「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

日英の博士論文の体裁の違い

2016-09-22 | 英国大学院博士課程に関して
「本学(This university)では、博士論文(Thesis)をこの位書くことになっている」と言って、Prise教授が見せてくれたのは200ページを優に超える一冊の本でした。しかも、ちゃんと全部が英語(当たり前ですが)。
「ショートイントロダクションだけちょろっと書いて、あとはジャーナルに出版された論文をくっ付けるだけの博士論文でよしとする大学もヨーロッパには沢山あるけど、本学は違う」

ヴィクトリア女王が創立した研究大学は流石に気合入ってんな~(;・∀・)

教授のご厚意で博士号を近年授与された方々が提出した博士論文を幾つかすこし読ませてもらいましたが、圧倒的なボリュームとクオリティーでした。いわゆる大作揃いでした。去年、オックスフォード大学の歴史ある某研究所で見せて頂いた博士論文の体裁に、全く劣らないというか、あるいはそれ以上でした。やはり、英国の伝統ある研究大学ではこんな感じなのかと、改めて呆然としました。

教授に無邪気な様子で「日本はどうなの?」と聞かれて、思わず、答えに詰まりました。
私は母校はもちろん日本の幾つかの大学の医学博士論文の体裁を知っていますが、はっきり言って、勝負になりません。これで同じように医学博士(PhD)を名乗っていいのかなと思うほど、絶望的な差がありました。もちろん、日本の医学博士の中にもちゃんと英語で長い博士論文を提出された方々はいるのでしょうけれども(早稲田大学博士号を授与されていた誰かさんのようにコピペしたりもせずに)、博士号授与の最低水準が明らかに違うと思われました。

3年後にマジで私に書けるのかな、こんなの……(^_^;)

私自身、これまでに幾つかの論文をジャーナルに書いてきましたが、博士論文をちゃんと書くというのはもちろん初めてです。まあ、そういう経験を求めて、英国に来たのですが。とりあえず、この衝撃とプレッシャーを忘れないうちに、ブログに保存しておくことにします。
3年後に「ふ~ん、あの時はそんな風に感じていたのか」なんて思えるように成長出来ていたら、いいんですが。

まあ、未来を心配する暇があったら、未来のために布石を打つことにしましょうか