セリカ魂

「初代セリカに乗りたい!」
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あいちトリエンナーレ2019/表現の不自由展・その後

2019年10月11日 12時10分11秒 | つぶやき

10月10日(木)
8日から再開された表現の不自由展・その後。
「あんなのは芸術じゃない!ただのヘイトだ!」と思っていた。
先月13日のトークイベントで、少女像の制作意図や周りに人が集まって和やかに親しまれている状況を知った。
日本では大使館に向けて気勢を上げている活動家の姿ばかりが報道されている。こりゃあ実物を見て、自分の目で判断するしかないぞ。

展示再開から三日目、ようやく訪れた。
「ステージの幕」も展示再開されている。


A12 伊藤ガビン
「モダンファート 創刊号 特集 没入感とアート あるいはプロジェクションマッピングへの異常な愛情」
頭初は並ぶしかなくて鑑賞を諦めていたが、会期途中から整理券方式に変更された。
不自由展の受付は11時30分、良いタイミングの上映回だった。


プロジェクションマッピングを使った映像作品。
入室したらすぐアナウンスが流れた。「スマホはマナーモードにせず、スピーカーホンでお話し下さい」って何だそれ?w


「え?こんなこと出来るの?」
「うわ、そんなことまで」
「出来ちゃうんだ?へー」
プロジェクションマッピングの高機能ぶりに浮かれた岡崎体育みたいなナレーションがめちゃ面白い!


いやぁ、これ見逃していたら後悔したわ。
会期も残り一週間だが、この作品を観れたのはラッキーだった。


予定よりも早く、不自由展の受付けはもう始まっていた。うひゃー!ぐるっと一周居るぞ。
一回35名の入れ替え制で、2回分の70名を無作為に抽選するらしい。当たる気しないわ・・


受付でリストバンドを着けて貰った。
番号は「1984」か、
名盤を連想させるいい番号だ。


当選発表まで展示を見て回ろう。
あ、A10 村山悟郎「Decoy-walking」が歩いていない!後ろのフレームに括り付けられていた。
スタッフさんに尋ねたら、
「ちょっと、お休みしています」
「長い期間を歩き続けたので、疲れて・・」
苦笑していたw


A21 パク・チャンキョン「チャイルド・ソルジャー」
不自由展の中止に抗議して閉鎖していた。


作者の母は北朝鮮の兵士に怖いイメージを抱いていたが、ある日のこと山の中で出会った北の少年兵は銃を持って遊ぶただの子供だった。それに着想を得た写真とスライドショーの作品が並んでいた。
これって少女像問題にも通じるテーマでは?
不自由展が中止になったからこそ、閉鎖せずに多くの人に見て貰うべきだった。一緒に展示を中止してどうする?残念だったな。


閉じていた不自由展の入口に、見学出来なかった来場者たちの「声」が貼られていた。
再開した今は場所を移して展示を続けていた。


A28 イム・ミヌク「ニュースの終焉」
こちらも展示を再開。
入室したら朝鮮の民族衣装・韓服がズラっと並んでいた。


二つのスクリーンに、違う葬儀の様子が映る。
北朝鮮の金正日総書記の葬儀。
韓国の朴正煕元大統領の葬儀。
大国の思惑で二つに分断された国々。
大国の思惑で二つに分断された人々。


A30 タニア・ブルゲラ「43126」
今日のメンソール、いつもより強くない?
離れた場所でも沁みた。
数字のアップデートは集計のタイミングみたい。

展示再開した作品が多くて有意義に過ごせた。
さぁ、どうせ無理だろうけれど抽選結果を確認。
あ、2つ違いの「1986」が当選してるじゃん。
惜しかった、
やはり落選か・・

おっと、見学は2回あったんだ。
14時10分の回は?どれどれ・・
あるじゃん!「1984」当たった!(^o^)


よく当選したな。高倍率だったらしい。
集合時間まで一時間半、
オアシス21のマックで月見バーガーとスパチキを頂いた。


DQウォークのクエ消化で周りをお散歩。
再開反対を主張する人たちが居て、こんな立て看板があった。
これは撤去されないんだ?


13時40分集合。
受付で身分証とチケットを提示して同意書を提出。
映像以外は撮影可能。
ただし会期中はSNS等への投稿を禁止。
(画像は会期終了後に追加でアップ)


似た事例で世界的なトレンドを紹介。
いかに日本での騒がれ方が異常かを暗に主張していた。


電凸も含め寄せられた「声」が並び、現代版「検閲」への警鐘を鳴らす声も。
プリントの資料が渡されて「まずは冷静に状況を知って」みたいなスタンスを感じた。
それは大丈夫、ここには「見ないで批判するのは良くない」って人が来ているはず。


14時過ぎ、いよいよ入場。


スマホや財布は袋に入れて手に持たされた。
その後も金属探知機で入念にチェックされてようやく会場入り。


果たして伝えられていることは正しいのか?
最終的に信じられるのは自分の目だけ。

入ってすぐ、
大浦信行「遠近を抱えて」の連作。
いきなり問題作だな。
天皇の顔を白塗りに消して更に「×」で否定?
添えられた制作意図も実に難解。
「自分から外へ外へ拡散していく自分自身の肖像」「中へ中へと非常に収斂していく天皇の空洞の部分」その二つが攻めぎあい、葛藤の中に一つの空間ができ上る。

「天皇」をイメージして個人が抱く感情は人それぞれ。対して「天皇とはこういう存在だ」という固定観念がある。
ギャップを「空洞」と捉えて顔を消して表現?


小泉明郎「空気 #1」
プリントしたキャンバスにアクリル絵の具で彩色。
報道などでお馴染みの皇室写真が撮られる部屋。
誰も居ない。
正面の障子の向こうに透けた人影を書き足し。
「写真という現実の風景」
「絵の具で描くという身体的動作」
「その介入でそこに潜むものを浮き彫りにする」
日本社会に於ける不可視の制度を暗示しているらしい。


中垣克久「時代の肖像―絶滅危惧種 idiot JAPONICA 円墳―」
かまくらの外壁には貼り紙だらけ。
「憲法9条尊重」
「靖国神社参拝批判」
「安倍政権の右傾化警鐘」


かまくらの床には星条旗が敷かれていた。

天頂部には寄せ書きされた日の丸。
これが特攻隊で出征する際の寄せ書きだと捉えられて炎上。
渡された資料によると「出征直前に終戦を迎え、友だち同士で寄せ書きをした」らしい。
それを裏返しに被せ、床の星条旗と向き合わせていた。


岡本光博「落米のおそれあり」
「落石のおそれあり」の交通標識をもじったユニークな作品。
2017年に沖縄のイチハナリアートプロジェクトに出品。一度は封印されたが抗議を受け、最終日に場所を移して再公開。
その際にシャッターごと切り取られた。


キム・ソギョン/キム・ウンソン「平和の少女像」
中止騒動の元凶といえる作品。
見慣れた日本大使館前の像はブロンズ色。
こちらはFRP樹脂製でアクリル彩色され、よりリアル。


意思疎通が出来るよう、敢えて台座を低くした。
隣に置いた椅子に座ると、目の高さが少女と同じ。
椅子に座って少女に手を添えてみた。
日本軍が直接関与したのかしてないのか、
強制だったのか貧しさから親に売られたのか、
人は作品の背景を気にしがち。


添えられた原文に対する英訳も炎上。
「Japanese Military Sexual Slavery」の部分。
プリント資料にはそれに対する考察があった。
展示スペースの制約から、誤解を避ける説明を省いてしまったそうだ。
sexual slaveryは「性奴隷」と受け取られがちだけれど、実際は人身売買等により売春を強要された女性全般を指す。
Japanese militaryは「日本軍の拠点に於いて」という意味で、日本軍の強制連行を示唆するものではない。


表現の不自由展の選定基準は「展示を中止された作品」なので、本来の趣旨に沿っているのはこちらのミニチュア像。
2012年に東京都美術館で展示され、作家が知らない内に4日後に撤去されていたらしい。

背筋を伸ばした少女の足元に伸びる「影」。
それは歳月が経って背中の曲がったハルモニ(おばあさん)になった少女の「今」の姿を暗示。
少女は裸足で、その踵は床に着かずに浮いていた。
長く故郷に戻れず、戻ってからも周りから白い目で見られ、差別され、安心して暮らせなかった「不安定な境遇」を表現しているそうだ。

元慰安婦を迫害したのは他ならぬ韓国人の同胞たち。
この少女像が糾弾していたのは実は韓国人だった。
制作意図を知らず(知ろうとせず)に韓国人が反日運動に利用。
今日ここで実物を見て、冷静に説明を受けて、皮肉な事実を知ることが出来た。

多くのメッセージが盛り込まれた少女像は芸術作品だ。
それを捻じ曲げて刺激的に報道する日韓のマスコミ。
結果、憎しみを少女像にぶつけた日本人。
「ヘイトに使われるような物を作るのが悪いんだ!」
少女像の本質を知ろうとせず、感情的になって叫ぶのは違うと思う。

大浦信行「遠近を抱えて partⅡ」
少女像と並ぶもう一つの問題作。
天皇の肖像画を燃やして文字通り炎上した映像作品。
椅子と座布団が用意されていて座って鑑賞出来た。

主役は成仏できない女性の幽霊。
従軍看護婦としてインパールに赴くことを母に伝える彼女。
瞬間的に連想したのは「インパール作戦」(!)

1944年のビルマ、
補給を無視して精神論で強行された無謀な作戦。
今や「史上最悪の作戦」として世界中で有名。
すると幽霊の彼女はインパールで死んだのか。
飢えとマラリアと攻撃で生き地獄。
苦しみ抜いて死ぬ間際に、人は誰かを恨まざるを得ない?
中には誰を恨むべきか分からず、天皇を恨んだ人だって居たのかも。

そんな彼女が現代に蘇り、天皇の肖像画を燃やした。
肖像画を燃やすことで諦めがついた?
幽霊として彷徨うことから決別して成仏した。

資料プリントに作者の意図が載っていた。
「内なる天皇」を彼女が燃やして「昇華」「祈り」となる。
思い残すことがあり成仏出来なかった?
それもこれで区切り。
そんな受け取り方をすれば良いのかな?
でんじろうの実験みたいなドラム缶の爆発は「?」w

人が映った写真や肖像画を燃やす行為自体を問題視する人が多い。
プリント資料ではそれについても検証。
生存者の写真や肖像画なら侮辱になり得る。
亡くなっていれば遺族の敬愛追慕の情を侵害。
対して天皇は公人中の公人。
様々な表現の対象となることは当然。
侮辱的な意図がなく、芸術的な狙いでの表現なら問題はないそうだ。

「陛下の御真影は絶対にして不可侵であるべき!」
そう強く信じる方々には最後まで相容れない主張だな。
天皇の戦争責任だけでなく、天皇制の是非についても議論が及ぶテーマかも。
この作品を批判する人たちは、踏み込んで欲しくない領域に議論が飛び火することを潜在的に恐れているのかも。

個人的には皇室ある方が国の格が上がるなど、様々な国益を考えたら維持する方が良いと思う。
まるで人身御供だと思うけど。

鑑賞後は5名程度のグループでディスカッション。
展示の再開は正しい判断だと思う。
最初は大村知事に問題があると思っていた。
再開に向けた検証作業の中で、津田芸術監督の策略が明らかに。
「展示内容はこちらに全面的に任せて欲しい」
そう言って問題作の内容を伏せて強行展示。
津田さんはジャーナリスト、
内容を伝えればNGになると危惧したのだろう。
ジャーナリストとしてはある意味正しいやり方。
でも本当にNGになっていた?
徹底的に作品の意図を説明して、周りを説得する事を放棄しただけに思える。
意見を交わして一緒に万全の安全策を取る、
その機会を自ら手放したことは間違いだと思う。

時期的に京アニ事件の直後だったのは残念。
たとえ万全の対策をしたとしても、きっと結果は同じだった。
不幸中の幸いは展示を再開出来たこと。
これは画期的なことで、とても誇れることだと思う。

樋口シンジもどきの文科相が補助金出さないって?
大村知事、あれで一気に負けん気が湧いたか?
負けんなよ愛知県(((o(*゚▽゚*)o)))



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