シリーズ平成の本音 野田政権はもはや民主党ではない?!
野田政権は、消費税増税について野党の自民・公明両党と合意に達し、26日にも衆議院で採決する構えだ。これに対し民主党内で小沢元代表を中心とするグループは、消費税増税先行に反対し、マニフェストの実現を主張し、不支持を鮮明にしている。
野田首相側は、衆議院の関連法案採択で反対した議員を除名するなどの処分をする構えである一方、反対派は離党届を取りまとめるなど双方の駆け引きが熾烈を極めている。ん?そんなことしたらどうなるのだろうか。現民主党政権は、2009年8月、マニフェストを掲げ国民からの支持を得て政権に就いたことを忘れたのだろうか。そのマニフェストで国民に約束したことを増税前に推進するよう訴えているグループを除名することは、正にマニフェストを切り落とすことに他ならない。そうなると10%増税を提案した菅前首相、野田首相始め、岡田副首相他前原、仙石、渡部(恒)各議員など、民主党の菅・野田グループは、2009年にマニフェストを掲げて国民より信託された民主党とはもはや言えず、民主党まがいの政権となる。
野田政権は、国家、国民にとって重要な防衛大臣のポストも先の内閣改造で保守を代表する防衛・安全保障専門家であり、また沖縄普天間飛行場問題では辺野古への移設を一貫して主張し鳩山政権を追い込んだ森本氏に託し、野党自民党にいわば擬態している格好だ。
消費税増税でも、「社会保障制度改革と税の一体改革」と言われているが、3既成政党が合意しているのは実体上10%への消費税増税である。若干の落穂広い的な年金資格救済策などの微調整的な改善は了承されているようだが、年金給付支出が増える結果となる。更に消費増税に伴い低所得者への現金給付が行われることになりそうであるので、福祉ただ乗り層が増え、増税しても歳出が増加することになり、正にギリシャ化への道だ。一方、高額所得者の年金減額は見送られる。選挙も近いので仕方ないのであろうが、年金年齢に達しても1,000万円を超える報酬を得ている高額所得者については、増税しなくてはならないほどの財政難であるので、その間は年金給付を遅らせ、給付凍結分の総額を相続税から控除するなどの措置が真剣に考えられてもよいのであろう。
またマニフェストで実施するとされていた年金給付額の最低限7万円や後期高齢者医療制度の廃止は先送られることになるが、自民・公明両党が反対しているので、増税が実現すれば実現する見通しは少ない。
一部保守系氏は「一体改革」の採決などと報じているが、実体は実質的な制度改革を先送った分離増税に既成3政党が合意したに過ぎず、結果として歳出は増加する。これでは野田政権は自民党もどきになってしまう。
他方野党自民・公明両党は、選挙となれば、民主党はマニフェストで国民を騙し政権についたが、嘘つき政権であるなどと野田政権批判をすることは目に見えている。しかし野党も野党である。少子高齢化が指摘され始めてからも放漫財政を重ね、公的債務が1,000億円以上となり、財政難を招き、改革を先送ってきたのは自民・公明両党であろう。また原子力安全神話と交付金・補助金で原子力発電を拡大し、スマトラ大地震・津波で三陸地帯の危険性が各方面から指摘されていながら効果的な防災対策をとらなかったのは自・公政権であろう。その反省もなく、今日の財政難に対し、消費増税だけは進め、行政経費の節減や議員定数の削減、議員歳費の節減などにつき何ら意味のある提案や姿勢を示していない。既成の制度や既得権益に立脚した微調整程度の改善策しか示しておらず、既成の制度、権益を前提とした消費増税に合意したに過ぎない。
深刻な財政難における国難である。増税をしなければ立ち行かない深刻な財政難というのであれば、既成3党が消費増税する前に、少子高齢化を前提として行政管理費の大幅な削減や組織の簡素化、地方公共団体への移管や民営化、国有財産の抜本的売却・処分などの行政制度改革、そして国会及び地方議会の議員定数の実質的削減や議員歳費の節減などについて、共同して推進するとの方針を確認し、国民の前に明らかにする位の姿勢が欲しい。それさえも行わずただただ増税というのであれば、既成3党は次の選挙でいずれも国民の信を得ることは困難であろう。(2012.06.23.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
野田政権は、消費税増税について野党の自民・公明両党と合意に達し、26日にも衆議院で採決する構えだ。これに対し民主党内で小沢元代表を中心とするグループは、消費税増税先行に反対し、マニフェストの実現を主張し、不支持を鮮明にしている。
野田首相側は、衆議院の関連法案採択で反対した議員を除名するなどの処分をする構えである一方、反対派は離党届を取りまとめるなど双方の駆け引きが熾烈を極めている。ん?そんなことしたらどうなるのだろうか。現民主党政権は、2009年8月、マニフェストを掲げ国民からの支持を得て政権に就いたことを忘れたのだろうか。そのマニフェストで国民に約束したことを増税前に推進するよう訴えているグループを除名することは、正にマニフェストを切り落とすことに他ならない。そうなると10%増税を提案した菅前首相、野田首相始め、岡田副首相他前原、仙石、渡部(恒)各議員など、民主党の菅・野田グループは、2009年にマニフェストを掲げて国民より信託された民主党とはもはや言えず、民主党まがいの政権となる。
野田政権は、国家、国民にとって重要な防衛大臣のポストも先の内閣改造で保守を代表する防衛・安全保障専門家であり、また沖縄普天間飛行場問題では辺野古への移設を一貫して主張し鳩山政権を追い込んだ森本氏に託し、野党自民党にいわば擬態している格好だ。
消費税増税でも、「社会保障制度改革と税の一体改革」と言われているが、3既成政党が合意しているのは実体上10%への消費税増税である。若干の落穂広い的な年金資格救済策などの微調整的な改善は了承されているようだが、年金給付支出が増える結果となる。更に消費増税に伴い低所得者への現金給付が行われることになりそうであるので、福祉ただ乗り層が増え、増税しても歳出が増加することになり、正にギリシャ化への道だ。一方、高額所得者の年金減額は見送られる。選挙も近いので仕方ないのであろうが、年金年齢に達しても1,000万円を超える報酬を得ている高額所得者については、増税しなくてはならないほどの財政難であるので、その間は年金給付を遅らせ、給付凍結分の総額を相続税から控除するなどの措置が真剣に考えられてもよいのであろう。
またマニフェストで実施するとされていた年金給付額の最低限7万円や後期高齢者医療制度の廃止は先送られることになるが、自民・公明両党が反対しているので、増税が実現すれば実現する見通しは少ない。
一部保守系氏は「一体改革」の採決などと報じているが、実体は実質的な制度改革を先送った分離増税に既成3政党が合意したに過ぎず、結果として歳出は増加する。これでは野田政権は自民党もどきになってしまう。
他方野党自民・公明両党は、選挙となれば、民主党はマニフェストで国民を騙し政権についたが、嘘つき政権であるなどと野田政権批判をすることは目に見えている。しかし野党も野党である。少子高齢化が指摘され始めてからも放漫財政を重ね、公的債務が1,000億円以上となり、財政難を招き、改革を先送ってきたのは自民・公明両党であろう。また原子力安全神話と交付金・補助金で原子力発電を拡大し、スマトラ大地震・津波で三陸地帯の危険性が各方面から指摘されていながら効果的な防災対策をとらなかったのは自・公政権であろう。その反省もなく、今日の財政難に対し、消費増税だけは進め、行政経費の節減や議員定数の削減、議員歳費の節減などにつき何ら意味のある提案や姿勢を示していない。既成の制度や既得権益に立脚した微調整程度の改善策しか示しておらず、既成の制度、権益を前提とした消費増税に合意したに過ぎない。
深刻な財政難における国難である。増税をしなければ立ち行かない深刻な財政難というのであれば、既成3党が消費増税する前に、少子高齢化を前提として行政管理費の大幅な削減や組織の簡素化、地方公共団体への移管や民営化、国有財産の抜本的売却・処分などの行政制度改革、そして国会及び地方議会の議員定数の実質的削減や議員歳費の節減などについて、共同して推進するとの方針を確認し、国民の前に明らかにする位の姿勢が欲しい。それさえも行わずただただ増税というのであれば、既成3党は次の選挙でいずれも国民の信を得ることは困難であろう。(2012.06.23.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)