空論承知で。
この国には本気で各級貴族が必要だ。
制度化され特権と義務を背負う存在が。
視野が狭く視点の短い平民づれの幼稚な思考が政治に反映されて国が動くことを阻むためにも、下らぬ野心を持たせぬためにも。
文化を創造するのもそうであるが、国が間違った方向に動かないようにするのも貴族の使命。
貴族がこの先も存在しないならば、政の危機も政治の危機も去りはすまい。
血統によって使命を伝承し、百年以上のスパンで物事を考えられるのは貴族だけである。身分と財産が守られていればこそに、できることはあるのだ。
無論、悪質外国人を貴族にすることは御免蒙るし、不法行為には厳罰をもって臨むことは勿論だが。
神が在り、君主がいる国は確かに立派だ。
だがそれだけでは不足なのだ。
悪の貴族に対抗する愛国者はやはり貴族である必要がある。
金も学も、強さも凄さも悪さも桁が違う。
黒ポッポに平民の貧乏人出身の一年生議員が敵うかどうか、考えてみるといい。
不可能の答えしか出てこない。
人を使う知恵も金も、民衆に語りかける言葉も平民では持ち合わせえまい。
国を支える者は時には「ゴルゴ13に依頼をする」ような決断も下さねばならない。必要悪の手段を恐れずに取ることができるのは、平民一般人にはありえない。
そうした役目を担うのは、全て貴族である。
そろそろ本気で、アカの処刑場から貴族の躯を奪い返して蘇生させる必要があるのではないか。
貴族とは酒色に現を抜かし平民より劣り、平民の英雄に吠え面をかかされるだけという幻想を捨てるべきである。