
法案は先月、衆院を通過し、今月中にも成立する見込みです。
■「本番の性行為も合法化」法案に課題も
この法案で救われる人もいるという声がある一方で、大きな懸念の声もあがっています。
少女支援団体Colabo 仁藤夢乃代表
「本番の性行為も合法化するような法案になっているので、これは大変なことではないかと」
今国会で成立する予定のAV被害対策法案に、懸念の声が上がっています。
少女支援団体Colabo 仁藤夢乃代表
「AVの被害は契約に問題があるから起きるのではなく、陵虐的な身体的暴行や性暴力を受け、リアルな性交が求められるからこそ起きているものです」
法案が成立することで、AV撮影時の性行為を法的に認めてしまうことになるのです。
「(AVは)今までは法律上はグレーな状態で流通していた。いわゆる本番の性交、つまり挿入行為をしているのかどうかは、表向きはモザイクの下では性交はしていない。ところが今回の法案では、厳格な要件を満たしさえすれば、いわゆる本番の性交を有償で撮影する契約が有効になってしまう」
■「好きでやっている」でなく「AVを選択せざるを得ない」背景は?
虐待や性被害、貧困が背景にあり、AVを選択せざるを得なかったという女性は少なくありません。
AV被害に遭った女性
「いま思うと、あれは全て自傷行為だったと思っているし、行政とか福祉とかいろんな制度は、私たちみたいな、なかったことにされている存在にとっては使えないし。だから、こういう業界で性的搾取が行われているんだろうなって。『好きでやっているんでしょ』の一言では片付けないでほしいなと思っている」
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https://news.yahoo.co.jp/articles/fb1f33a5497f18cb9eba54911f7dcc88aa63355b
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