土用の丑の日に限らないが,よく食の老舗で「江戸時代から継ぎ足し継ぎ足ししてきたタレ」とかいう話があり,そのたびに,「ばかか」と思う
まあ,ウナギのタレがどういう単位で存在するのかはさておき,たとえば単位不明で n = 1000000 としよう。毎日毎日そのうちの千分の1である m = 1000 を使い,そのぶんだけ新しいものを補充するとしよう。
当初,n 個の要素は全て 1 を持っている。a = rep(1, n)
毎日毎日そのうちの r = sample(n, m, replace=TRUE) の要素が新しいものに置き換えられる。
つまり,使われた要素は 1 から 0 に変えられる。a[r] = 0
一日が終わったとき,当初の要素が幾つあるかは sum(a) でわかる。
というようなシミュレーションプログラムが以下のようになるであろう。
n = 1000000
m = 1000
a = rep(1, n)
day = 9999
conc = integer(day)
for (i in seq_len(day)) {
r = sample(n, m, replace=TRUE)
a[r] = 0
t = sum(a)
conc[i] = t
cat(sprintf("day %3i, parts = %i\n", i, t))
}
plot(1:day, conc, type="l", xlab="day")
day 1, parts = 999000
day 2, parts = 998000
day 3, parts = 997003
day 4, parts = 996006
day 5, parts = 995011
:
day 1101, parts = 332353
day 1102, parts = 332005
day 1103, parts = 331680
day 1104, parts = 331357
day 1105, parts = 331023
:
day 9995, parts = 50
day 9996, parts = 50
day 9997, parts = 50
day 9998, parts = 50
day 9999, parts = 50
図にすると,以下のよう。見事に指数関数的減衰。
27年ほど経つと濃度は 0.00005 になる。
もし,一日に 1/100 を入れ替えるとすると,1000日(約2年9ヶ月)で 0.00005 になる。
江戸時代からだと,ほとんど1個の分子すら残っていまい。
まあ,「一晩の内に,古いタレが,新しいタレを教育して昔ながらの味になる」なんて,おとぎ話があるのかもしれないけど。