「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

日本再発見

2017-06-21 | 雑記
日本に一時帰国しています。この時期の日本は、雨が多く、蒸し暑いので、快適とは言い難いですね。移動中に多量の汗をかいて熱中症気味になったりと、Belfastとのあまりの気候の違いにはすこし驚いています。

さて、私は学者の端くれなので、福島の放射線被ばく影響がどの程度におさまるかよく判らないのに「大丈夫です」と言いたくないのと同様に、確認できない事柄に対して断定的に決めつける行為を好みません。私自身は、自身が本当に正しいのかを常に疑いながら、他者の言い分に対しても耳を傾けるようにしていますので、そういう内省の姿勢を見せずにプライドや感情を重んじて理不尽に振る舞う方々は苦手です。
日本は、どちらかというと「忖度」を重んじ、ときに年功序列的な要請が優先される傾向があります。英国にもそういう面はありますが、そもそも文化的背景が異なる方々が多いですから、ちゃんと言葉で確認し、合理的に振る舞うようにする場面が多いように感じています。どちらが良いということではなく、とにかく、そういう違いがあります。
つまり、何が言いたいかと言うと、帰国してから短いにもかかわらず、日本の文化的背景に適応するのにすこし抵抗を覚えることが幾度かあったのでした。
英国人になったつもりはありませんが、日本人的な感覚を失っている部分もあるのかもしれません。私は、上述の通り、もともと学者の端くれでもあり、常に「多様な意見や理論に接して議論することを尊ぶ」ので、英国の研究所の面々と話す時のように、日本でも振る舞いがちなのかもしれません。すなわち、何事にしても、「ちゃんと言わないと判らないだろう」というスタンスです。

私は、英国に居る時と同様、自分の意見を申し上げただけですが、その姿勢が面子を大事にする儒教的な価値観に染まった方々には、反論されているというか、逆らっているというか、「黙って言うことを聞け」というように感じられるようです。
たとえば、先日、私は「確認していない以上は未確認なのである」「相手の了承を得ずに自分のルールを他者に押し付けることはマナーに反するおそれがある」ということなど気になったので意見を申し上げたのですが、「空気を読む」という忖度や惻隠が多い日本では相手との人間関係次第では「言わなくても判る」のだそうです。ふむ、なるほどね、その言い分は日本らしいですね。まあ、日本は、政府からして「最高レベルの意志」を忖度して(メモにしようがしまいが)現場レベルにまで通達できるという、エスパー揃いの国ですから。トップの顔色を見ながら、新しい獣医学部を作れるくらいでないと、霞ヶ関では駄目ですからね。たしかに言わなくても判るだろうということで通用するのかも。
私はいちいち言葉にしないと判りませんがね。

時々帰国はしていましたが、かつてない長期間を海外で過ごした後なので、今回の帰国では色々と再発見することがあるかもしれません。