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ラヤトン

2015年11月19日 | pocknのコンサート感想録2015
11月19日(木)ラヤトン

王子ホール
【曲目】
♪ ドビンの花咲く谷間(アイルランドの伝承旋律)
♪ キューデニウス/ワイルドグース
♪ シベリウス/わが心の歌
♪ 茨の森をさまようマリア(オーストリア民謡)
♪ 神に導くクリスマスの夜(フランス民謡)
♪ コティライネン/クリスマスの朝の雀
♪ そして今は(ジルベール・ベコー)
♪ 恋を抱きしめよう(レノン/マッカートニー)
♪ アンダー・プレッシャー(クィーン&デヴィッド・ボウイ)

♪ ♪ ♪

♪ マカロフ/花婿を待ち焦がれて
♪ サリオラ/ヴァイナミョイネンの船旅
♪ マカロフ/バタフライ
♪ レディ・マドンナ(レノン/マッカートニー)
♪ エリナー・リグビー(レノン/マッカートニー)
♪ キューデニウス/私たちは霧の中を歩く
♪ サリオラ/響き渡れ、わが歌よ
♪ シベリウス/フィンランディア賛歌

【アンコール】
あこがれ(フィンランド民謡)

ラヤトンは1997年に結成されたフィンランドのボーカルグループ。今回は男女それぞれ3人ずつ、6人のメンバーによる公演。シベリウスやフィンランド民謡といったお国ものと並んで、ビートルズやクイーンのナンバーも取り上げ、ジャンルの垣根を越えた多彩なプログラム。

6人が最初に聴かせてくれたのはアイルランド民謡。グローエンベルグのリードボーカルが、ヴェールがかかったような声と、まっすぐで鋭い地声を使い分け、素朴で熱く、しみじみと聴かせる。これに他の5人がインストゥルメンタルな声色でハーモニーを作る。この形、この響きが、ラヤトンの一つの特徴的なスタイル。演奏した曲の多くが、メンバーによるオリジナルだったり、アレンジもので、このスタイルが多かった。

ポップス系の楽曲では、インストゥルメンタルな伴奏系にボイパ(声によるパーカッションのリズム系)が加わる。これが単にリアルなだけでなく、生身の体を使うことによる一体感が得られ、ギュッと凝縮された濃くてノリのいいアンサンブルが生まれる。「レディ・マドンナ」ではパーカスやベースに、カップミュートを巧みに操るトランペットも登場し、メンバーが思い思いに即興的に奏でながらも一つにまとまって、ボーカルを盛り上げる。ニューオリンズジャズを聴いているようなノリノリの気分になった。音のパフォーマンスだけでなく、スタイリッシュなコスチュームに身を包んだ6 人のメンバーは、縦に横に、或いはサークルに、様々に立ち位置を変化させ、ダンスも交え、耳だけでなく目も楽しませてくれた。

ラヤトンのもう一つのスタイルは、シベリウスの作品などで聴かせてくれた、メロディーと伴奏系という組み合わせではなく、6人が一つのハーモニーで一緒に動くホモフォニックな世界。ルネサンス音楽などを得意とする声楽アンサンブルのように声の質も歌唱スタイルもピュアでピタリと揃った神々しい演奏とはまた一味違い、メンバーそれぞれのボーカルの個性が感じられる人間味が出ているのが面白かった。神聖なイメージがあったフィンランディア讃歌が、ラヤトンの演奏では民族の純粋で赤裸々な思いがストレートに伝わってきて、この歌がフィンランドの第二の国歌と言われるほどに国民に愛されていることがよくわかった。

コンサートは、メンバーによる日本語を交えた楽しいMCと共に進行した。「イハナ!(素晴らしい!)」というフィンランド語の単語を紹介し、聴衆にも「イハナ!」と呼びかけさせて、この言葉に馴染んでから、その言葉が歌詞に入っている歌を披露するなど、ステージと客席をつなげる工夫もあり、客席が盛り上がる。最後の曲の前ではポップスやジャズのライブのようなメンバー紹介もあって、ステージと客席が一体となった。

ラヤトンはアバの曲のカバーも多く手がけてアルバムも出している。チラシにはアバの「フェルナンド」と出ていたとのになぜかアバの曲は1曲もやってくれなかった。聴きたかった~…

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