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シリーズ平成の乱 民主党セカンド・ベストの悲劇

2010-12-25 | Weblog
シリーズ平成の乱 民主党セカンド・ベストの悲劇
 9月14日の民主党大会で菅直人代表が小沢一郎元代表を破り党代表に再選され、首相に就任した。
6月に沖縄普天間飛行場の県内移設問題の取り扱いと社民党の連立離脱、そして「政治とカネ」の問題で責任を取って、鳩山首相が小沢幹事長(当時)と共に辞職し、菅政権に引き継がれた。しかし菅首相は、厚生大臣として薬害エイズ問題で関心を引いたことはあるが、政権運営の経験はなく、7月の参院選では、消費税増税発言とマニフェストの修正、脱マニフェスト方針などで大敗した。本来であれば、鳩山首相の次は党内一の実力者である小沢一郎議員が首班となっても良かったところであるが、鳩山首相の辞任と合わせて幹事長職を辞したため、いわばセカンド・ベスト(次善の選択)として菅直人議員を首班とせざるを得なかった民主党の悲劇と言えよう。
小沢一郎元代表は、09年8月の総選挙において民主党が大勝し、本格的な政権交代をもたらした最大の功績者であり、またマニフェストを含む政策面でも対外関係においても自らの考えでリーダーシップを取れる政治家である。同議員は、一部保守系マスコミに作られたイメージは別として、政治理念や内外の政策においても、また卓越した政治経験と決断力においても、目下与野党を通じて日本をリードして行ける最有力の政治家と言って良いであろう。タイム誌の表紙にも顔写真が載るなど、国際的にも知られている数少ない日本の政治家の1人である。
 09年8月の衆院総選挙を受けて政権交代を実現し成立した鳩山首相自体も、同年春に小沢議員事務所の政治資金の記載問題で元秘書が逮捕されたことから、同議員の違反容疑はなかったが責任を取って民主党総裁を辞任したため、鳩山由紀夫議員が同党総裁になった。鳩山総裁自体も、セカンド・ベストの選択であったと言える。そして鳩山総裁は同年8月の総選挙でマニフェストを掲げて大勝したが、選挙対策を担った小沢議員他の努力が無ければあれだけの大差での勝利はなかったであろう。
 民主党は09年9月に政権を取ることに成功はしたが、リーダーはそれぞれ有力な議員ではあるものの、2代続けてセカンド・ベストを当てざるを得なかったことから悲劇を招いている。それは同党にとっての悲劇であるだけでなく、政権交代を支持した有権者にとって、従って日本全体にとっても悲劇である。「国民との契約」を謳ったマニフェストが菅政権になって実質的に後退して来ている。小泉政権が退陣し、民意を問わぬまま安倍、福田、麻生政権へと政権移譲(党内たらい回し)され、改革路線から復古路線へ逆戻りし、崩壊した経過に良く似ている。政権としての軸が薄れ、何を政策目標とするかが分らなくなっている。情勢の変化に伴う弾力性と若干の修正は望ましいし、野党側等からマニフェストで示された施策への批判はあろうが、それが有権者の選択であった以上、少なくても4年間の実績で判断されるべきなのであろう。それを変更するのであれば民意が問われることが望ましいが、参院選では支持は得られなかったと言えよう。
 「政治とカネ」の問題が野党や党内の一部グループから指摘されている。しかしこの問題は重要ではあるが、過剰に強調され政争の具や既成の体制維持に利用されてはいないだろうか。清廉な政治を維持することは極めて大切であり、そのために不正な資金をチェックすることが大切である。検察当局は、昨年春と本年1月に小沢議員事務所で資金管理に携わっていた現職議員を含む3人の元秘書をそれぞれ逮捕し、関連事務所や家宅を広範囲に捜査したが、嫌疑不十分で議員の起訴はいずれも行えなかった。嫌疑が十分でなく、違反の事実が立証できない場合はもとよりであるが、“疑わしきは罰せず”が原則であろう。それが守られなければ冤罪を助長する恐れがある上、官僚組織の一部である検察当局により自由な政治活動を萎縮させ、或いは抑制する恐れさえある。特に現在行政制度の改革を巡り官僚側の抵抗が明らかであり、検察当局を官僚組織の砦とするようなことは厳に避けなくてはならない。それは民主主義の根幹に係わる事であり、より深刻だ。いずれにしても「政治とカネ」の問題はニュースとしては興味があるが、国民の現在の最大の優先事項ではない。国民の最大の関心は、年金の安定と将来不安の払拭、景気と雇用、強いリーダシップなどであろう。強いリーダシップがなければ政治的安定も望めないし、国際社会で存在感も示せない。野党を中心として保守系メデイアが「政治とカネ」問題を大きく報道して来ているが、何時まで引きずれば良いのであろうか。政治の場での優先順位が違うのではないだろうか。国民が政権交代を是としたことを前提として、そろそろ国家、国民の優先事項、政策に焦点を当るべき時期ではないか。
検察審議会が起訴相当との結論を出した。同審議会は昭和23年の法律に基づき設置されているもので、米国の大陪審を除きほとんどの先進工業国では廃止されている。その上証拠などは検察側が提示しており、新たな証拠がないまま、検察や一部マスコミにより流された報道や噂で判断されているに等しい。新しい証拠がある場合を除き、一部マスコミの世論操作、情報操作で結論が左右される恐れが強い。小沢議員については、既に党総裁を辞任し、更に幹事長を辞任しており、一定の政治的な責任は取られている。更に、昨年春の同議員事務所の捜査には、証拠を改ざん・偽装した検事が当時携わっており、「見立て捜査」の信頼性と適当性が強く問われるところである。この検察の決してあってはならない不祥事で検事総長が近く辞任すると伝えられている。検察の捜査姿勢や「見立て捜査」の不適切さなどへの責任を取った形だ。小沢議員事務所への執拗な捜査と根拠の無い「見立て」情報で世論を操作し、それに乗った一部保守系マスコミにより作り上げられた世論を背景とした検察審議会の結論自体も問われなくてはならない。
特に政治資金規正法違反容疑のように議員活動に関係する事案は、反対勢力に政治的に利用される恐れが強い一方、国会でも取り上げることが出来るので、野党等がいつまでも与党の攻撃材料にし、二重にも三重にも審議することは過剰であると共に、政治活動を抑制し、萎縮させる恐れがあるので、議員の政治活動に関する事案を検察審議会の対象から外すなど同審議会自体のあり方や要否を検討する必要もあろう。単に“何となく怪しい”というだけで罪人を作り、或いは社会から排除していくネガテイヴ・スパイラルは望ましくない。最近の一部保守系マスコミやそれに流され易い世論も、誰か著名人を糾弾し、社会から引きずり下ろす、魔女狩り的傾向が強くなっており、一般庶民としてはいわば特権階級が引き摺り下ろされるので面白おかしく観ているが、マスコミの大きな役割の一つは、有能な政治家始め、有能な人を育て、鼓舞することでもある。それが国家、国民の利益となる。
いずれにしても検察審議会が起訴相当との結論を出している以上、強制起訴されることは現行法律上仕方がないが、速やかに裁判所での審理を開始し、2、3ヶ月以内で早急に結論を出すべきであろう。この問題をこれ以上引きずることは望ましくない。
現在民主党内で小沢議員の政倫審への出席を巡り、菅・岡田執行部と同議員の間で対立している。民主党現執行部は、きれいな政治が同党の基本的な姿勢であるとして「政治とカネ」の問題を重視しているが、同党はこの問題の幕引きの時期を見誤った。2月に検察当局が同議員に対し嫌疑不十分、不起訴とした時点で本件の幕引きにシフトすべきであったのであろう。しかし生方議員のように、自ら政治資金の不適正管理をしていながら、個人的な人気取りのために小沢批判を繰り返している。誰かを批判していることが仕事であった野党時代の意識を抜け切れていない野党ボケとも言える。政倫審に出たところで同議員は、不正なことは一切していないとしている上、強制起訴を前にしてほとんど何も応えられないのは当然であるので、野党側は不十分、疑惑は深まったなどとして攻勢を強めるであろう。狙いは小沢排除であり、同議員を排除すれば、民主党は政権運営に不慣れな集団でしかなくなるので、野党及び一部の保守系マスコミ等は同議員を排除するまで攻勢を緩めないことは目に見えている。
しかし野党自民党も、そのような敵失だけで次の総選挙で単独過半数を得ることはまずなさそうに見える。現在の年金不信に基づく将来不安、経済不振と雇用不安、その中での行政の肥大化と官僚貴族の温存、議員優遇と一票の格差問題などの選挙制度改革の停滞、また外交問題でも普天間問題、北方領土問題、東シナ海油田開発問題など、現在の日本の閉塞状態を温存し、実質的な改革を先送ってきたのは野党の自民、公明の両党であろう。その中で、自民党も一部有力議員が離党をし、新党を作っている。総選挙となれば、保守票の喰い合いとなろう。また野党側にも現在の厳しい内外情勢において政権を託せるような政治家は見えて来ない。(12.10.)  (All Rights Reserved.)(不許無断引用)

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