ペルーでは現地の県庁のようなところにいて、土木技術協力を名目に働いていたのです。月曜にトラックに乗って工事現場に入り飯場生活、金曜に町に戻ってくる、と言う生活を続けていました。そのトラックが、スゴイのです。日産のダットサントラックなのですが、まずスピードメーター等の計器がほとんど壊れている、サイドブレーキはワイヤーが切れたまま、方向指示器作動せず、ギヤチェンジは3速目が壊れていて入らないので2速と4速をチェンジしながら、上り坂はグウィ~~ン・ガチャ・ドドドddd・・・・部品が無いのです。お金も無いから修理ができない、しかたがない、としか言えないのです。んで、前がなぜかシャコタン、つまり沈んでいる、わけを聞いたらバネが折れちまった、との事。板バネなら溶接も可能ですがコイルバネなので折れたらおしまい。そんなトラックで50キロの未舗装のがたがた道路を20キロくらいのスピードで行くのです、ああ、気が遠い。そんな車でも帰りはよいよい、アンデスの山々を眺めながらドライブ気分、そして途中で客を乗せていくのです。そのアンデス山中はバスもろくに通らないので人々は道行くトラックを乗り合いバス代わりにしているのです。同乗者はペルーの公務員、公用車に人々を乗せて、運賃を取って荒稼ぎ、町に入るとそのトラックのまま飲み屋に直行、運賃はピールセン・カヤオ(ビール)に化けるのです。ダットサンは昔、ヤットサンと呼ばれていたそうです。おんぼろトラックでいつもヤット走った、からだそうです。ペルーのダットサンはウサギにも追い越されそうなヤット亀サンだったのです。
