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平成の本音―「ゴーンと桜」

2020-02-29 | Weblog
平成の本音―「ゴーンと桜」
「ゴーン ゴーン元日産自動車等会長の問題と「桜を見る会」に代表される問題での検察当局の対応の顕著な差についてである。
1、ゴーン元日産自動車等会長は日本の裁判所で戦うべきであった
カルロス・ゴーン元会長は、1999年3月、2兆円規模の負債を負い経営危機にあった日産自動車の社長に就任した(出身元ルノーの上席副社長の地位は維持)。その後日産はゴーン社長の下でV字回復を果たし、会長職に就いていたが、2018年11月、金融商品取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、日産他の会長職を解任された。容疑は、最高経営責任者としての報酬が年10億円と記載されていたが、日産側との契約で退任時に高額の追加的報酬が支払われる事になっていたなど、決算書記載を大幅に上回る報酬を得ることとなっていたなどと伝えられている。
そして金融商品取引法違反としては異例とも言える拘留期間の延長、延長を重ね2019年1月、特別背任罪で追起訴された。 容疑は、海外の広告代理店への日産側からの支払いを一部身内の会社に流していたのではないかと報道されている。
これらの情報は検察側がメデイアに小出しにしている情報であり、ゴーン側はこれを誤った嫌疑として否定する一方、日産の日本人役員による外国人経営者追い出しを計る「クーデター」としている。
 ゴーン容疑者は、108日に及ぶ取り調べ、拘留期間を経て、15億円の保釈金を積んで保釈されたが、2019年12月29日、日本の司法制度への不信から不正出国し、プライベート・ジェット機でトルコを経由してレバノンに逃亡した。
 本稿は、ゴーン容疑者の主張を擁護するものでは一切無い。ゴーン容疑者は、無実を主張するのであれば、日本の裁判所で戦うべきであった。
 なお日本からの逃亡については、保釈の条件の一つが出国不可であった上、正規のパスポートを所持していたとはいえ、不正な出国であるので、法令違反である。他方、同人が日本の官憲や日産側から不当な「迫害」や人権侵害を受けたと認識し、受け入れ国側がそれを「認定」した場合は、出国が不正であったとしても国際的に問題になることはない。また逃亡先のレバノンは、ゴーン容疑者の国籍の一つであるので、自国民を保護することが出来る。
 しかしゴーン容疑者は、国際的なビジネスマンとして功なり名を遂げていたので、日本での裁判をこのような形で回避したことは残念なことだ。

 2、「桜を見る会」などに対するゆるい検察当局の対応との顕著な差異
 ゴーン事案と対比すると「桜を見る会」での招待者リストの全面廃棄や安倍晋三事務所関係の被招待者への一流ホテルでの豪華レセプション、及びこれに先立つ森友学園問題での公文書の書き換え、加計学園問題での縁故者優遇など、国家の統治システム、公正であるべき行政の根幹にも関わる重大な事件に対する検察当局の対応は非常に寛容と映る。
 森友学園問題では、超低価格での国有地売却問題が国会で問題視されるにつれ、政府首脳は森友学園と距離を置き、事実に反する弁明をし続けた。そのため財務省当局は、それとつじつまを合わせるため、決済済みの関係文書の書き換えをするなどの不適正な対応を余儀なくされた。そして財務大臣がこれを擁護した。国有財産を廉価で売却し国民に不利益を与えた上、財務行政、ひいては行政全体への信頼性を大きく失わせたところである。検察は、当時の財務省の担当局長を不起訴とするなど、何ら対応しなかった。いわば「無かったこと」として誰も責任を問われなかった。
 加計学園問題についても、行政を歪めた可能性があるが、政府首脳サイドは加計理事長との距離を取り始め、加計学園の影響を否定することに終始したため、内閣府、文科省、官邸は、資料隠しと廃棄、記憶隠しと嘘を強いられたと言えよう。これも「無かったこと」として誰も責任を問われなかった。
 これら一連の問題の凝縮が「桜を見る会」の問題と言えよう。招待されている人数が現政権以前の2倍以上の18,000名を超えると共に、官邸枠、特に首相枠や特定議員枠などが急増し、事実上地元の選挙事務所推薦の一般人や企業役員等が入っていたことが明るみに出た。「桜を見る会」は5,000万円超の官費(税金)を使った「公式行事」であるが、招待者リストを野党が要請したところ、所管している内閣府が10日後程度で資料をシュレッダーで廃棄し、更にコンピューターのデータも消去されたとし、リストは出せないとしている。「プライバシー保護、個人情報保護」のためとしているが、公式行事であるにも拘わらず、名前を出せないほどヤバイ人を招いていたのだろうか。そもそも業績や功績のあった人を招くことが目的であるので名を出されることは名誉であろうし、住所などは都道府県以下を公表しなければ問題はなかろう。
税金を使った行事であり、会計検査も国会の決算委も終わっていない段階での関係資料の廃棄であるので、事態は深刻だ。コンピュータ・データや基盤まで破棄していたとすれば悪質だ。リストはどこかに残っていないはずがない。「コンピュータ・データは文書ではない」などとする説明は、詭弁であり、そうであるならば行政文書のデジタル化は‘まぼろし~’の記録であり、デジタル記録は意味が無くなる。行政側は、都合の悪いデータは何時でも消せることになるので、もはや行政は信用が出来ない状態となる。会計検査院や国会の決算委による特別会計検査なども検討すべきであろう。
ホテルニューオータニで行われた首相側招待客850人ほどへの前夜祭については、会費が1人5,000円とされるが、高級寿司店まで入っている会合であるので、通常は1人15,000円内外と予想され、差額はホテル側が宿泊者の料金を割り引いた形と説明されているようだ。しかしそうであるとすると、安倍選挙事務所関係者であるからということでホテル側が例外的な便宜を与えたことになる。主要ホテルは、国公賓等が来日した際に官邸や迎賓館へのケーターリングなどを担当することがあり、利害関係者でもある。更にホテルに宿泊していない被招待者への差額は一体どう説明するのか。この問題も資料やデータが消され、「無かったこと」として処理されるのだろうか。
 このように、政権首脳による縁故者優遇や公的資料の廃棄、偽造等は「桜を見る会」が初めてではなく、現自・公政権の下で何度も行われて来ている。このことは、恣意的な縁故者優遇や公的資料の廃棄、偽造等が行政府全体に慣例化して来ていると見られ、官邸を含む行政中枢の倫理(コンプライアンス)と内部統制の面で非常に深刻な問題をはらんでいる。これらを「無かったこと」として容認している与党両党も頼りが無いし、多くの国民は政権を預けて行くことに不安を覚えるのではないだろうか。
 また検察がこれも「無かったこと」として目をつぶっているとすれば、ゴーン事件との対応の差は明らかであろう。ゴーン事件は一私企業内の問題でしかないが、「桜を見る会」に代表される問題は、行政システムの根幹に関係し、国民全体に影響する問題と言える。国際世論が検察の対応の差に気付き始めているとしても不思議はない。(2020.1.14.)

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