ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

19年12月に読んだ本

2020-01-03 12:07:27 | 読書
12月は14冊読みました。
まずは「新潮文庫の100冊」を3冊読んで、これで全冊完読です。

◆ナイン・ストーリーズ (サリンジャー)
「ライ麦畑で捕まえて」のサリンジャーの短編集。関係ないけど「バナナフィッシュ」と聞くとどうしてもあの漫画・アニメを想像してしまう。鼻につく言い回しがなかなか面白いと思えなくて、不可解な世界観に入り込むのに手こずった。
◆けさくしゃ (新潮文庫)
実在の人物、柳亭種彦をモデルにした、畠中さんらしい、コミカルな時代小説。本の売れ行きにやきもきしたり、上役に「筆を断つ」と言うことをためらったり、種彦が垣間見せる作家魂に、畠中さんの小説家としての心意気も感じさせる作品。
◆堕落論 (坂口安吾)
大東亜戦争敗戦による価値観の大転換期にいち早くこれだけのことが書けるのは大したものだ。堕落論の予想は的中、その通りに日本人は堕落したが、天皇制については日本人は著者が考えるほど愚かではなかった。歴史ついては、皇国史観から完全に一線を引くが反動でマルクス史観というわけでもない、独自のタンテイ史観。奈良時代や道鏡の件は大変面白く読んだが、さすがにヒダは無理でしょう。山深く、雪深いかの地ではそんな勢力を養えないと考えるのが常識では?出雲と違って考古学的な証拠もないし、それこそ逆の意味で記紀に惑わされたのでは?

◆海の見える理髪店 (荻原浩)
第155回直木賞受賞作品。短編が6編、受賞当時に単行本で読んだが、文庫本になったので再読。以前読んだ時は表題作がダントツと思ったが、読み返してみると他の作品も中々。
「海の見える理髪店」の店主はいつから気が付いていたのかな。最初っから、だよね、きっと。折り合いが悪かった母との「いつか来た道」、形見の時計を通じて父の人となりを知る「時のない時計」も地味に良い。そういえば2、30年前は韓国や香港、中国で普通に偽物の時計を売っていたっけ。

◆不時着する流星たち (小川洋子)
なんだろーなー、不思議な短編集でした。それぞれに話のきっかけになった(あまり有名ではない)人や事象はあるのだが、ストーリーはそれと全く関係なく紡ぎだされる、現実味のない、狂気?透明感のある掌編にひきこまれた。

◆不穏な眠り (若竹七海)
不運にぼやきながらも、圧倒的な能力で事件を解決に導く女探偵・葉村晶シリーズ最新作。短編が4編、どの事件も後味の悪い結末なのだが、疲労困憊、満身創痍になりながらも見事に事件を解明するヒロインについクスリと笑ってしまうのがこのシリーズの持ち味。今回も、池で泥まみれになってスッポンを捕まえたり、極寒のビルで徹夜したり、いきなりスタンガンで気絶させられたり、車ごと泥流に押し流されたりと、期待にたがわぬ大活躍。
年明け早々、シシドカフカさん主演でドラマ化されるようで、楽しみ。

◆平場の月(朝倉かずみ)
自分も最近中学時代の友人に会うことが多いからか、思いっきり心に刺さりました。お互いワケアリの人生の末に再開した中学の同窓生、青砥と須藤。付き合いはじめても昔のまま苗字呼び捨てで呼ぶあたりが妙にリアル。須藤の死は序盤で明らかになっているので、物語は分かり切った結末に向かってどうしようもなく進んでいく。抗がん剤治療後の検診の日の須藤の豹変ぶりに「なんで気づかないんだよ、青砥!」とかなりやきもきしました。青砥にとって、もう1年がどういう1年だったらよかったのだろうかと思わずにはいられない。
後述の「マジカルグランマ」とともに第161回直木賞候補作になった作品、個人的には受賞作の「渦」よりもこっちを押したい。

◆マジカルグランマ(柚月麻子)
著者の作品はこれで7冊目、「本屋さんのダイアナ」が面白かったのでつい新刊は手に取ってしまうのだが、どうもこの人の作品は好き嫌いが分かれる。リアリティがなく共感も出来ないヒロインに正直げんなりしてしまう時も。今回のもちょっと相性が悪かったのかな。

◆魔力の胎動(東野圭吾)
知らずによみましたが、これ、「ラプラスの魔女」の前日譚の短編集ですね。最終章から「ラプラスの魔女」に話がつながっていく感じで、こっちも再読してみようかな。

◆14歳、明日の時間割(鈴木るりか)
現役女子中学生が著者ということで、第一章の語り部が文学少女だったので、「ははん、自分をネタにしたよくあるあれか」と思って読み始めたのだが、違った。各章ごとに語り部が変るのだが、ストーリーは中原くんという少年を中心に回っている。経験談ではなく創作であり、構成された短編連作である。読み進めるほどに「これを中学生が書いたのか」と驚いた!

◆営繕かるかや怪異譚 その弐(小野不由美)
移り住んだ古い城下町の家で遭遇する、怖くて不思議な家に纏わる怪異のあれこれ、探偵役?は営繕屋の尾端さん、彼にいきつく経緯はいろいろだが、最後にちょこっと登場して鮮やかに問題を解決していく。でも、決して彼が主人公なのではない。主人公は怪異やその怪異を抱えた家そのもの、怖いけどそれだけではない。哀しみや、時には優しさに満ちた、不思議な物語。2作目は1作目よりさらにパワーアップした気がする。

◆「大家さんと僕 それから」(矢部太郎)
「大家さんと僕」の続編、大家さんが亡くなるまでのことが描かれている。前作はほんわかとして可笑しかったが、今回は少し哀しくなる。大家さんの家も、多分うちのご近所なのだろうなと思っていたが、もうないのか。。。高齢化社会におけるひとつの理想的な人間関係、だったのではないでしょうか。

◆威風堂々惡女 (白洲梓)
反逆者を出したゆえに差別される少数民族・尹族の少女・玉瑛のは罪もなく両親共々殺されるが、その身は差別の元凶となった皇帝の側室・柳雪媛に転生する。一方で武骨な若き武人・王青嘉は不本意にも雪媛の護衛を命じられる、、、理想、野望、愛、いろんな要素がてんこ盛りの人格入れ替わり・タイムリープ・タイムパラドックスものの中華風異世界ファンタジー。面白かった。

◆ソードアート・オンライン (17) アリシゼーション・アウェイクニング (川原礫)
やはり、ソードアート・オンラインはこうでなきゃ。しつこく、克明に描写される異次元のバトルの面白さ。アスカ、シノン、リーファらコンバートしたおなじみのキャラが悲壮なまでの大活躍、そしてようやく真打ちのキリトが覚醒、ここまでが長かった。。。TVアニメに歩調を合わせて読んでいるので、、、次巻は来月かな。
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