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NHK朝の連ドラ「エール」を観て戦争を考える

2020年10月24日 | pocknの気まぐれダイアリー
2020年 10月24日(土)

実在した作曲家、古関裕而の半生をモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説「エール」は、たくさん登場する音楽のシーンや、古関のモデル、窪田正孝が演じる古山裕一の音楽への情熱に惹かれてずっと観ています。でもこのブログの本題は音楽ではなく「戦争」です。ドラマで辛い戦争の時代がやっと終わって改めて考えました。

どんなドラマでも、第二次世界大戦、なかでも太平洋戦争末期に突入すると必ず戦争一色になります。登場人物たちは例外なく戦争に巻き込まれ、悲痛なシーンが続きます。「エール」では前線の凄惨なシーンが衝撃的でした。

戦後75年が経った今も、「戦争を二度と繰り返してはいけない」と多くの人が唱え、辛い戦争体験を語り継いでいます。これは同じ過ちを繰り返さないために大切です。けれど、そこに大切な視点が抜けていることがずっと気になっています。

あんな戦争を誰が始めたのか?という視点です。それは大きく括れば当時の国家ということになるでしょう。国民の生命を守らなければならない国家が戦争を起こし、300万人を優に超える国民の命を奪う結末に導いたのです。これは国家の犯罪以外の何物でもありません。

戦争責任を負っていない、実際に戦争を起こすことはできない一般の国民が「戦争は二度としてはいけない」と唱えるだけでは足りません。いつの時代であっても国家の運営を担う時の政府が、平和への誓いだけでなく、国家が犯した日本史上最大最悪の犯罪の責任を語り、糾弾し、自分たちは決してこれを繰り返さないと未来永劫誓いを立て続けるべきです。現政権に期待することはできないでしょうけれど、私たちはそれを求め続けなければいけないと思います。

これに加え、「エール」を観ていて、国民の側にも反省すべきことがあると感じました。それは、同調圧力が戦争を泥沼に追い立てたのではないかということです。婦人会に馴染めない音(二階堂ふみ)に対する姉、吟(松井玲奈)の厳しい態度、音楽教室を開くことを「こんなときに」とたしなめます。これ、コロナ禍での様々な場面で起きている同調圧力に似ていませんか。私たち日本人が昔から逃れることのできない同調圧力が、戦争をあそこまで長引かせ、破局を招いてしまったのではないでしょうか。同調圧力に屈せず、自分の頭で考えて行動することが、世の中が戦争に向かいそうになったときの盾になるはずです。

過ぎたことは水に流して円満に解決することや、他者と協調して大きなことを成し遂げるのは日本人の長所でもありますが、これが大きな過ちや不幸を生む元凶ともなってしまうのです。国家が戦争を起こしたことを忘れず、多様な考えを否定してたった一つの考えを強要することが人を傷つけ、不幸をもたらすことを肝に銘じていきたいと思います。


画像引用元:ORICON NEWS 連続テレビ小説『エール』第18週「戦場の歌」
https://www.oricon.co.jp/news/2174811/photo/3/
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