シリーズ平成の乱 参院選で始まる政党戦国時代
7月11日の参議院議員選挙では、与野党とも参議院での過半数獲得は困難な見通しだ。
与党民主党は、沖縄の「普天間米軍飛行場の移設問題」で鳩山首相を追い込み、政治資金記載問題と絡めて鳩山―小沢体制を退陣させた。しかし両グループは昨年8月の衆院総選挙の大勝利に導いた功労者であり、両グループを排除すれば民主党への支持は限りなく従来レベルに縮むことは目に見えている。渡辺恒三議員が民主党の「7奉行」と称している岡田、前原、枝野、仙石、野田各議員などのグループが、菅グループを支持して鳩山―小沢両グル-プから政権を奪取し、管新政権の中枢を担っている。政策面でも、昨年の総選挙でのマニフェストを“消費税引き上げ”、“政治主導の後退”、“普天間移設問題での逆戻り”、“子供手当てなどでの後退”などで実質的に変質させようとしており、党内権力闘争と政策の転換が顕著になって来ている。6月29日、民主党枝野幹事長は、消費税増税やマニフェストの実質的な変更に対し疑問を呈した小沢議員(前民主党幹事長)の発言について、「大衆迎合」として批判した。マニフェストは“党のマニフェスト”であるので、選挙が済めば終わりということではなく、“国民との契約”と言っていたのではないか。それを「大衆迎合」と批判することは「大衆切捨て」論と言われても仕方がないであろう。
政策・路線が違うのであれば、党名で投票する意味はなく、各議員、所属グループの政
策を見て投票するしかなさそうだ。その政策を見極める主な争点は、「消費税引き上げ容認か否か」、「政治主導の促進か、官僚支配の容認か」、及び「普天間の沖縄県内移設を強行するか否か」の3点に絞られる。
自民党についても、消費税増税による財政収支の改善、従来通りの公共事業の継続、緩~い行政改善など、従来の政策に基本的な変化は見られず、与党批判に終始しているだけである。従って政策面で大きな支持を得ることは期待薄のようだ。自民党が躍進すれば、
公共事業支出増、消費税増税への圧力は高まることは避けられない。自民党についても各議員の政策により差別化し、判断するしかない。
与野党の低迷の受け皿になっているのがみんなの党のようだが、みんなの党は自民党の予備軍でしかない。
その他の小政党についても、公明党は特定の宗教団体が支持基盤であり、また憲法上の制約があるので自らが政権を担う政権党にはなれない。共産党もイデオロギー偏重であり、国民政党に発展することは考えられないので、いずれの党も楽しみがない。
その他の小政党についても、社民党は国民政党に進化できなかった社会党の残滓に過ぎず、たちあがれ日本は天皇崇拝の国粋主義政党であり、国民政党に発展する可能性は無い。国民新党も基本的に郵政事業が支持基盤であるなど、どの政党を取っても政権を担えるような国民政党に進化する可能性はなさそうであり、投票しても将来の楽しみはなく、無駄な票になる可能性が強い。
こうなると、2大政党を中心として、各議員の政策によって投票するしかなさそうだ。その上で、参院選後の“政策に基づく政界再編”に期待するということなのであろう。平成の政党戦国時代が始まりそうだ。(07.10.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
7月11日の参議院議員選挙では、与野党とも参議院での過半数獲得は困難な見通しだ。
与党民主党は、沖縄の「普天間米軍飛行場の移設問題」で鳩山首相を追い込み、政治資金記載問題と絡めて鳩山―小沢体制を退陣させた。しかし両グループは昨年8月の衆院総選挙の大勝利に導いた功労者であり、両グループを排除すれば民主党への支持は限りなく従来レベルに縮むことは目に見えている。渡辺恒三議員が民主党の「7奉行」と称している岡田、前原、枝野、仙石、野田各議員などのグループが、菅グループを支持して鳩山―小沢両グル-プから政権を奪取し、管新政権の中枢を担っている。政策面でも、昨年の総選挙でのマニフェストを“消費税引き上げ”、“政治主導の後退”、“普天間移設問題での逆戻り”、“子供手当てなどでの後退”などで実質的に変質させようとしており、党内権力闘争と政策の転換が顕著になって来ている。6月29日、民主党枝野幹事長は、消費税増税やマニフェストの実質的な変更に対し疑問を呈した小沢議員(前民主党幹事長)の発言について、「大衆迎合」として批判した。マニフェストは“党のマニフェスト”であるので、選挙が済めば終わりということではなく、“国民との契約”と言っていたのではないか。それを「大衆迎合」と批判することは「大衆切捨て」論と言われても仕方がないであろう。
政策・路線が違うのであれば、党名で投票する意味はなく、各議員、所属グループの政
策を見て投票するしかなさそうだ。その政策を見極める主な争点は、「消費税引き上げ容認か否か」、「政治主導の促進か、官僚支配の容認か」、及び「普天間の沖縄県内移設を強行するか否か」の3点に絞られる。
自民党についても、消費税増税による財政収支の改善、従来通りの公共事業の継続、緩~い行政改善など、従来の政策に基本的な変化は見られず、与党批判に終始しているだけである。従って政策面で大きな支持を得ることは期待薄のようだ。自民党が躍進すれば、
公共事業支出増、消費税増税への圧力は高まることは避けられない。自民党についても各議員の政策により差別化し、判断するしかない。
与野党の低迷の受け皿になっているのがみんなの党のようだが、みんなの党は自民党の予備軍でしかない。
その他の小政党についても、公明党は特定の宗教団体が支持基盤であり、また憲法上の制約があるので自らが政権を担う政権党にはなれない。共産党もイデオロギー偏重であり、国民政党に発展することは考えられないので、いずれの党も楽しみがない。
その他の小政党についても、社民党は国民政党に進化できなかった社会党の残滓に過ぎず、たちあがれ日本は天皇崇拝の国粋主義政党であり、国民政党に発展する可能性は無い。国民新党も基本的に郵政事業が支持基盤であるなど、どの政党を取っても政権を担えるような国民政党に進化する可能性はなさそうであり、投票しても将来の楽しみはなく、無駄な票になる可能性が強い。
こうなると、2大政党を中心として、各議員の政策によって投票するしかなさそうだ。その上で、参院選後の“政策に基づく政界再編”に期待するということなのであろう。平成の政党戦国時代が始まりそうだ。(07.10.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)