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オリンピック開・閉会式典、ブタはタブーか?!

2021-06-17 | Weblog
シリーズ本音トークーオリンピック開・閉会式典、ブタはタブーか?!
 オリンピック・パラリンピック開会式、閉会式の企画については、1年延期され、コロナ禍での開催を考慮した簡素化のため、野村萬斎氏を中心とするチームが昨年解散され、クリエーティブ・ディレクターの佐々木宏氏が総括することとなっていた。
ところが同氏がチーム内のLineで、開会式に出演予定だった女性タレントの容姿になぞらえて豚の格好をさせるようなアイデアを提案したところ、メンバーがこれを「女性タレントの容姿を侮辱する」として問題視したようで、その内容がスキャンダル記事で勇名を馳せている某週刊誌オンライン(3月17日)に掲載された。
これがネット上などで「女性蔑視」の演出などとして批判され、佐々木氏は辞任する意向を表明し、橋本聖子組織委会長はこれを了承した。
森前会長の女性蔑視問題に端を発して組織委会長に就かされた橋本会長としては仕方ないことと思われるが、次の通り、他人の言葉尻等を捉まえて過敏に批判し、当該人を辞任に追い込むだけでなく、そのような例えや比喩を「差別的」などとして次々と日常の生活用語から消して行くことは、自由な表現や本音の発言を封じ、更に建前の発言に終始する文化やメデイアを作り出すのではないかと懸念される。
1、ブタはタブーか?
対象となった女性タレントは、お笑い系の女性芸人で、太った体型を活かしたてマライヤ・キャリーのものまねなどをし、そのギャップで内外において人気のタレントさんである。恐らく本人も体型を活かした芸風を意識しているのであろう。
辞任した佐々木氏の演出については見てみないと評価できない。ラインではブタの絵文字を使い連絡していたようであるが、恐らくは親しみを込めてそのようなアイデアを提案していたものと思われる。その女性芸人をブタに見立てる必要があるのかについては疑問だが、悪意はなかったのだろう。
ブタの衣装を着せるようなことは、コントやバラエテイなどでは男女を問わず時々行われており、また太っている芸人をブーちゃんなどと親しみを込めて呼ぶことも少なくない。悪意を込めて言えばいじめともなるが、男女差別用語でもなければ、それ自体タブー視すべきものでもない。
佐々木氏は今回のことで辞任する必要はなかったと思われるが、このような言葉尻を捉えて発言や行動を過敏に批判することが一般化していくと、神経過敏となり言動が萎縮し、発想や言葉自体が更に建前化する恐れがある。歴史的にも、倫理観や価値観が変化すると死語となる表現はあるが、今回はそれには当たらないようだ。
メデイアは、何を報道するかは自由であり、表現の自由は当然保障されなくてはならない。しかし当事者へのフェアーネスや社会的影響が考慮されると共に、禁句やタブーを神経質に次々と積み重ね、或いは放送用語が過度に抑制、制限されないよう十分に注意が必要のようだ。お笑い芸人が言葉を選んで発言しているのでは、面白くもおかしくもない。
2、 LineやSNSの危険性
 今回の問題は、Lineを通じてのグループ(お友達)内の連絡が発端となったが、何故グループ内の限定された連絡がメディアを通じて公にされたのかという問題がある。Lineは友達グループの間で自由に連絡しあえる便利なシステムではあるが、友達が友達を誘ってグループに入れることが出来るので、場合により余り知らない人がグループに入ってくることもあり、連絡内容も記録に残るので注意を要する。
 またこれとは別に、Lineの運用が委託されている中国の企業が会員の個人情報を取得していたことが明らかとなっている。デジタル通信は便利ではあるが、個人情報が漏れたり、なりすましなどが紛れ込んだりすることが日常的に起こりえるので、情報セキュリテイ、管理が不可欠である。その関連では、マイナンバーのように、1つのカードに個人の情報を詰め込むことの危険性を認識すべきであり、社会保障分野に限定するなど、簡素なものとすることが望ましい。情報セッキュリテイを徹底するという方法もあるが、そうすると操作が煩雑となり利用者の負担が更に増える一方、情報はいずれ何らかの方法で漏れることを認識すべきであろう。
この関連でマイナンバーは、一見便利そうだが、情報のインプットに膨大な作業と時間が必要となり、情報記載遅れやご記載で混乱し、処理しきれない状況となる恐れがある。公的年金だけでも、記載漏れや誤記載の前例がある。また情報セキュリテイを強化すると、利用者の負担が非常に大きくなる。所得税の申告の際、マイナンバーを記載することになっているが、同時に証拠書類としてマイナンバー・カードの写しと、それに加え、「本人確認のため」運転免許などの写しを添付することになっている。これを世間では二度手間というのではないだろうか。マイナンバー・カードは、利用者側の国民にとって効率的でも便利でもなさそうだ。
3、オリンピック・パラリンピック組織委への不信が背景
 今回の問題も、森前会長の女性蔑視発言問題も、組織委自体への不信、不満が背景にあったと見られる。
 組織委は、発足当初からエンブレム盗作問題、新国立競技場過大予算問題、更に小池都知事との確執などの問題が次々と表面化し、そのような失態続きの中で、森前会長の女性蔑視発言が大きな問題に発展したと言えるだろう。
 オリンピック・パラリンピックの性格上、特定政党と関係の深い政治家出身者が会長に就いたこと自体に基本的な問題があったと思われるが、その上身内びいきが強いなどの風評があり、事務局長(何故か事務総長に格上げ)も元財務官僚であった武藤氏を連れて来ている。同事務局長は、森前会長の女性蔑視発言で批判が出た際にも辞任を止めようとしており、この発言の意味合いを理解していないと見られている。事務総長として高額の俸給を得ているとも伝えられている。
 今回の佐々木氏の発言問題が辞任に発展したのは、このような組織委への不信が背景にあったと見られ、一連の失態の責任を速やかにとるのが筋であろう。その後は、橋本新会長が信頼できる事務局内の適当者を事務局長として事務を進めることが望ましい。(2021.3.22.)
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江戸城最古の石垣発掘、内外の人々に公開すべし

2021-06-17 | Weblog
江戸城最古の石垣発掘、内外の人々に公開すべし
 江戸城趾の1 部である東御苑に開設されている三の丸尚蔵館が2019年から拡張工事を行っているところ、2020年11月に「現存する最古とみられる江戸城の石垣」が発掘された。石垣は、同館の建て替え工事実施に伴い、江戸城趾が所在する東京都千代田区が必要な発掘調査を行ったところ発見されたもので、2021年4月13日なって公表された。
 石垣は、地下約7メートルから7段程度積まれており、高さ約4メートル、幅約16メートルのもので、江戸時代初期の1610~1620年ごろに築かれた堀の石垣と推定とすいていされている。石組みは粗く石と石の間に河原石がそのまま使われているなど、荒い作りとなっている。
 千代田区は、関係当局とも協議の上、積み方が弱く、くずれる危険性もあることなどから埋め戻すこととしている。
 1、折角の貴重な歴史的遺跡、展示する方法を検討すべし
 東御苑尚蔵館は、皇室が国に寄贈した美術品などを展示するために1992年(平成4年)9月に建設されたもので、石垣はその拡張工事に伴い発見された。ここは、現在東御苑とよばれているが、江戸城趾の中心部の1角の「3の丸」があった付近である。東御苑のある一帯には、嘗て江戸城の天守閣があり、将軍の居所であり、接見等の場所である本丸のほか、大奥や二の丸、三の丸があったところである。本丸は江戸初期に火災で焼失し、それとは別の二の丸のあった場所に建設され、その後拡張と焼失を繰り返しながら区画を移動した。従って、東御苑として公開されている区画は、江戸城の中心部に当たり、焼失毎に埋め立て、別の区画を拡張するなどを繰り返しているので、地下に貴重な遺跡が残っている可能性が高い。
 宮内庁は、尚蔵館が手狭になったことから新館の建設を提案したが、文化庁(宮田亮平文化庁長官当時)が反対し、立て替え拡張されることになった。幸いなことに、工事前に遺跡の有無の調査が行われ、江戸城最古とみられる石垣が発見されたものだ。
 今回発掘された石垣は、江戸初期のもので当時の情景を残す数少ない遺跡であり、その後の城内の変化発展している様子を見て取ることができるので、適切な防護、安全措置を執り、公開されるべきであろう。折角の貴重な遺跡を埋め戻してしまえば、国民の目に触れることなく、歴史を埋めることになるので適切でない。
 逆に、江戸城にはなじみのない現代の建物である尚蔵館の拡張工事のために、江戸城の最古の石垣を埋め戻すというチグハグさ、歴史的遺跡への過小評価に違和感をおぼえる。
 2、江戸城趾東御苑などの再発掘の良い機会
 今回尚蔵館の拡張工事に際し、発掘調査が行われ、‘たまたま’石垣が見つかったことは幸いであったと言えよう。ということは、少なくても江戸城三の丸周辺では十分な発掘調査が行われていなかったことを物語っている。
 三の丸のある東御苑には、江戸城天守閣をはじめ、本丸や大奥、二の丸、三の丸など、1603年から1868年までの江戸幕府の中枢部分があった歴史的にも文化的にも非常に興味ある遺構である。現在は、天守閣の石垣や二の丸庭園の一部があるのみで、三の丸の尚蔵館など新たに建てられた建物を除き、更地の庭園となっている。公開はされているが、江戸城の面影は天守閣の石垣や二の丸庭園を除き何もない。265年続いた歴代将軍の生活の痕跡がない。江戸城は、内戦を避け英仏列強の介入を避けるため歴史的な無血開城が行われ、第2次世界大戦での米国による直接の爆撃が避けられ、大手門を失っただけであるので、明治維新には、お堀周辺の石垣や門などだけでなく、東御苑となった場所にも歴史的な建物が存在したはずである。
 本丸や大奥、二の丸、三の丸などの建物は、江戸初期から何回も火事に遭い、本丸、二の丸、三の丸へと移動しながら再建、拡張を繰り返し、使われてきたものである。従って、地上にあった建物等が倒壊されたとしても、地下には江戸時代に焼けた建物の一部や土台、礎石、及び生活用具類等の一部がが残っている可能性がある。
 今回、三の丸尚蔵館拡張工事のため、周辺の発掘調査が行われ、予期していなかった江戸城最古の石垣が「たまたま」発見されたことは、これまで三の丸を含め東御苑等の発掘が十分に行われていなかったことを示している。
 江戸城が無血開城された後、明治維新となり明治政府が江戸城の一部を残しで倒壊したが、担当太政官と写真師内田九一が江戸城内を写真撮影し、また内田九一は自らも当時の映像を残している。その写真師内田丸一については、「内田九一の江戸城新発見写真」 展覧会が2020年3月上旬にお茶の水シェイクスピア・ギャラリーで開催されたようだが、コロナウイルス騒ぎの真っ最中であったこともあり、一部の通信社が伝えているのみで余り話題にならなかったようだ。内田丸一は宮内省御用掛の写真師となったが、32歳の若さで亡くなったこともあり、江戸城の写真はほとんど世に出ることはなかった。
 江戸265年の歴史は、庶民文化や商業主義や家内工業的な匠の技術を含む経済・社会が急速に発展し、地方と江戸との各種の交流等を促進させ、良きにつけ悪しきにつけ、多くの分野で今日の日本、そして将来の日本のルーツの1つになっている。因みに、各藩の藩主に江戸詰めを求めた参勤交代は、謀反を起こさせないための制度とか各藩を疲弊させるためのものとかと批判されることが多いが、その面だけで無く、地方と江戸との交流促進や交通通信制度の基礎となった面がある。歴史研究においても江戸城趾の発掘が進めば、多くのことを学ぶことが出来、また内外の人たちの観光資源となることが期待される。
 3、両国の片隅に立つ「江戸博物館」
 両国にある国技館の裏手に「江戸博物館」がある。展示物等に目を見張る物は少なく、下町の庶民生活の様子は暗く狭苦しい。人影もまばらなことが多い。
 江戸城趾の広大な敷地の中に江戸を伝える博物館や展示場は1つもない。江戸の歴史が消されているような印象を受ける。明治以降の治世は第2次世界大戦後、現行憲法の制定をもって終わっている。もはや江戸の歴史を埋める必要はないのではないだろうか。江戸城趾は全国民の、そして恐らく世界の多くの観光客を引きつける歴史的遺跡となろう。(2021.5.14.)
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東京オリンピック開催、開催国に勝者はいない

2021-06-17 | Weblog
東京オリンピック開催、開催国に勝者はいない
 7月23日、東京オリンピックが開催される。主催者である東京都、その下部組織であるものの、政府色の強いオリンピック・パラリンピック組織委は「安全安心な開催」に向けて具体的な準備を進めている。政府はこれを支持しており、ロンドンで開催される主要国首脳会議において「安全安心な開催」につき各国の支持を得た。
 1、世論は大きく割れており、東京都、組織委、及び政府に勝者は居ない
 東京オリンピック7月開催についての世論調査では、2021年1月以来5月頃までは、一貫して70%以上が「中止、又は延期」であり、「延期」については実現の見通しはない上、いずれにしても7月開催には反対ということであるので、70%以上が本年7月の開催に反対していることになる。その背景には、若い世代についても、2020年4月に大学等に進学してもキャンパス生活を送ることも出来ず、アルバイト先もなく、また就労世代についても解雇や雇い止めなどが一般化し、学校を卒業しても就職機会は限られており、将来不安や孤独感が募っている状況がある。産業面でも、飲食業から娯楽・イベント、観光などが大打撃を受けており、1日も早い感染収束を願っている。誰しもオリンピック・パラリンピックが安全安心に開催できれば良いと思っているが、今はそれどころではなく、日常の生活や日常の健康を取り戻したいという意識が強く反映されていると言えよう。
 6月になって、緊急事態宣言が延長され新規感染者が減少し、ワクチン接種が進んでおり、開催準備についても具体的に進められていることなどを反映し、7月開催に賛成が若干増えているものの、依然不安視する意識が根強い。
調査主体により若干数値に偏りがあるが、JNN世論調査では7月「開催」支持は44%になっているのに対し、「中止」が31%、「延期」24%となっている。「延期」は7月の開催には反対を意味するので、支持が若干増えているものの、7月開催反対は実質的に55%と依然過半数を超えている。読売の調査によると、「開催」が50%、「中止」が48%としているが、「開催」についてはいずれも観客数を制限してのものであり、開催支持50%中、半数以上の26%相当が無観客での支持であり、根強い不安が明らかになる結果となっている。
 日本だけでなく、世界において感染拡大が収まりきっていない状況において、世界200か国・地域からオリンピック選手約1.5万人、及び競技関係者、IOC関係者並びに報道関係者7万人前後が7月23日の開会式に向けて訪日する。未だ具体的な参加国・地域数、参加者数が公表されておらず、また入国管理措置、国内での行動制限や監視体制などの「安全、安心な開催」に向けての全容は明らかにされていないが、どのような措置をとっても漏れが出る可能性がある。また措置を厳しくすればするほど、参加選手や来日者の不満、批判もつのるだろう。
 多くが100%安全な措置は困難と思っている。入国時に必ず漏れがある。これは経験済みのことだ。2021年1月よりビジネス交流が緩和された。その結果、厳しい入国時のチェックのも拘わらず、イギリス型変異種等が入り、インド変異種が入って感染拡大を起こした。
 海外からだけではない。開催となれば、組織委関係者のほか、警備やボランティアを含め19万人内外が東京を中心に活動することになり、人流が多くなることは明らかだ。
 開催すれば、日本国内で新規感染者や日本から参加国・地域に感染が広がることはまず避けられないであろう。国内世論の7割前後は年初来不安を抱いており、開催されればその不安は更に強くなると予想される。オリンピック中はもとより、大会後、国内外で新たな感染が発生するとなると安全が確保されたことにはならない。
 従って、オリンピックが程度如何を問わずウイズ・コロナで開催される限り、国民の「不安」が解消されることはなく、「安心な開催」自体はもはやない。
 「安全」については、制限や検査・監視が強化されればされるほど、外国人選手、関係者、報道関係者などの反感や疑問が高まる。選手やIOC、競技関係者には80%程度ワクチンが接種されるとされているが、20%前後の3,000~4,000名が不接種でほぼ同じ時期に来日するので、入国管理とその後の措置、及び滞日中の行動制限と検査の確保などが重要となる。「安全」を確保するためには、これらの措置で漏れが出ないよう厳密な対応が必要となるものの、言語や倫理、慣習などの差によりトラブルが生ずることが多々あろう。
 更に各国から多くの報道その他の関係者が訪日し、可なりの数がワクチンを接種していない可能性があり、また各種のアングルで競技場以外の取材を希望する可能性があるので、行動を漏れなく制限し、監視することは不可能に近い。
これらのルールは、プレーブックに記載され、違反する者には罰金や参加認定の取り消しを行うとしている。守ってくれれば有難いことだが、言語の問題や詳細なルールを何処まで理解されるかの問題のほか、これを誰が執行するのか、どこまで強制できるのかなど、実効性に疑問が残る。個人の尊厳は尊重されるべきであり、異議があった場合、仲裁は出来るのか。問題が多い上、漏れが生じる可能性が高く、またトラブルがあちこちで起きるだろう。
 また日本の方も、5万人以上のボランテイアや10万人前後の警備や整備関係者が各地から来るので、人流は更に増え、これらの人達にもルールを守ってむらわなくてはならない。
 100%、或いはそれに近い「安全」を確保することは困難であり、日本に感染が流入し、海外に感染が広げられる可能性が高い。その度合いがピンポイントの隔離や治療で感染拡大しなければよいが、難しそうだ。
 とすると、現在「安心な開催」を望むことは困難である上、「安全な開催」についても程度の差こそあれリスクは残る。
 7月23日にオリンピックが開催されても、「安全、安心」を確保することは困難であるので、オリンピック・パラリンピック組織委はもとより、東京都も勝者にはなれそうにない。
 政府については、6月11-13日、英国で開催された主要7か国首脳会議において、「安全、安心な開催に向けて準備しているので、開催を支持して欲しい」旨求め、主要国首脳から「安心、安全な形での開催」につき支持を取り付けたことは大きな支えとなる。一見外交上の成果と見えるが、開催につき自らの手を縛る“自縄自縛”の国際約束として退路を断たれた上、「安全、安心な形」での開催が前提条件となった形であるので、それを確保する責任は日本政府が負うことになったと言えよう。その条件が満たされなければ、首相が国会で明らかにしている通り、開催中止の流れとなるものと予想される。いずれにしても勝者になる芽はない。

 2、消えた国民と参加国との交流の機会と「お・も・て・な・し」
 このように東京オリンピックが開催されても、各国選手はバブル方式で、宿舎と競技場に行動制限され、移動も公共交通は使用出来ず、行動は監視され、国民との自由な交流は認められていない。またその他の競技関係者や報道関係者も2週間程度は同様の行動の制約を受け、国民との交流どころか、観光やグルメ探訪などは自由には出来ない。
 東京オリンピックの売りであった「お・も・て・な・し」は、毎日の検査と宿舎での食事しかない。その上、オリンピック・パラリンピックの競技以外の意義である国際的な交流も原則としてないことになる。これでは日本の東京で開催する意味はほとんど無い。膨大な費用を掛け、オリンピックを開催する意義は何なのかが改めて問われることになろう。

 3、IOCは日本をコロナウイルス対策の大実験場にしようとしているのか
 6月15日、国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ調整委員長(副会長)が来日した。コーツ委員長は、「緊急事態宣言中でもオリンピックは実施できる」旨発言していた。またバッハ会長は、それに先立ち、日本の世論の70%前後が開催に不安を持っていることを知ってか知らずか、「日本は忍耐強い」と述べていた。恐らく、開催を強行しても日本は耐えるだろうとの印象を得ていたのであろう。IOCが唯一開催、中止の権限を持っている。
 インド変異種(デルタ株)感染で50代の死者が出ており、またそれよりも感染力が強いとされるベトナム変異種が入ってくれば、コロナウイルス感染は新たな拡大が起こる可能性が高い。日本国民のオリンピック開催への不安は消えていない。
 無論、誰しもが感染リスクを100%除去し、安全に開催されることを望むところだ。しかしオリンピック・パラリンピック組織委の事務総長でさえも「リスクを100%防ぐことは困難」としている。組織委はこれまでも次々と問題を起こして来たので、リスクを100%防げなくても開催する意向なのであろう。
 7月23日に開催されれば、それに向けて200内外の国、地域から選手15,000人と7万人前後のIOC・競技関係者と報道関係者が訪日する。そのため、日本でも組織委、JOC関係者他ボランティア、警備関係者など19万人前後が集結する。日本国内はもとより、世界への感染拡大のリスクは除去できそうにない。
 国際オリンピック委(IOC)は、日本をコロナウイルス対策の一大実験場にしようとしているのだろうか。感染リスクは、日本人だけでなく、各国からの選手、訪日者にもある。(2021.6.15.)
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東京オリンピック3巨大施設で組織委ファースト!(再掲)

2021-06-17 | Weblog
シリーズ平成の本音―東京オリンピック3巨大施設で組織委ファースト!(再掲)
 2021年2月3日、オリンピック組織委森会長が、JOC臨時評議会において、女性理事40%目標との関連 
 で、女性は話が長い、増員するなら発言時間制限が必要との発言をし、また人気の無い芸能人は田ん 
 ぼで走ったらよいなどと発言したことが、差別的発言として報道された。翌4日午後、同会長は釈明会
 見を行ったが、メモを見ながらの「謝罪、発言撤回」で気持ちが伝わって来ないなどのコメントが多
 方面から寄せられている。同会長は、一生懸命努力して来ており、自分から辞める気持ちはないとし
 ているが、進退に発展しかねない状況になっている。同会長のご努力はその通りであろうが、4年前に
 組織委が設置された当初から、膨大な予算規模や都知事との確執などが伝えられると共に、お気の毒
 ではあるが健康上の問題もあり、お疲れになっている表情が痛々しいほどであり、もう少し早めの対
 応が必要ではなかったのではなかろうか。またオリンピック・パラリンピックというスポーツの祭典
 には、そもそも政治家や官僚OBが中心になることは、政治的中立性を含め不偏不党のスポーツ精神に
 なじまないのではなかろうか。他方、膨大な金が掛るから民間人は尻込みする状況となっているの
 で、このような金の掛るオリンピックが必要なのかも考える時期にあるのではなかろうか。そこで、
 本稿(2016.12.)を再掲したい。(2021.2.4.)

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて建設が検討されている3巨大施設について、小池都知事は就任後、巨額の費用となるボート、水泳、バレーボールの3施設建設の見直しを行うことを表明した。同知事が、選挙中に東京オリンピックに向けて国際都市東京としての努力と期待を述べつつ、全体として3兆円とも言われる費用が予想されることに疑問を呈するなど、都民ファーストの都政改革の必要性を訴え、圧倒的な多数で当選したことを受けての提言である。
 3施設の内、海の森水上競技場とアクアティクスセンターについては、IOC、東京都、政府、及びオリンピック組織委の4者協議を経て、従来の計画をスリム化して300~400億円の節減をすることで決着したようだ。
 バレ-ボールの有明アリーナについては、従来世界大会も開催されている横浜アリーナを活用する案と比較し、クリスマス前までに東京都が結論を出すこととされている。
 1、有明アリーナ建設となれば、横浜アリーナは2流となる!?
 流れとすれば、組織委(会長森元首相)とアスリート団体が新施設を希望していることを強調していることに加え、横浜アリーナを利用する場合の費用問題などから、多くのメデイアは結局のところ有明アリーナになるのではないかと予想している。
 組織委の森会長は、横浜アリーナ使用を含め、見直しに強い不快感を随所であらわにしているが、有明アリーナを建設することになれば、横浜アリーナは恐らく将来バレーボールに使われることはほとんどなくなると共に、いわば2流の地方的イベント会場になる恐れがある。横浜市や神奈川県がそういうことでも良ければ仕方がない。
 2、東京都民は巨大施設の見直しや都政改革を選択した
 新しい施設を作ってくれるのであれば、アスリートや関係団体と組織委はそれを強く求めるであろう。しかしそれは都民の税金で負担されることを忘れてはならない。もし組織委等がアスリートファーストに固執するのであれば、それを支持する。しかし費用はアスリートや関係団体、組織委が努力して寄付等を募って工面すべきであろう。東京都民としては、オリンピック・パラリンピックの成功を願うが、その負担を都民に押し付けられることは望まないであろう。都民は都政改革を訴えた小池知事を選んだ。都民ファーストとは言わないまでも、消費増税と日常物価上昇の中で事業税、住民税の負担感が強くなっており、そんなにオリンピックで贅沢が出来るのであれば、事業税、住民税の引き下げを望みたい。
3、国家的ビジョンに欠ける東京オリンピック・パラリンピック2020
 また基本論として、東京に新国立競技場の他、そのような大規模施設を集中させてどうする積りか。採算性も重要だが、そのような大規模施設を作れば、更に機能や人が東京に集中し、地方は更に取り残されることになり兼ねない。今回の東京オリンピック・パラリンピックについては、東京を将来どうするのか、地方をどう活性化して行くのかという国家的なビジョンにも欠ける。と言うよりも、東京の機能の分散と地方の活性化の方向に反するのではないか。
 4、組織委の人事刷新が不可欠
 今回の東京オリンピック・パラリンピックについては、組織委の対応が失態続きで、際立って悪い。新国立競技場の法外な費用問題、エンブレム問題、そして今回の都が負担する巨大施設の膨大な建設費問題など、建設費が高騰していると業界はしているとは言え、費用をもりにもった放漫姿勢やガバナンスの欠如が懸念される。組織委ファーストの姿勢が随所に見える。
巨大施設問題が決着すれば道筋は出来るので、組織委の会長と事務総長が交代する良い機会ではなかろうか。(2016.12. 3.)    
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政党交付金は廃止すべし

2021-06-17 | Weblog
 政党交付金は廃止すべし
 総務省は、11月27日、2019年分の政治資金収支報告書(中央分)を公開した。収入総額は、1,098億円(前年比1.3%増)で、参院選があり借入金が例年の約5倍の36.5億にものぼるので、借入金を差し引くとネットで1,063億円になる。その内自民党の政党本部収入は約245億円で、ダントツのトップである。
 1、政党交付金にあぐらをかく政党、各候補個人への選挙費助成に転換すべ
多数党で最も多く議員を擁しているので当然と言えば当然であるが、自民党本部の収入の72%強の約176億円が税金を財源とする「政党交付金」であることは驚きだ。まるで政府がほぼ丸抱えした政党が与党となっている。これではまるで中央専制国家のようで、政権与党の税金お手盛り振りが明らかのようだ。その上、自民党本部は戦後75年も経っている今日でも、国会に至近の国有地を割安で賃貸しており、まるで国立政党のようだ。
 これはいかにも異常で、民主主義国家であれば、政党は基本的には個人や企業・団体の浄財、任意の寄付で運営されることが望ましい。長期に亘り政権を担ってきた政党の72%強の収入が国民の貴重な税金である政党交付金で賄われ、政党本部が国有地を優先使用している現状は、共産主義国や独裁国家と余り変わらず、民主主義とは言えないのではないだろうか。  
戦後直後ならまだしも、75年も経っている今日、政党助成金を廃止して、候補者個人への選挙費助成金とする時期ではないか。その方が、助成を受けた候補が国民の税金の有難味が分かるのではないだろうか。また各政党が国民から支援を広げる努力をするようになるのではないだろうか。

 2、河井案里議員側が自民党より受領した支援金1.5億円は政党交付金から
 2019年7月の参議院議員選挙に際し、自民党は、擁立した河井案里側に1億5千万円の支援金を提供した。それが、案里側により、車上運動員(通称うぐいす嬢)に法定上限2万円を超える報酬支払いや県議や市議、市長等に配られた疑いで、案里議員事務所と夫である河井克行衆院議員(元法相)が公職選挙法(買収)及び政治資金規正法違反の容疑で起訴され、まず案里事務所の公設秘書が禁固1年6ヶ月、執行猶予5年の有罪判決が確定した。
 河井衆院議員の判決は別途行われることになるが、自民党から通常1200万円/人と言われている選挙支援金の10倍を超える1.5億円もの支援金が出されていなければ、これだけ広範な選挙違反行為が行われていなかったであろう。その支援金は、税金を財源とする政党交付金から出されていることが分かっている。1.5億円の税金で買収等の選挙違反行為が行われたということであり、納税者である国民としては納得できないであろう。
 党の政党交付金管理責任と結果責任が問われそうだ。また政党交付金が選挙違反行為の原資になったと見られることから、遅滞なく全額を国庫に返納することについても問われるのではなかろうか。

 3、共産党、自助努力で204.5億円の党収入を確保
 共産党は、政党交付金を受けず、党員による会費と機関誌赤旗の販売など自助努力により、同年204.5億円の党収入を確保している。自民党に次ぐ高額の党収入であるが、政党交付金無しの自助努力ではダントツの1位となっている。
 要するに、政党交付金無しでも、会費、事業収入などの自助努力で党収入は図れるということであり、与野党を問わず、会費、事業収入などの自助努力で党費、政治活動費を賄うという、民主主義本来のあり方を築いて欲しいものだ。
 もっとも、共産党は中央統制による共産主義というイデオロギーを信奉するグループであり、多様性を基礎とする自由、民主主義、自由市場主義という日本を含む世界の大多数の諸国に共有されている価値観とは相容れない、絶対的なイデオロギー信奉政党であるので、他の政党が会費などの自助努力で党収入を図ることには困難があるだろう。しかし民主主義政治の基本はそういうことであるので、そのような政治環境を構築するのも政党の仕事であろう。
 他方、共産党はこれまで党収入が潤沢であったため、原則として全ての選挙区で候補者を立てているが、野党の票を喰う結果となっているので、野党の発展を阻害する結果となっていることも否めない。共産党の存在は、保守政党にとっては都合の良い存在となっているのが現実であり、同党がイデオロギー信奉を離れ、国民政党となることが問われているのではないだろうか。いずれにしても、野党同士が食い合う状況を解消することが課題だろう。
 なお、公明党は、政党交付金を受けているが、会費収入や機関誌発行などの自助努力で129億円規模の第3位の収入を図っている。もっとも公明党は、宗教団体である創価学会メンバーのいわば下部組織であり、宗教的信仰を基礎とするものであるので、他の政党の参考にはならないだろう。
 いずれにしても、何時までも税金を財源とする政党交付金に依存し続けているのでは、民主主義政党としては努力が足りないと言えるだろう。政党交付金は廃止し一定の基準を設け、候補者個人への公職選挙支援助成金に転換すべき時期ではなかろうか。(2020.12.1.)
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マイナンバー、官庁のためのユアーナンバーにしてはならない!

2021-06-17 | Weblog
 シリーズーマイナンバー、官庁のためのユアーナンバーにしてはならない!
 コロナ禍対策のため実施された一律10万円給付が、4月30日の第1次補正予算成立を受けて実施に移されたが、一律給付が最も早く配賦できるとの触れ込みにも拘わらず、日時を費やし、7月になってようやく見通しがついた。この配賦の遅れの原因の1つとしてマイナンバーの普及率の低さ(約16%)に加え、申請システム設計の複雑性などが指摘された。そのため総務省を中心として、銀行口座登録の義務化や個々人の医療関係情報の記載などによる適用分野の拡大などが検討されている。
1、 一律10万円給付の遅れはマイナンバー制自体の問題ではない
マイナンバーの普及率は、実施から4年半以上経過しているのに16%程度の低率に止まっている。従って、仮にマイナンバーの利用により迅速に給付できたとしても、全体の16%程度しかカバーできなかったはずである。残りの84%が問題だったということになるが、実際はマイナンバーも機能しなかったことが、マイナンバーに労力が集中され、それが煩雑で機能しなかったため、郵便等への対応が遅れた事による。マイナンバーが複雑で国民に受け入れられていないことが明るみに出たと言えよう。
 米国は、大統領選挙の年でも有り、日本に先立ち一律給付を実施したが、ソシアルセキュリテイ・ナンバーに基づき、「小切手」が直接各個人に送られている。ソシアルセキュリテイ・ナンバーは、米国民や米国で働く者が誰でも加入できるもので、これがないと将来的な年金と公的機関からの社会保障が得られないのでほとんどの人が所持している。
 恐らく、日本も郵送等により実施していたら、もう少し円滑であった可能性がある。行政が普及率の低いマイナンバーに固執したことが一律給付を阻害した形となった。行政が、マイナンバーの普及率が16%でしかないことへの認識不足とこれに固執するミスジャッジを認識することが必要だろう。

2、 国民のためではないマイナンバー!
 政府(総務省)は、一律給付金の配賦のもたつきへの反省から、銀行口座記載の義務化や、医療診療関係情報の記載などの分野の拡大などを検討している。同時に普及促進のため、新加入者がキャッシュレス決済のカード等を登録するとポイント付与(マイナポイント)とテレビなどでの普及を行っている。
 政府の認識が大分ずれているのではないだろうか。実施後4年半以上経って普及率が16%程度にしか達していないのは、国民側が、メリットを余り感じない一方、機微な個人情報の流出や国家管理の強化を恐れているからであろう。政府側がまずこの点を理解しない限り、改善、改革などと行ってみても、国民の財産把握を含めて国家管理し易くする所詮政府寄りのもので、システムが複雑化し、関係官庁には好都合であろうが、国民にとってはほとんどメリットとはならないものになってしまう恐れがある。関係官庁はまず、国民が不安、不要と感じている諸点をそぎ落とし、国民に不安がないようにすることが求められる。
 マイナンバーには既に、住所や本籍、家族構成、年金、健康保険や一部銀行口座・カード情報、所得、税金関連情報等が入っている。これだけでも外部に流失したり、犯罪グループの手に入ったら、大きな被害を受ける可能性がある。マイナンバーは法律上加入「任意」としているが、税の申告に当たっては記入事項とされ、また銀行口座や証券投資の際には執拗にマイナンバーを照会してくるので、登録した人は納税申告関係や銀行口座を含む資産情報など、個人にとっては大変重要な情報が記録されることになる。
 現状でも、マイナンバーを日常的な支払いやポイント記録などに使用すると、流失や紛失の恐れが高くなるので、持ち歩くことは大変危険であろう。
 更に総務省は、決済サービスのためキャッシュレス使用を登録するとポイントが付くマイナポイントが9月1日より実施されている。そのためにテレビ広告やポイント付与のため、税金を使うということであり、筋が違う。国民がマイナンバーに利点を感じれば加入するだろう。総務省がポイント付与をしてまで普及を図っている事実こそが、国民がマイナンバーに利点を感じていない証拠である。いずれにしても納税関系では、マイナンバー保持者が亡くなると、銀行口座、証券、不動産等があっというまに凍結され、残された者は一円も自由にならず、諸費用捻出に苦労することにもなる。
 また医療・診療情報も入れることが検討されているが、医療・診療情報は非常にプライベートなもので、他人に見られるのは気が進まない。ましてや政治家や入社試験、管理職候補などについては、医療・診療情報が万一にでも外部に流出すると昇進等にとって致命傷になる恐れがある。

 3、現在のカードは官庁のためのユアーナンバーでしかない!
しかし現在のマイナンバーは、税金関係の役割が強く、投網のごとく税申告者を把握し、確実に徴税するために好都合になっている。5年に1度、国勢調査が実施されているが、国勢調査で記載された個人情報は国税庁、警察・公安には明らかにされず、徴税や犯罪調査には利用されないことになっている。国民の協力を得やすくするためだ。
現在のマイナンバーは、国税庁(税金)を含め全ての行政分野が対象で、対象で所得、年金・医療保険、銀行口座、証券、不動産などが全ての個人情報が記載される。国民には年金掛け金納付、健康保険料納付や納税義務があることは分かっているが、このように網羅的に資産状況が国家に把握され、義務の履行が管理、監視されることになると、国民の国家管理の色彩が強い。その上情報流失の危険性がある。少なくても国勢調査同様のものとし、簡素化することが望ましい。
また情報管理のため各種の防護措置が講じられてはいるが、それは逆に操作を複雑にしている。1つ入力を間違えると前に進められなくなり、複数回誤入力すると凍結されてしまい、解除に時間と労力が掛り、悩まされることになる。結局は、利用者の手間や負担を増やし、行政側を楽にするシステムでしかない。その意味でも現在のマイナンバーは、行政のためのユアーナンバーでしかない。
関係官庁の担当官や専門家が集まり、官庁側に必要な個人情報を網羅し、その上に本人確認やその他のなりすまし排除のための防護措置を掛けるのだから、普通人には理解困難な緻密で複雑な制度設計、システムとなる。それでなくても各種申請書は複雑で、馴れている人でもなければ記載に手間取る。それがインターネットとなると、各種のチェック措置が加わるので、一般人には操作が困難だ。書類によるアナログ世代にとってはなおさらのことだ。

4、国民を守るためのマイナンバー制度に限定すべし
 国民の年金・医療保険などの厚生福祉、緊急時の安全確認など、国民の基本的な権利と行政手続きの簡素化など、国民の福利に絞ったナンバーであれば、国民もこぞって加入する意味がある。それを支えるのが国や地方自治体の業務であり、義務ともなる。またカバーする分野を絞ることにより、利用者側は普段持ち歩く必要も、情報流失の際も影響を少なり、犯罪グループへの露出度を少なく出来る。それでも米国のソシアルセキュリテイ・ナンバーよりも複雑だが、国民の福利にとって心強いものとなる。そのような改革が望まれる。]

5、 行政のIT化促進は行政の更なる肥大化、複雑化の恐れ
 IT化は、情報を多量に処理できるので、仕事をどんどん増やし、行政の肥大化を呼ぶ恐れが強く、万能ではない。
(1) IT化とともに、旧来事務の廃止、整理を行うことが不可欠であろう。
同時に、制度設計の簡素化、単純化に常に留意しなくてはならない。
(2)ITにより一律のサービスを確保出来るが、プログラムから少しでも外れるとエラーとなり、凍結してしまうなど、融通が利かず、非常に硬直的、事務的となる。
(3)保秘やデジタル攻撃に留意する必要がある。そのためにパスワード等  
  を加えると、更にシステムが複雑になる。
(4)公文書、公的文書類の保存・管理の問題が深刻だ。森友学園問題での公文書改ざんや自衛隊の日報問題、或いは「桜を見る会」などでは、コンピューターに蓄積された記録でさえ廃棄されたと報告された。そのようなことはほぼあり得ないが、問題が生じたときすべての関連コンピューターを押さえ、調査できるようにするなど、文書管理が非常に難しくなるので注意が必要だろう。重要な文書は、アナログの紙で保存する必要もあろう。 (2020.9.1.、9.19.加筆)
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