SPIDERS IN LOVIN' COOL

ケロロ軍曹(主にクルドロ)や、名探偵コナン(主に平和)の小説。
毎週土曜日は「今週のクルドロ萌え」を予定。

涙(名探偵コナン【平次←七槻】)

2008-01-12 22:58:24 | 名探偵コナン(平次←七槻)
----------同じ罪を犯し 共犯者になれたなら
もう離れられない それがいい----------


どんな理由があろうとも、彼は私に同情なんてしないだろう。
西の高校生探偵、服部平次…か…。
17歳にして、全国の探偵の中でもベスト8に入る実力の持ち主らしい。
事件の可能性があればドアを突き破り、
窓ガラスを割って何よりも先に人命を助けようとする、熱血探偵。
友人が犯人扱いされて自殺した、
ラベンダー屋敷の誤った推理を披露した高校生探偵に復讐したくて、
時津潤哉、白馬探、そしてこの服部平次を無人島までおびき寄せた。
あなたがラベンダー屋敷の探偵だったら…離れなくて済んだかもしれないのに…。

「ねーちゃん」

本土について、パトカーに乗せられるところで、声をかけられた。

「……なんてゆうたら判らんのやけど…もう、変なこと考えるなや?」
「どういうこと?」
「……ちゃんと生きて罪を償ってな…もう、復讐なんてアホなこと考えるなや?」
「……うん、判った……」
「オレ、あんたみたいな人間、一人も出さんように頑張るから…」
「……」
「罪を償っても、辛いことぎょ~さんあるかも知れんけど…
戻ってきたら、今度はほんまに探偵甲子園やろうや?」
「出てくる頃には、君もおじさんになってるかもね」
「そやな、もしかしたらオレ、そん時はもう、探偵ちゃうかも知れへんし。」
「どうして?」
「……オレは探偵より、刑事になりたいから…」
「そっか…君が刑事になったら、探偵なんていらない世の中になるかもね。」

彼が笑う。屈託のない笑顔、17歳らしい笑顔に、愛しさを感じる。
私があと、3歳若かったらなぁ…。
きっと無人島に船をつれてきたポニーテールの女の子が、
彼の思い人なんだろう。

「ほな、またな」

彼から放たれた言葉は、同情なんかじゃないと信じたい。

(好きだな、君みたいな探偵)

あの時自分が発した言葉は、きっと嘘だった。
探偵としてじゃなく…
一人の男性として好きになってしまったのだろう。
私はパトカーの中で、推理の時、彼に掴まれた左腕に、こみ上げてくる熱を感じた。
その熱さが切なくて、パトカーで一人、涙した。


Fin


【あとがき】
七槻、すごい可愛かったから、犯人だったときはビックリでした。
継続的に出してけば、絶対人気でるのに、
犯人で一回しか出ないなんて、もったいないです。
七槻は平次の人間性に惚れて、
最終的に平次に捕まえてもらって嬉しかったはず。
ちなみにタイトルの「涙」と最初の2行は、
小松未歩さんの2ndアルバムからです。
今後大好きな曲を基に書くのが増えるかも。