厚労省が2025年7月7日、1人当たりの現金給与総額(規模5人以上)が前年同月比で1.0%増となるも実質賃金ではマイナス2.9%と5カ月連続でマイナスと発表した。折角2025年の給与が4~5%超上昇したが、米価暴騰など物価高騰を抑えられなかったことが響いた結果となった。物価は2024年4月頃から日銀のインフレ目標2%を超え、欧米諸国が金利引上げを含む金融引き締め、物価抑制に政策転換していたのに、日本政府・日銀は対応先送りを繰り返し、物価抑制に適正に対応しなかったことが明らかとなった。日銀は、日米関税の動向が不透明などとして未だに決定を先送りし、結果として2013年1月より安倍政権(当時)の下で実施されて来た異次元の金融緩和が0.25%金利があったものの微々たるもので、12年間も継続している。世界経済など外部環境の好転を期待してのことであろうが、それを反映し円安に振れやすくなっている。
円安誘導は安倍政権(当時)の下の異次元の金融緩和で1ドル110円前後から一気に1ドル160円レベルまで進み、輸出関連産業や外国人観光業などに好影響を与え、経済を支える形となったが、輸入物価を含め物価は上昇し、実質賃金は上昇せず、また国民所得の国際比較では円安も手伝って下がる一方となっている。対米貿易収支も黒字を続け今日のトランプ政権の不満を募らせる結果を招いている。他方円安も手伝って、今や日本の国民総所得はドイツにも抜かれ世界第4位、1人当たりの名目所得は3.4万ドル、先進工業国 中22位、韓国に抜かれている。国民が犠牲になっている形だ。
それが日本の実力ということにもなろうが、安倍政権以来膨大な通貨を市場に供給し、物価が日銀設定目標の2%を越え続けても、毎年のように景気対策と称して戦後最大の予算規模を更新し、国債など国の借金として将来世代につけ回し、物価刺激型予算を組み続けている。政権維持のための経済・金融政策と言われても仕方が無い。その多くが膨大な産業・団体への補助金や事業委託費、更に団体基金など景気対策として支出されている。それが経団連などの大手企業や関連団体から年間300億円以上の政党寄付金やパーテイー券購入として政党に還流している。要するに政権(業界)ファースト、国民ラストの政治と映る。
民主主義の基本は国民(有権者)であるので、個々人の支持と献金で政党が維持されることが望ましい。日本のように新卒優先・終身雇用の雇用形態が強い場合、企業、団体献金は従業員に心理的影響力を持つので、企業、団体献金は望ましくない。本来の個々人の支持と献金に基づく政党育成を図っていくことが望ましい。
中銀の金利政策についても、政権(業界)の顔色を伺い、自ら設定したインフレ目標2%以上になっても景気動向を優先し、国民生活や所得を圧迫する物価動向や雇用賃金動向は後回しにされており、産業への影響に加え国民生活への影響が反映されるよう改善することが不可欠となっている。(2025.7.9.)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます