若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

腐ってやがる・・・古すぎたんだ・・・ ~ 情報公開の谷のユクハシ ~

2017年10月02日 | 地方議会・地方政治
まず冒頭、お詫びしなければならないことがございます。

以前書いたブログの中で、

○実行委員会方式で実施した事業の情報公開 ~ 実行委員会だから非開示とは限らない ~ - 若年寄の遺言
======【引用ここから】======
新聞記者が条文を読んでそう思ったのかどうかは知らないが、この記事の中の

「市情報公開条例では、情報公開の対象機関は市長、教育委員会、議会など10部局で実行委は含まない。」
(だから情報公開条例での開示の対象とはならない。記事タイトルに言う「追及の壁」なんだ)

というのは誤りである。

======【引用ここまで】======

として、引用元の新聞記者さんが条文を誤読したかのような書き方をしました。ところが、この記者さんは、行橋市が示した解釈・運用に沿って前回の新聞記事を書いていたということが分かりました。

○行橋市議会、監査求める決議否決 市は資料も非公開 /福岡 毎日新聞2017年9月27日 地方版
======【引用ここから】======
 市は着服否定の根拠として記者会見などで「570万円について、領収書のない部分も含めて支出確認がとれた」と説明。だが、実行委が市の情報公開対象外であることなどを理由に所管の市議会・文教厚生委員会にさえ領収書なども示していない。
 一方、最高裁は2005年9月、岐阜県が「実行委は別団体でその文書は公開条例の対象外」として市民団体に非公開とした文書を「公文書にあたる」と判断。公開を命じた2審判決を支持・確定させた。【荒木俊雄】

======【引用ここまで】======

当ブログにおいて、記者さんの能力に疑いを持たせるような表現をしてしまったこと、謹んでお詫び申し上げます。

同時に、この記者さんにはお礼も申し上げます。
というのも、以前当ブログで紹介した裁判例について、新聞媒体で言及してくれたからです。
このようなアクセス数の少ないブログでこそこそ書いてもたかが知れていますが、新聞はやはり読み手が多い。
この新聞記事によって「実行委員会の文書も公開対象になる」という裁判例が再確認されました。この新聞記事をきっかけに、一人でも多くの人に知っていただけたら幸いです。


さて。


新聞記事にもあるとおり、この裁判例はかれこれ10年以上前に出されたもの。この裁判例に沿った運用は、各自治体で定着していると言っていい。
例えば、さいたま市では実行委員会と企業との間の契約書を開示しているし、武雄市では実行委員会の支出の領収書や使途明細を開示している。
また、福岡市では上記判例が確定する前から、市の情報公開審査会において、実行委員会が保有する文書の公開のあり方の見直しが提言されていた。

こうした動きと比べて、
「実行委員会は条例上の実施機関ではないから、実行委員会の文書は開示の対象外。議会の常任委員会にも情報提供しない」
という極めて形式的で古い解釈を採っている行橋市の動きは、異様ですらある。
全国的な流れに逆行し、裁判例を真っ向から無視してまで情報提供を拒んだ市長の意図は、どこにあるのだろうか?
何か都合が悪かったのだろうか?
何を隠そうとしているのだろうか?
市長の意向が、この古い解釈の採用に繋がっていないだろうか?


こうした市長の動きと歩調を合わせるように、

○行橋市議会、監査求める決議否決 市は資料も非公開 /福岡 毎日新聞2017年9月27日 地方版
======【引用ここから】======
 行橋市議会は26日、市が実行委員会の事務局を兼ねる「ビーチバレーボールフェスタ」の2015年度運営費で約570万円の使途不明金があった問題で、監査を求める決議案を賛成少数で否決した。
======【引用ここまで】======

と、市議会の多数派も情報開示に消極的。これも理解に苦しむ。

実行委員会は市とは別の団体だからという理由で、監査の対象としていなかった。
ところが、実行委員会の支出に、多額の使途不明金が発覚した。
そこで、監査委員が改めて監査を実施するというのは、自然な流れだ。
地方自治法第199条第7項では
監査委員は、必要があると認めるとき、・・・当該普通地方公共団体が補助金、交付金、負担金・・・を与えているものの出納その他の事務の執行で当該財政的援助に係るものを監査することができる
とある。
いつ監査するの?今でしょ!(古
逆に、ここで監査を実施しないなら、どういう場面で監査委員は「(監査する)必要がある」と判断するのだろうか。
そして、監査要求を否決した市議会多数派は、どういう理由で「監査する必要はない」と判断したのだろうか。

何だろう、スッキリしない。
この風通しの悪い感じは。


水の流れが滞り、風通しが悪くなると、物事は澱み、濁り、そして腐っていく。
『風の谷のナウシカ』のトルメキア軍参謀のセリフを借りるなら、

「腐ってやがる・・・トップの考え方が古すぎたんだ・・・」

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