マーフィーを探せ
イギリスMI6の諜報部員がアイルランド潜入中に連絡を絶ちました。
彼の消息を追うべく最優秀の諜報部員がキャップのデスクに呼ばれました。
キャップは言いました。
「マーフィーは変幻自在に姿を変える。」
「だから姿かたちでは決して見つけることは出来ない。」
諜報部員は尋ねます。
「それでは、どうやって彼を捜せばいいんですか?」
キャップは答えます。
「彼は、なぜか本名しか使わない。」
「だからそれらしいマーフィーという名のやつを見つけたら、合言葉を使え。合言葉は・・・」
なんとかアイルランドに潜入した諜報部員は、マーフィーの足取りを追って、小さな町の酒場に入りました。
諜報部員はバーテンにチップを渡しながら言いました。
「ちょっと聞きたいんだが。」
「ここらにマーフィーってやつはいないか?」
バーテンは答えた。
「あぁ、いるとも。」
「向かいのパン屋の親父はマーフィーだ。角の銀行の頭取もマーフィーだよ。」
「そこのテーブルで寝ている酔っぱらいもマーフィーだ。」
「この町はマーフィーが多くてね。何を隠そうこの俺もマーフィーだ。」
諜報部員はがっくりと肩を落としながら、とりあえず目の前のバーテンから合言葉を言ってみることにしました。
「天気予報だとロンドンは霧だろう・・・」
「ああ!」
顔をパッと明るくしたバーテンが言いました。
「あんたの探しているのはスパイのマーフィーだろ?この通りの突き当たりだ。」