はい。それでは答えです。
ではガラスの戸をそっと開けて、中に入って参りませう。
聞こえますか?
聞こえますか?
吠えとります。
ギャンギャンと。
喚いて居られます。
『あんたダレ?』
『あんたダレなの?』
『何か用?』
『こっち来ないでぇーーーーーーーーーっ』
棚の上に、マルチーズ。
最初は静かに寝ておられたんです。
そ。まるで本物そっくりの縫いぐるみのように。
その景色に溶け込んで。
ここは上州。ろまんちっく街道沿いのとあるガソリンスタンド。
この店はどこかのチェーン店にあるような賑々しさも華々しさもない。
店員さんの元気の良い掛け声もなければ
かと言ってセルフのような白白といった空気もなく
車が入るとおばちゃんが出てきて、穏やかに給油が始まる。
そう言えば昔のスタンドってこんなん多かったな~
家族でやっててね。
行くとお茶飲みしてたりなんかして。テーブルの上には駄菓子なんかがのっててさ。
これぞ、町のホッとステイション。
ほら、この棚にもそんなほっこりした空気が漂っているでしょ
はいはい。ガヤガヤとうるさい闖入者は帰ります。
どうぞお眠り下さい。
うさ子枕にアゴ乗せて。