若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

破産を問われる職業、問われない職業

2009年09月16日 | 政治
la_causette: 開示義務のない被差別属性を自主的に開示しなかったことを糾弾することの非人道性について
 民主党の渡辺義彦議員が自己破産手続き中であったことを報告しなかったことに関して,落合先生は「一種の議席詐欺と言われても仕方がないでしょう。」と言い,町村先生にいたっては,「この男、いやに堂々としていて、ジャンパーを頭にかぶるでもなくマスコミの前に出ているが、正気だろうか?」とまで言っています。

-----------(中略)-------------

mohnoさんから「「知ってたら投票しなかった」という人は裏切られたと思うんじゃない?」というはてブコメントを頂きました。ある属性に差別ないし偏見を抱いている人は,その候補者がその属性を有していると知っていたら,その候補者に投票しなかったかもしれません。しかし,その人が偏見を有する属性を有する候補者はその属性を選挙公報等に掲載しているはずとの信頼をその人がもっていたとして,それは保護するに値するのでしょうか。その,しばしば差別される属性を開示しないことは「詐欺」として糾弾されるべきでしょうか。例えば,被差別出身者はその旨を選挙公報に明記しなければならないのでしょうか。同性愛者はその旨を選挙公報に明記しなければ詐欺でしょうか。アブノーマルな性的嗜好を有していることについてはどうでしょうか。若いころに,生きていくために,社会的な評価が極めて低い職業に就いていたことはどうでしょうか。


弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、行政書士、社会保険労務士などの士業では、欠格事由として「破産者で復権を得ないもの」が挙げられている。他にも、民法上の後見人や代理人などの欠格事由としても「破産者」が挙げられている。

このような欠格事由の立法趣旨を推測するに、他人の手続きを代理・代行し、その権利義務の形成に関与する者は、経済的に信用のおける人でなければならない、というところにあるのではなかろうか。自分が負った義務を履行できない者が、他人の権利義務に関与することは避けるべき。もしかしたら、依頼者の金銭を自分の債務返済にあててしまうことがあるかもしれない。
そんな価値観がはたらいているように思う。

一方、現行法上、国会議員の欠格事由として「破産者」は挙げられていない。しかし、権利・義務に影響するところの大きい立法に携わる「代議士」は、上記の趣旨が最も強く当てはまる「士業」ではなかろうか。様々な立場の人の利益を代弁し、様々な権利・義務の元となる法律を制定することができ、予算成立に深く関わり、省庁への影響力も持つ国会議員は、一番信用のおける人でなければならないはずだ。

弁護士などの欠格事由として破産者を挙げるのであれば、国会議員の欠格事由として破産者を挙げるべきだ。逆に、もし国会議員が破産者でも構わないのであれば、弁護士などの欠格事由から破産者を外すべきだ。職務上要求される信用の度合いは、国会議員の方が明らかに大きいはず。預かっている権限が桁違いなのだから。

もし、士業には破産者を欠格事由として挙げておいて、国会議員には破産者でないことを要求しないという現行法のままでいくならば、国会議員の立法・再配分の権限はもっと小さくすべきだ。国会議員に対して、弁護士などに要求している程度の経済的な信用を問わないのであれば、それなりの権限しか委ねてはならない。

破産者であることは、信用の度合いを測るために利用される情報として官報に掲載されている。国会議員になろうとしていた者としては「私、実は自己破産手続き中なんです」と党に報告しておくべきだったのだろう。



さてさて。

破産者という属性と、被差別出身者、同性愛者、アブノーマルな性的嗜好、社会的な評価が極めて低い職業に就いていたという属性を並べて語るのは、どうもセンスが悪い。かたや、士業の欠格事由とされ、誰でも目にすることのできる官報に掲載されている情報であり、かたや、通常は世間に知られることのない情報。

例え話としても、上手い例えではない。

コスプレ風俗ライターとして活動していた前歴?だから何だ?」として、職業の貴賎を意に介さない小倉弁護士の姿勢には同感。他人のニーズに応えた商品やサービスを提供し、同意と納得の下に報酬を貰う。それで生計を立てる。誰に恥じることもない。

しかし、破産者とアブノーマルな性的嗜好を並べて説明する小倉弁護士のセンスは、お世辞にも・・・ねぇ。

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