5月23日(木) ファビオ・ルイージ 指揮 NHK交響楽団
《2024年5月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.ブラームス/ピアノ協奏曲第1番ニ短調 Op.15![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/heart.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kirakira.gif)
Pf:ルドルフ・ブフビンダー
2.ニールセン/交響曲第2番ロ短調 Op.16「4つの気質」![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/1c/208a9257d59ee149615b206eda344dd4.jpg)
ブフビンダーをソリストに迎えたルイージ指揮N響の定期というと、どうしても10年前のあの事件が忘れられない。
F.ルイージ指揮 N響/R.ブフビンダー(Pf) 2014年1月16日
モーツァルトの協奏曲でソロとオケの拍がズレて収拾がつかなくなり、演奏を中断したまでは仕方ないとしても、問題になった箇所を端折ってその先から演奏を再開したという事件を起こした張本人2人がまた共演する演奏会は、会員でなければ行くことはなかっただろう。もちろん今回はハプニングもなく素晴らしい演奏を聴かせてくれたが。
ブラームスの協奏曲は熟成の極み。オケは冒頭から腰の座った貫禄の響きを聴かせた。年代ものの極上ワインのような豊かな香りを湛え、ヨーロッパの伝統のある名門オケが鳴らすような音で、濃厚で深い表現でじっくりと練り上げていった。今井さんの柔らかく雄弁なホルン、久保さんの含蓄のあるティンパニなど、各プレイヤーの妙技も演奏に深みと潤いをもたらした。
ブフビンダーは慌てず騒がずギリシャ彫刻のような格調と深み、力強いムーブマンも伴って堂々とオケと渡り合った。濃淡をじっくりと出すディナミークや、角の取れた柔らかなタッチが演奏の完成度を引き上げる。ブフビンダーが奏でるピアノは激しさやパワーを前面に押し出すことなく、落ち着いていて朗々と響き渡る。第2楽章ではオケが描く薄明の幻想的な静寂のなかに、ピアノがランプとか蝋燭の明かりのような仄かに温かく浮かび上がって心を捉えた。終楽章もしなやかな骨格に支えられて躍動する演奏が頼もしい。最後のコーダは予想よりもハイテンポで、もっとテンポを抑えた重厚な演奏が好みではあるが、聴き終えたあとの充実感はひとしおで正統派の名演と云える。ブフビンダーは名匠と呼ぶに相応しい。
後半はニールセンの交響曲。ファビオ/N響はブラームスの時とは別物の響きで、切れ味のある颯爽とした快演を聴かせた。ブラームスでは音が内面へと向かっていたのが、ニールセンではベクトルが外へ向いて、明るくクリアに響いた。
第1楽章ではオケが一丸となって遮二無二突き進んで行く姿が心を揺さぶった。コンマスの川崎さんのアグレッシブなパフォーマンスが火をつけたようにオケはハイテンションでいて、全体は整然と揃ってかっちりと固めてくるところはN響の合奏力の高さを物語っている。第2楽章はのんびり・ほんわかムードが心地よく、第3楽章は熱い弦の歌が胸に沁みた。第4楽章はまさしく陽気なお祭り騒ぎ。これも芯は保ち続け、ファビオ/N響は冷静な「役者」として聴衆を酔わせた。上手いし熱気もあって申し分のない演奏だけれど、周到なプラン通りに進むだけでなく、予期せぬサプライズが欲しいというのは贅沢な望みだろうか。
F.ルイージ指揮 N響(Pf:アリス・沙良・オット)2023年12月7日 サントリーホール
F.ルイージ指揮 N響(Hrn:福川伸陽)2023年5月25日 サントリーホール
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2.ニールセン/交響曲第2番ロ短調 Op.16「4つの気質」
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ブフビンダーをソリストに迎えたルイージ指揮N響の定期というと、どうしても10年前のあの事件が忘れられない。
F.ルイージ指揮 N響/R.ブフビンダー(Pf) 2014年1月16日
モーツァルトの協奏曲でソロとオケの拍がズレて収拾がつかなくなり、演奏を中断したまでは仕方ないとしても、問題になった箇所を端折ってその先から演奏を再開したという事件を起こした張本人2人がまた共演する演奏会は、会員でなければ行くことはなかっただろう。もちろん今回はハプニングもなく素晴らしい演奏を聴かせてくれたが。
ブラームスの協奏曲は熟成の極み。オケは冒頭から腰の座った貫禄の響きを聴かせた。年代ものの極上ワインのような豊かな香りを湛え、ヨーロッパの伝統のある名門オケが鳴らすような音で、濃厚で深い表現でじっくりと練り上げていった。今井さんの柔らかく雄弁なホルン、久保さんの含蓄のあるティンパニなど、各プレイヤーの妙技も演奏に深みと潤いをもたらした。
ブフビンダーは慌てず騒がずギリシャ彫刻のような格調と深み、力強いムーブマンも伴って堂々とオケと渡り合った。濃淡をじっくりと出すディナミークや、角の取れた柔らかなタッチが演奏の完成度を引き上げる。ブフビンダーが奏でるピアノは激しさやパワーを前面に押し出すことなく、落ち着いていて朗々と響き渡る。第2楽章ではオケが描く薄明の幻想的な静寂のなかに、ピアノがランプとか蝋燭の明かりのような仄かに温かく浮かび上がって心を捉えた。終楽章もしなやかな骨格に支えられて躍動する演奏が頼もしい。最後のコーダは予想よりもハイテンポで、もっとテンポを抑えた重厚な演奏が好みではあるが、聴き終えたあとの充実感はひとしおで正統派の名演と云える。ブフビンダーは名匠と呼ぶに相応しい。
後半はニールセンの交響曲。ファビオ/N響はブラームスの時とは別物の響きで、切れ味のある颯爽とした快演を聴かせた。ブラームスでは音が内面へと向かっていたのが、ニールセンではベクトルが外へ向いて、明るくクリアに響いた。
第1楽章ではオケが一丸となって遮二無二突き進んで行く姿が心を揺さぶった。コンマスの川崎さんのアグレッシブなパフォーマンスが火をつけたようにオケはハイテンションでいて、全体は整然と揃ってかっちりと固めてくるところはN響の合奏力の高さを物語っている。第2楽章はのんびり・ほんわかムードが心地よく、第3楽章は熱い弦の歌が胸に沁みた。第4楽章はまさしく陽気なお祭り騒ぎ。これも芯は保ち続け、ファビオ/N響は冷静な「役者」として聴衆を酔わせた。上手いし熱気もあって申し分のない演奏だけれど、周到なプラン通りに進むだけでなく、予期せぬサプライズが欲しいというのは贅沢な望みだろうか。
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