「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

3種類の嘘;嘘、大嘘、そして統計

2018-01-19 | 雑記
今日も今日とて寒い日が続いております。
Belfastから見える山々も白い雪で覆われており、朝は路面も凍結していました。

私は、ラボ仲間のKarl氏から風邪を感染させられて発熱し、一昨日、昨日は自宅でダウンしておりました。今年2度目の風邪というか、今回はとても酷い話で「そりゃあ、感染しないわけないでしょうよ」という状況でした。こちらの方々は人前でマスクをする習慣がないし、他人に感染させようがなんだろうが、ぶっちゃけお構いなしの無法状態です。まあ、仕方ないのかもしれませんが、ちょっと如何なものかと思って、Karlには若干怒りを覚えました。

さて昨日、今日と、大学院で統計学の選択の講義があり、たまには座学もいいかと思って出席しました(残念ながら、拝聴したのは今日だけになってしまいましたが)。テーマは「Systematic Review」に関するものだったのですが、なかなか興味深い内容でした。講師の教授が面白い方で、統計学の嘘と、論文の研究デザインの立て方などを判りやすく解説していました。私の友人も「とても良い内容だった」とご満悦でした。

大英帝国ヴィクトリア朝において、ユダヤ人でありながら、首相を2度も務めたベンジャミン・ディズレーリは、かつてこう言ったそうです。

世の中には3種類の嘘がある。嘘、大嘘、そして統計である。
There are three kinds of lies: lies, damned lies, and statistics.

数学的な根拠を演出するために、統計学を駆使して有意であることを主張する滑稽さを皮肉った言葉ですね。
小説家としても活躍したディズレーリは名言を数多く遺している人物ではあるのですが、彼にこう言われてしまうと研究者の我々も立つ瀬がない感じでしょうか。現在の自然科学の研究は統計学的手法をもって解析を行っています。統計学的な指標でもって、その研究のインパクトの大きさを示すこともあるのですが、たしかにときには嘘が交じることもあるのですね。意図的であるか、無自覚であるかは別として。だから、私たちは常に統計の嘘には気をつけなければなりません。

第二次世界大戦時にイギリスの首相を務めたことで知られるウィンストン・チャーチルも、とても含蓄のある発言の多さで知られ、1953年にノーベル文学賞も受賞しています。どうして英国の首相には「味わいのある言葉」を遺す方が多いのでしょうか。面白いですね。


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