4月9日(火)アンサンブル・アンテルコンタンポラン Ⅱ
~東京・春・音楽祭 2024~
French Touch
東京文化会館小ホール
【曲目】
1.ジョラス/エピソード 第3番 ~トランペット・ソロのための~
2.デュサパン/Fist 8つの楽器のための(日本初演)
3.ミュライユ/アーノルド・ベックリンの「死の島」より 臨死体験(日本初演)
4.マレシュ/アントルラ ~6つの楽器のための~
5.ロバン/Übergang ~アンサンブルのための~(日本初演)
【演奏】
Tp:クレマン・ソーニエ
ジョージ・ジャクソン指揮 アンサンブル・アンテルコンタンポラン
2夜に渡り大活躍したパーカッショニストのオーレリアン・ジニュー
2夜に渡るアンサンブル・アンテルコンタンポラン(EIC)の演奏会の第2弾。昨夜は20世紀を代表する作曲家の作品が並んだが、今夜は現在注目されている現役の作曲家のレアな作品中心のプログラム。僕が知っている作曲家はトリスタン・ミュライユだけ。デュサパンは名前だけ聴いたことがある程度で、未知の音楽との出会いとなった。
前半、ジョラスの「エピソード」でのクレマン・ソーニエの真っ直ぐに伸びた清澄なトランペットの妙技には惹かれたし、ミュライユの「臨死体験」では、淡い光と色彩の粒子がグラデーションとなって浮遊する穏やかで美しい音楽が、タイトルから連想される世界を感じさせたりしたが、決め手になるインパクトがないまま終わった。EICをもってしても、昨夜のように評価の定まっている作品から得られる感銘には及ばないと思っていたが、後半は昨夜の体験を上回るのでは、というほど強烈なインパクトを与えられた。
マレシュの「アントルラ」は、濃厚な旋律線が縦横無尽に動き回る開始部で聴き手の心を捉えた。そして、その後の各パートの目まぐるしい動きが更に聴きものだった。清流の水のなか、小さな魚たちがいくつもの群れを成したり離れたりしながら、すばしっこく泳ぎ回る生き生きとした光景が浮かんだ。追いかけっこする目にも止まらぬスピード感が鮮烈なイメージを振り撒く。6人のプレイヤーが電気信号で瞬時に反応し合い、連動し合っているようなアンサンブルの極意を体験した。
ロバンによるドイツ語のタイトルの”Übergang(移行)”は、プログラムの解説によれば『チベット死者の書』に由来しているそうだが、これは圧倒的にワイルドな音楽。プレイヤー達は何かに取りつかれたように放心状態の体で一心不乱に楽器を操り、獰猛な猛獣が身の毛がよだつ雄叫びを上げて格闘しているような野性味を剥き出しにした。パーカス奏者の大暴れぶりや、弦が切れると思うほど体当たり的な弦楽器のパフォーマンスからは目も離せない。同じ演奏は2度とできないのではと思うほどの即興性に溢れたカオス的・刹那的な演奏から、とてつもないパワーが生み出され、EICの底力を見せつけた。
マレシュやロバンという作曲家は名前を聞くのも初めてで、EICの選曲ということで作品自体の価値も大きいのだろうが、EICの演奏があったからこそここまでのインパクトがもたらされたと云っていいように思う。新たな出逢いという意味では、昨夜以上に大きな収穫があった演奏会となった。
東京・春・音楽祭 2024 アンサンブル・アンテルコンタンポラン Ⅰ~ 2024.4.8
サントリーホール サマーフェス2021 ~アンサンブル・アンテルコンタンポラン~ 2021.8.24
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013 ~アンサンブル・アンテルコンタンポラン~ 2013.5.4
ブーレーズ指揮 アンサンブル・アンテルコンタンポラン2~ 1995.5.24 紀尾井ホール
ブーレーズ指揮 アンサンブル・アンテルコンタンポラン1~ 1995.5.23 東京ベイN.K.ホール
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4.マレシュ/アントルラ ~6つの楽器のための~
5.ロバン/Übergang ~アンサンブルのための~(日本初演)
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Tp:クレマン・ソーニエ
ジョージ・ジャクソン指揮 アンサンブル・アンテルコンタンポラン
2夜に渡り大活躍したパーカッショニストのオーレリアン・ジニュー
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前半、ジョラスの「エピソード」でのクレマン・ソーニエの真っ直ぐに伸びた清澄なトランペットの妙技には惹かれたし、ミュライユの「臨死体験」では、淡い光と色彩の粒子がグラデーションとなって浮遊する穏やかで美しい音楽が、タイトルから連想される世界を感じさせたりしたが、決め手になるインパクトがないまま終わった。EICをもってしても、昨夜のように評価の定まっている作品から得られる感銘には及ばないと思っていたが、後半は昨夜の体験を上回るのでは、というほど強烈なインパクトを与えられた。
マレシュの「アントルラ」は、濃厚な旋律線が縦横無尽に動き回る開始部で聴き手の心を捉えた。そして、その後の各パートの目まぐるしい動きが更に聴きものだった。清流の水のなか、小さな魚たちがいくつもの群れを成したり離れたりしながら、すばしっこく泳ぎ回る生き生きとした光景が浮かんだ。追いかけっこする目にも止まらぬスピード感が鮮烈なイメージを振り撒く。6人のプレイヤーが電気信号で瞬時に反応し合い、連動し合っているようなアンサンブルの極意を体験した。
ロバンによるドイツ語のタイトルの”Übergang(移行)”は、プログラムの解説によれば『チベット死者の書』に由来しているそうだが、これは圧倒的にワイルドな音楽。プレイヤー達は何かに取りつかれたように放心状態の体で一心不乱に楽器を操り、獰猛な猛獣が身の毛がよだつ雄叫びを上げて格闘しているような野性味を剥き出しにした。パーカス奏者の大暴れぶりや、弦が切れると思うほど体当たり的な弦楽器のパフォーマンスからは目も離せない。同じ演奏は2度とできないのではと思うほどの即興性に溢れたカオス的・刹那的な演奏から、とてつもないパワーが生み出され、EICの底力を見せつけた。
マレシュやロバンという作曲家は名前を聞くのも初めてで、EICの選曲ということで作品自体の価値も大きいのだろうが、EICの演奏があったからこそここまでのインパクトがもたらされたと云っていいように思う。新たな出逢いという意味では、昨夜以上に大きな収穫があった演奏会となった。
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