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シリーズ平成の本音―争点先送り、上手な施政方針演説! (その1)

2013-03-13 | Weblog
シリーズ平成の本音―争点先送り、上手な施政方針演説! (その1)
 1月28日、通常国会が開会し、安倍首相の施政方針演説が行われ、国会論戦の火蓋が切られた。第一次安倍内閣の際とは異なり、その後不遇の経験を積み、見識を広めたこともあり、堂々としたスピーチであり、首相としての風格も備え心強い限りである。今後の健闘に期待したい。
 演説では、冒頭で日本経済の危機、東日本震災からの復興の危機、安全保障・外交の危機、教育の危機の4つの危機に直面しているとして危機感を煽った上で、各分野での取り組みを表明している。
 これらの分野は財界を含め国民受けする課題である。特に、経済分野ではドル高、円安方向に為替の是正が始まり、輸出産業や関連裾の産業を中心として株価が上がり、回復への動きが既に出てきているので、いわば受けの良い課題を全面に出しつつ、危機を煽り、与野党、国民の団結を訴えるという巧みな課題選択とアッピールであると言えよう。
 しかし日本経済の危機等はバブル経済崩壊後先送りされて来た危機である一方、国民の最大の不安である年金不安、国の借金依存の財政危機、少子高齢化による統治機構の危機、地方過疎化の危機、公共事業の不誠実執行、沖縄の不安など、国民の日常生活や消費活動に密接に関係する問題にほとんど言及がなく、奇異である。7月の参議院選挙まではTPPへの交渉参加問題を含め、争点を先送る姿勢とも受け取られかねない。政治的には巧みであろうが、国民が何となく割り切れない印象を受けているのはそのような争点先送りのスピーチであるからではなかろうか。本格的な国会審議でこのような争点は表面化して来よう。
 1、日本経済の危機、今に始まったことではない
 現在の経済停滞は、90年代中頃に生じたバブル経済崩壊以降の資産デフレを引きずっていることが背景になっている。そのような中で2008年9月に米国発のリーマン・ショックによる世界規模での金融危機の影響を受け、更に2010年3月の想定外の東日本大震災が発生し、福島原発停止の影響と相まって、このような内外要因が重なって回復が遅れているものであり、前民主党政権の責任で招いた危機ではなく、旧自・公政権以来の資産デフレと外的要因などの影響を受けて停滞が長期化しているものであるので、いたずらに危機を煽ることは問題の本質から目をそらせることになり、フェアーではない。
 日本経済が最近直面している最大の問題は、東日本大震災の影響がある中で、実体経済を越えた過剰な円高にあったことであるが、昨年11月中旬ころよりドル高方向に是正され始め、現在1ドル90円台まで是正されており、輸出産業や関連裾野産業を中心に若干の明るさが出てくる。それを反映して少し株高となっているので、経済危機などとは言えない。日本経済の自立回復には、円の独歩高が安定的に是正されることが当面最も重要であり、安定的に是正されている限り経済危機の状況にはない。
 危機的状態なのは、年金不安であり、これが深刻な将来不安に繋がっており、一般消費者の消費節約の最大の原因となっている。自・公政権は、民主党政権と社会保障制度と税の一体改革の中で消費増税に合意して置きながら、消費増税を固めるための景気対策一辺倒で、社会保障制度改革については何も言及していない。若い世代はもはや年金を信頼しておらず、無年金層は増えるであろう。他方、生活保護は214万人に達し、国民年金より給付額が遥かに多いので、このままでは長寿化の中で生活保護はますます増え、国民年金加入者は減少し、無年金者が増えるであろう。
 また中長期の持続的な経済回復にとっては、財政上の危機が問題と言えよう。92.6兆円規模の2013年度一般会計予算の政府原案が決定されたが、公共事業等景気対策は良いが、歳入のうち国・公債(国の借金)が42.8兆円の高額になっている。かろうじて税収を下回ったと言えども、補正予算で前借りに相当する年金特例公債2.6兆円を加え合計約8兆円の国・公債による借金をしているし、13年度本予算でも年金給付不足分のつなぎ融資(消費増税を前提とした前借り)が更に2.6兆円あるので、税収が国・公債(国の借金)を上回ったとも言い切れない。更に、過去の公的債務(借金)の利子支払いだけで約10兆円、元利合計で22.2兆円もの支出を強いられていることを認識すると、更なる国・公債(国の借金)の発行は国民の将来負担を増加させるのみと言えるであろう。従って、経済対策は良いが、ニーズ、優先度に従った予算項目の組み換えや節減等を行い、補正、本予算双方において国債発行を圧縮することが望ましい。
要するに、税収43兆円の50%以上を借金返済に当てているにも拘らず、経済対策のためとは言え、税収不足分を合計45.4兆円の借金で穴埋めしていることになる。こんなことなら誰でも出来るが、家計にしろ企業にしろ破綻する。プライマリーバランスへの中長期への取り組みに簡単に触れているが、危機意識に欠ける。
独法などの政府機関を含め、行政組織が保有する国有財産の徹底的な削減とその管理費・人件費の削減、及び全省庁の管理費系統の抜本的な削 減を図り、行政経費のコストダウンを図るこが不可欠であろう。少子高齢化による社会保障費が増加する一方、国民の税負担能力の低下に対応した簡素で効率的な行政モデルの構築し、国・公債依存を漸次低めて行くことが不可欠であろう。
2、東日本震災からの復興の危機とは何か、意味不明     (その2に掲載)
3、安全保障・外交の危機、煽るのは国益に反する     (その3に掲載)
4、教育の危機、家庭教育の欠如か中央統制的教育の弊害? (その4に掲載)
(2013.02.01.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)

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