シリーズ平成の本音―東京オリンピック3巨大施設で組織委ファースト!(再掲)
2021年2月3日、オリンピック組織委森会長が、JOC臨時評議会において、女性理事40%目標との関連
で、女性は話が長い、増員するなら発言時間制限が必要との発言をし、また人気の無い芸能人は田ん
ぼで走ったらよいなどと発言したことが、差別的発言として報道された。翌4日午後、同会長は釈明会
見を行ったが、メモを見ながらの「謝罪、発言撤回」で気持ちが伝わって来ないなどのコメントが多
方面から寄せられている。同会長は、一生懸命努力して来ており、自分から辞める気持ちはないとし
ているが、進退に発展しかねない状況になっている。同会長のご努力はその通りであろうが、4年前に
組織委が設置された当初から、膨大な予算規模や都知事との確執などが伝えられると共に、お気の毒
ではあるが健康上の問題もあり、お疲れになっている表情が痛々しいほどであり、もう少し早めの対
応が必要ではなかったのではなかろうか。またオリンピック・パラリンピックというスポーツの祭典
には、そもそも政治家や官僚OBが中心になることは、政治的中立性を含め不偏不党のスポーツ精神に
なじまないのではなかろうか。他方、膨大な金が掛るから民間人は尻込みする状況となっているの
で、このような金の掛るオリンピックが必要なのかも考える時期にあるのではなかろうか。そこで、
本稿(2016.12.)を再掲したい。(2021.2.4.)
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて建設が検討されている3巨大施設について、小池都知事は就任後、巨額の費用となるボート、水泳、バレーボールの3施設建設の見直しを行うことを表明した。同知事が、選挙中に東京オリンピックに向けて国際都市東京としての努力と期待を述べつつ、全体として3兆円とも言われる費用が予想されることに疑問を呈するなど、都民ファーストの都政改革の必要性を訴え、圧倒的な多数で当選したことを受けての提言である。
3施設の内、海の森水上競技場とアクアティクスセンターについては、IOC、東京都、政府、及びオリンピック組織委の4者協議を経て、従来の計画をスリム化して300~400億円の節減をすることで決着したようだ。
バレ-ボールの有明アリーナについては、従来世界大会も開催されている横浜アリーナを活用する案と比較し、クリスマス前までに東京都が結論を出すこととされている。
1、有明アリーナ建設となれば、横浜アリーナは2流となる!?
流れとすれば、組織委(会長森元首相)とアスリート団体が新施設を希望していることを強調していることに加え、横浜アリーナを利用する場合の費用問題などから、多くのメデイアは結局のところ有明アリーナになるのではないかと予想している。
組織委の森会長は、横浜アリーナ使用を含め、見直しに強い不快感を随所であらわにしているが、有明アリーナを建設することになれば、横浜アリーナは恐らく将来バレーボールに使われることはほとんどなくなると共に、いわば2流の地方的イベント会場になる恐れがある。横浜市や神奈川県がそういうことでも良ければ仕方がない。
2、東京都民は巨大施設の見直しや都政改革を選択した
新しい施設を作ってくれるのであれば、アスリートや関係団体と組織委はそれを強く求めるであろう。しかしそれは都民の税金で負担されることを忘れてはならない。もし組織委等がアスリートファーストに固執するのであれば、それを支持する。しかし費用はアスリートや関係団体、組織委が努力して寄付等を募って工面すべきであろう。東京都民としては、オリンピック・パラリンピックの成功を願うが、その負担を都民に押し付けられることは望まないであろう。都民は都政改革を訴えた小池知事を選んだ。都民ファーストとは言わないまでも、消費増税と日常物価上昇の中で事業税、住民税の負担感が強くなっており、そんなにオリンピックで贅沢が出来るのであれば、事業税、住民税の引き下げを望みたい。
3、国家的ビジョンに欠ける東京オリンピック・パラリンピック2020
また基本論として、東京に新国立競技場の他、そのような大規模施設を集中させてどうする積りか。採算性も重要だが、そのような大規模施設を作れば、更に機能や人が東京に集中し、地方は更に取り残されることになり兼ねない。今回の東京オリンピック・パラリンピックについては、東京を将来どうするのか、地方をどう活性化して行くのかという国家的なビジョンにも欠ける。と言うよりも、東京の機能の分散と地方の活性化の方向に反するのではないか。
4、組織委の人事刷新が不可欠
今回の東京オリンピック・パラリンピックについては、組織委の対応が失態続きで、際立って悪い。新国立競技場の法外な費用問題、エンブレム問題、そして今回の都が負担する巨大施設の膨大な建設費問題など、建設費が高騰していると業界はしているとは言え、費用をもりにもった放漫姿勢やガバナンスの欠如が懸念される。組織委ファーストの姿勢が随所に見える。
巨大施設問題が決着すれば道筋は出来るので、組織委の会長と事務総長が交代する良い機会ではなかろうか。(2016.12. 3.)
2021年2月3日、オリンピック組織委森会長が、JOC臨時評議会において、女性理事40%目標との関連
で、女性は話が長い、増員するなら発言時間制限が必要との発言をし、また人気の無い芸能人は田ん
ぼで走ったらよいなどと発言したことが、差別的発言として報道された。翌4日午後、同会長は釈明会
見を行ったが、メモを見ながらの「謝罪、発言撤回」で気持ちが伝わって来ないなどのコメントが多
方面から寄せられている。同会長は、一生懸命努力して来ており、自分から辞める気持ちはないとし
ているが、進退に発展しかねない状況になっている。同会長のご努力はその通りであろうが、4年前に
組織委が設置された当初から、膨大な予算規模や都知事との確執などが伝えられると共に、お気の毒
ではあるが健康上の問題もあり、お疲れになっている表情が痛々しいほどであり、もう少し早めの対
応が必要ではなかったのではなかろうか。またオリンピック・パラリンピックというスポーツの祭典
には、そもそも政治家や官僚OBが中心になることは、政治的中立性を含め不偏不党のスポーツ精神に
なじまないのではなかろうか。他方、膨大な金が掛るから民間人は尻込みする状況となっているの
で、このような金の掛るオリンピックが必要なのかも考える時期にあるのではなかろうか。そこで、
本稿(2016.12.)を再掲したい。(2021.2.4.)
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて建設が検討されている3巨大施設について、小池都知事は就任後、巨額の費用となるボート、水泳、バレーボールの3施設建設の見直しを行うことを表明した。同知事が、選挙中に東京オリンピックに向けて国際都市東京としての努力と期待を述べつつ、全体として3兆円とも言われる費用が予想されることに疑問を呈するなど、都民ファーストの都政改革の必要性を訴え、圧倒的な多数で当選したことを受けての提言である。
3施設の内、海の森水上競技場とアクアティクスセンターについては、IOC、東京都、政府、及びオリンピック組織委の4者協議を経て、従来の計画をスリム化して300~400億円の節減をすることで決着したようだ。
バレ-ボールの有明アリーナについては、従来世界大会も開催されている横浜アリーナを活用する案と比較し、クリスマス前までに東京都が結論を出すこととされている。
1、有明アリーナ建設となれば、横浜アリーナは2流となる!?
流れとすれば、組織委(会長森元首相)とアスリート団体が新施設を希望していることを強調していることに加え、横浜アリーナを利用する場合の費用問題などから、多くのメデイアは結局のところ有明アリーナになるのではないかと予想している。
組織委の森会長は、横浜アリーナ使用を含め、見直しに強い不快感を随所であらわにしているが、有明アリーナを建設することになれば、横浜アリーナは恐らく将来バレーボールに使われることはほとんどなくなると共に、いわば2流の地方的イベント会場になる恐れがある。横浜市や神奈川県がそういうことでも良ければ仕方がない。
2、東京都民は巨大施設の見直しや都政改革を選択した
新しい施設を作ってくれるのであれば、アスリートや関係団体と組織委はそれを強く求めるであろう。しかしそれは都民の税金で負担されることを忘れてはならない。もし組織委等がアスリートファーストに固執するのであれば、それを支持する。しかし費用はアスリートや関係団体、組織委が努力して寄付等を募って工面すべきであろう。東京都民としては、オリンピック・パラリンピックの成功を願うが、その負担を都民に押し付けられることは望まないであろう。都民は都政改革を訴えた小池知事を選んだ。都民ファーストとは言わないまでも、消費増税と日常物価上昇の中で事業税、住民税の負担感が強くなっており、そんなにオリンピックで贅沢が出来るのであれば、事業税、住民税の引き下げを望みたい。
3、国家的ビジョンに欠ける東京オリンピック・パラリンピック2020
また基本論として、東京に新国立競技場の他、そのような大規模施設を集中させてどうする積りか。採算性も重要だが、そのような大規模施設を作れば、更に機能や人が東京に集中し、地方は更に取り残されることになり兼ねない。今回の東京オリンピック・パラリンピックについては、東京を将来どうするのか、地方をどう活性化して行くのかという国家的なビジョンにも欠ける。と言うよりも、東京の機能の分散と地方の活性化の方向に反するのではないか。
4、組織委の人事刷新が不可欠
今回の東京オリンピック・パラリンピックについては、組織委の対応が失態続きで、際立って悪い。新国立競技場の法外な費用問題、エンブレム問題、そして今回の都が負担する巨大施設の膨大な建設費問題など、建設費が高騰していると業界はしているとは言え、費用をもりにもった放漫姿勢やガバナンスの欠如が懸念される。組織委ファーストの姿勢が随所に見える。
巨大施設問題が決着すれば道筋は出来るので、組織委の会長と事務総長が交代する良い機会ではなかろうか。(2016.12. 3.)