facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

矢野顕子 ふたりでジャンボリー

2016年09月14日 | pocknのコンサート感想録2016
9月2日(金)糸井が書いて矢野が歌う1101曲(の予定)
Akiko Yano 40th Anniversary
~新宿文化センター~


【出演】矢野顕子/ゲスト:糸井重里

曲目
CHILDREN IN THE SUMMER
しんぱいなうんどうかい
女、キラキラ。男、そわそわ
SLEEPING DUCK
おいしい生活
クリームシチュー
へびの泣く夜
にぎりめしとえりまき
自転車でおいで
夕やけの中に(新曲)
野球が好きだ(新曲)
ただいま。
春咲小紅

アンコール
SUPER FOLK SONG
SUPER FOLK SONG
RETURNED(新曲)

あっこちゃんのコンサートは、このところずっと年末にNHKホールでやる「さとがえるコンサート」に行っているが、新聞の折り込みチラシを見て、この新宿文化センターのライブに行くことにした。こっちの会場の方が小さいのでステージに近い席が取れそうだし、しかも安い。ポップスのコンサートはどの席も料金一律で、席も選べないことがほとんどだが、これは座席表から席番を選べ、10列目のほぼど真ん中が奥さんの分と2枚取れた!

藝祭をやっている上野から新宿へ。JR新宿駅から文化センターは思っていたより遠く、着いたのは開演5分前を切っていた。アブナイアブナイ…

席からステージが近い!ステージにはスタインウェイのピアノと、ちょっぴりレトロな応接セットが。あっこちゃんが登場してピアノに座り、弾き語りで今の季節に合った曲を2つ。オペラグラスなくても顔の表情までよく見える。そして今回のゲスト、糸井重里が呼び出され、応接セットで二人のトークが始まった。

今日のライブのテーマは「糸井が書いて矢野が歌う1101曲(の予定)」。糸井さんが書いた詞によるあっこちゃんの持ち歌だけによるコンサート。それにしても糸井さんがあっこちゃんに書いた詞が1101曲分?スゴイ!いやいや、これは「イ(1)ト(10)イ(1)」の語呂合わせ。けれど、この二人の自然でフィーリングもぴったりの、汲めども尽きぬ話を聞いていたら、ホントにそのぐらい曲があってもおかしくない気がしてきた。

今日のライブは、演奏以上にあっこちゃんと糸井さんのトークに重きが置かれ、その合間に歌が入る感じで進んで行った。その話がおもしろいことと言ったら!演奏する曲について、驚きの制作秘話も交え、たくさんのエピソードや思いを語り、ゆかりの画像なども披露したあとに、あっこちゃんがソファからピアノへ移動して弾き語りを始める。それを、照明の落ちたソファでじっと聴き入る糸井さん。まさに二人の共同制作の現場に立ち会っている気分。こんな風にたくさんの話を、曲を生み出した当事者から直接聞くと、初めて聴く曲でもすごくイメージが膨らんで、いつもより更に共感度が高まった。

トークで、あっこちゃんが糸井さんからファックスで送られてきた詞を読み、すかさず曲が浮かび、たちまち出来てしまうという話があった。あっこちゃんはその送られた紙をちゃんと取ってあって、プロジェクタを使って投影しながら話に花が咲く。手書きの詞が書かれた紙には、あっこちゃんが描いたイラストやメモなども入っていて超レア。歌うときは、今でもその紙を譜面台に置いて見ながらやるそうで、今日も実際そうしていた。なんてアナログな世界!こうした手作りの作業が人の心に響くんだな。

1101曲もある(笑)中から、トークで出てきた曲を「やってみようか」となるので、何十年ぶりかでやるという曲も少なくなかったが、あっこちゃんは、始める前にちょっと鼻歌しながらピアノで和音を押さえてキーを確かめ、いつものように演奏が始まる。たまーに、「こっちのキーにします。。」なんてやり直すことがあったが、あっこちゃんにとって、あの変幻自在のピアノ演奏に、キーの違いなんて何でもないことなんだ!それに、何十年もお蔵入りしていた歌をひょいと出して聴かせ、それがオーディエンスの感動を誘うなんて! それにしても、1日で出来てしまうことも珍しくない星の数ほどもある曲のことを、あっこちゃんと糸井さんはよく覚えているものだ。なおさら曲の価値が高まるなぁ。

たくさん聞いたおもしろい話、感動の話、驚きの話のなかでも一番「へぇー!」と思ったのは、あの「春咲小紅」には、実は2つ曲の候補があった、という話。この歌は、あっこちゃんが作った2つのメロディーに、糸井さんが「春咲小紅」のお題で後からそれぞれ詞を書いた。出来上がった2つの「春咲小紅」のうち、選ばれなかった方に新たに別の歌詞を付けたのが「ただいま。」なんだそうだ。

「新曲を3曲やります!」と言っていて最後までやっていなかった3曲目はアンコールで披露してくれた。その名も、“SUPER FOLKSONG RETERNED“。これを往年の名曲“SUPER FOLKSONG“とカップリングで演奏。前作をパロディー風にしたもので、マサル君とミドリちゃんは64歳になっていた!そこには「春咲小紅」も顔を出す!歌詞がスクリーンに投影されたので、お話がよーくわかって楽しかった。

トークが長かった分、いつものコンサートより長い2時間半を優に超えた今夜のライブ。あっこちゃんの弾き語りをたくさん聞けて、曲のエピソードをリアルに聞けて、糸井さんとの打解け過ぎのトークを楽しんで、あっこちゃんワールドの広さと深さを益々体感することができた。これからもこの二人によって名作が生まれるのが楽しみ!

矢野顕子さとがえるコンサート2015 ~2015.12.14 NHKホール~
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~

拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« オーケストラ・プロジェクト ... | トップ | ハーゲン・クァルテット »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2016」カテゴリの最新記事