12月16日（土）沼津冬秋（Ob）、正住真智子（Pf）／白川千穂（G）
音楽ネットワーク「えん」～コンセール・ラポール in 東京（通算962回）～
尾上邸音楽室
《第90回プレコンサート／G：白川千穂》
1．ラモー／岡本拓也編／ポリュムニアのアントレ
2．リュリ／ヴィゼー編／アルレクィンのシャコンヌ
3．モンポウ／コンｔポステラ組曲～第1曲プレリュード、第5曲カンシオン、第６曲ムニェイラ
♪ ♪ ♪
《沼津冬秋 オーボエリサイタル （Pf：正住真智子）》
1．テレマン／無伴奏フルートのための12のファンタジー～第3番ロ短調 TWV40:4
2．Ｒ．シュトラウス／コンラート・リヒター編／4つの最後の歌
3．シューマン／アダージョとアレグロ変イ長調 Op.70
4．ドニゼッティ／オーボエとピアノのためのソナタ ヘ長調
5．デランドル／序奏とポロネーズ
6．ニールセン／2つの幻想的小品 Op.2
7．サン＝サーンス／オーボエとピアノのためのソナタ ニ長調 Op.166
【アンコール】
♪ モリコーネ／ニュー・シネマ・パラダイス ～愛のテーマ
音楽ネットワーク「えん」の演奏会で、また素敵な出逢いがあった。沼津さんのリサイタルの前に行われたプレコンサートに出演したギタリストは、中学１年の白川千穂さん。２つのジュニアコンクールで第一位に輝いただけでなく、スペインギター音楽コンクールで最年少のファイナリストに選ばれて入賞し、「輝ける未来賞」を受賞するなどの経歴を持つ。落ち着いたMCを交えながら、演奏も落ち着いてじっくりと音楽に向き合う白川さんはまだ小柄な体つきだけれど、年齢を重ねた大人が語りかけるような趣のある口調で音楽を紡いでいった。
最初のラモーでは、2つの旋律線が互いに慈しみ合うように言葉を交わす様子が、深い温かさと共に伝わって来た。色香を湛えた音色にも魅力を感じた。この落ち着きと深い味わい、上品な歌が、今の白川さんの一番の持ち味ではないだろうか。モンポウの曲からもそうした大人の魅力が伝わって来た一方で、このような曲ではオーバーアクション気味の情熱的なパフォーマンスが出せると更に聴き手の心を掴むだろう。今後の成長と活躍が大いに楽しみな逸材だ。
♪ ♪ ♪
続いてはメインコンサート。この演奏会を聴いてみたいと思ったのは、多彩なプログラムに引かれたのと、正住さんのピアノを聴きたかったから。オーボエの沼津さんは全く未知のアーティストだったが、まだ学部1年生の若さで数々のコンクールで一位や上位入賞する期待の新人アーティストだ。沼津さんが組み立てたプログラムは、知らない作曲家の曲や初めて聴く曲が多かったが、どれもが魅力を具えていた。なかでもコンラート・リヒターのピアノ版編曲によるシュトラウスの「4つの最後の歌」では、寂寥感の漂う深遠な世界が表現されて感銘を受けた。また、最後に演奏したサン＝サーンスのソナタは、詩情と歌心に富んだ瑞々しいオーボエが伸びやかに歌い、心を捉えた。息が尽きるギリギリの弱音の表現にまで緻密さを追求し、大胆さと繊細さを兼ね備えたアーティストへの成長を期待したい。
正住さんのピアノは期待通りの頼もしい包容力で、終始沼津さんのオーボエを温かくサポートした。シュトラウスでは、奥底から滲み出る濃厚で熱い息遣いで、七変化する色彩の妙や憧れを胸に夢想するファンタジーなど、ピアノ1台でオーケストラから伝わる情感を見事に表現して正住さんならではの歌と情に溢れていたし、後半のドニゼッティでは、明るく生き生きとした息吹が溢れかえるような命の勢いが伝わるなど、作品ごとの持ち味を聴かせるピアノに終始聴きほれた。1曲ぐらいソロを聴きたかったが、これはソロリサイタルの開催を楽しみに待つこととしたい。
吉成文乃(MS)/正住真智子(Pf)：シューベルト「冬の旅」 2019.5.26 内田邸音楽室
金成佳枝&吉成文乃 デュオ・リサイタル（Pf:正住真智子）～ 2017.10.9 やなか音楽ホール
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3．シューマン／アダージョとアレグロ変イ長調 Op.70
4．ドニゼッティ／オーボエとピアノのためのソナタ ヘ長調
5．デランドル／序奏とポロネーズ
6．ニールセン／2つの幻想的小品 Op.2
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最初のラモーでは、2つの旋律線が互いに慈しみ合うように言葉を交わす様子が、深い温かさと共に伝わって来た。色香を湛えた音色にも魅力を感じた。この落ち着きと深い味わい、上品な歌が、今の白川さんの一番の持ち味ではないだろうか。モンポウの曲からもそうした大人の魅力が伝わって来た一方で、このような曲ではオーバーアクション気味の情熱的なパフォーマンスが出せると更に聴き手の心を掴むだろう。今後の成長と活躍が大いに楽しみな逸材だ。
続いてはメインコンサート。この演奏会を聴いてみたいと思ったのは、多彩なプログラムに引かれたのと、正住さんのピアノを聴きたかったから。オーボエの沼津さんは全く未知のアーティストだったが、まだ学部1年生の若さで数々のコンクールで一位や上位入賞する期待の新人アーティストだ。沼津さんが組み立てたプログラムは、知らない作曲家の曲や初めて聴く曲が多かったが、どれもが魅力を具えていた。なかでもコンラート・リヒターのピアノ版編曲によるシュトラウスの「4つの最後の歌」では、寂寥感の漂う深遠な世界が表現されて感銘を受けた。また、最後に演奏したサン＝サーンスのソナタは、詩情と歌心に富んだ瑞々しいオーボエが伸びやかに歌い、心を捉えた。息が尽きるギリギリの弱音の表現にまで緻密さを追求し、大胆さと繊細さを兼ね備えたアーティストへの成長を期待したい。
正住さんのピアノは期待通りの頼もしい包容力で、終始沼津さんのオーボエを温かくサポートした。シュトラウスでは、奥底から滲み出る濃厚で熱い息遣いで、七変化する色彩の妙や憧れを胸に夢想するファンタジーなど、ピアノ1台でオーケストラから伝わる情感を見事に表現して正住さんならではの歌と情に溢れていたし、後半のドニゼッティでは、明るく生き生きとした息吹が溢れかえるような命の勢いが伝わるなど、作品ごとの持ち味を聴かせるピアノに終始聴きほれた。1曲ぐらいソロを聴きたかったが、これはソロリサイタルの開催を楽しみに待つこととしたい。
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