今日は、アメリカでオバマ大統領が進めてきた医療保険を大きく変える法案が可決されました!
このブログでも触れたことがありましたが、セオドア・ルーズベルト大統領が提唱してから、およそ1世紀。歴代の大統領が何度も提言し、議論がつづけられましたが、この法案を提出した大統領は実現することなく、退陣していきました。
アメリカでは、「選択する権利」が重視されるので、保険に入らない(保険料を払わない)権利や払った税金を医療に使わないでほしいという権利が、誰もが平等に医療を受ける権利と、天秤にかけられてきました。
今日、ようやく改革が実現しました。歴史的な日です。
アメリカは、一般に医療先進国というイメージがあります。たしかに基礎研究を進める機関に資金力があったり、最先端の臨床試験も数多く行われています。
でも、平均寿命は78才。世界で最も長生きする日本の平均寿命82才と変わらないようにも見えますが、世界では26位です。ちょっと衝撃的なデータです。技術はすばらしいけれど、アメリカの医療費は群を抜いて高額で、医療を享受できない人がたくさんいるというのが現実だと評されます。
たしかにOECDの資料では、1人が年間使う医療費(2006年)は、日本で$2,097、イギリスで$2,367、デンマークで$2,823に対して、アメリカは$3,132。病院にいく回数が日本人の平均は1人1年に13.6回、アメリカで3.8回ということを考えると、高いなぁと感じます。アメリカでの自己破産の理由でもっとも多いのが、医療費の負担と言われるのも、さもありなん、と。
そんなアメリカで、失業して企業保険から離脱して困っていた人、これまで既往があるから保険に入ることがむずかしかったような人が保険に加入することができ、医療を受ける機会ができるんじゃないかと期待されています。ほんとうによかったです。
でも、よかった、だけではない課題はいろいろあるはず。
日本での半世紀にわたる皆保険の経験からすると、これからは、これまで医療機関にアクセスしなかった人たちが家庭医のところにやってくるようになります。その需要に応えるだけの家庭医を十分に確保しようとすると、医療費のバランスを取るため、専門医へのコストを圧縮することも起きるかもしれません。そのときに、医療の質がどう維持できるか、大きな課題になるのではないでしょうか。
また、患者数の限られる病気に関する研究は、アメリカの国立衛生研究所(NIH)などで世界的に先進的な研究が進められているものもあります。日本の厚生労働省の助成とは比べ物にならない金額が投じられてきましたが、そんな研究費も維持できるかどうか不透明です。
正直なことを言うと、甲状腺ホルモン不応症のような稀少病の研究に対する動きも、これから変化があるのじゃないかと心配です。どうなっていくのか、しっかり見守って行こうと思います。
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アメリカでは、「選択する権利」が重視されるので、保険に入らない(保険料を払わない)権利や払った税金を医療に使わないでほしいという権利が、誰もが平等に医療を受ける権利と、天秤にかけられてきました。
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アメリカは、一般に医療先進国というイメージがあります。たしかに基礎研究を進める機関に資金力があったり、最先端の臨床試験も数多く行われています。
でも、平均寿命は78才。世界で最も長生きする日本の平均寿命82才と変わらないようにも見えますが、世界では26位です。ちょっと衝撃的なデータです。技術はすばらしいけれど、アメリカの医療費は群を抜いて高額で、医療を享受できない人がたくさんいるというのが現実だと評されます。
たしかにOECDの資料では、1人が年間使う医療費(2006年)は、日本で$2,097、イギリスで$2,367、デンマークで$2,823に対して、アメリカは$3,132。病院にいく回数が日本人の平均は1人1年に13.6回、アメリカで3.8回ということを考えると、高いなぁと感じます。アメリカでの自己破産の理由でもっとも多いのが、医療費の負担と言われるのも、さもありなん、と。
そんなアメリカで、失業して企業保険から離脱して困っていた人、これまで既往があるから保険に入ることがむずかしかったような人が保険に加入することができ、医療を受ける機会ができるんじゃないかと期待されています。ほんとうによかったです。
でも、よかった、だけではない課題はいろいろあるはず。
日本での半世紀にわたる皆保険の経験からすると、これからは、これまで医療機関にアクセスしなかった人たちが家庭医のところにやってくるようになります。その需要に応えるだけの家庭医を十分に確保しようとすると、医療費のバランスを取るため、専門医へのコストを圧縮することも起きるかもしれません。そのときに、医療の質がどう維持できるか、大きな課題になるのではないでしょうか。
また、患者数の限られる病気に関する研究は、アメリカの国立衛生研究所(NIH)などで世界的に先進的な研究が進められているものもあります。日本の厚生労働省の助成とは比べ物にならない金額が投じられてきましたが、そんな研究費も維持できるかどうか不透明です。
正直なことを言うと、甲状腺ホルモン不応症のような稀少病の研究に対する動きも、これから変化があるのじゃないかと心配です。どうなっていくのか、しっかり見守って行こうと思います。
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