ガラパゴス上 相場英雄 を読む!!ヽ(゚д゚ヽ)130
★★★★ 270頁
読書の醍醐味のひとつに、
自分が今まで知らなくて、知るべきだった情報がどんどんと
ダムの放流のように自分に雪崩れ込んで来るような興奮というか
アドレナリンが暴走する感覚を味わう、というものがあります。
この本は刑事モノです。
自殺とされて処理されていた一人の身元不明者が、巧妙に偽造した
殺人事件の被害者であることを見抜いたベテラン刑事が企業ぐるみ
の暗幕に迫ってゆくというストーリーです。
ですが読者に詰め寄るこの本の核は、事件の真相に迫るうちに
明らかになるってゆく派遣業界に依存する現代社会の闇にあります。
経済が不景気であろうが好景気であろうが、効率化の名のもとに
雇用形態の底辺として 使い捨てられ 搾取されていく 派遣の人達。
その立場になってしまえば破格の低賃金と過酷な労働条件を強いられ
正社員への道は絶望的に狭く、病気や職場での労災で怪我を負っても
補償されることはおろか雇用自体も簡単に雇い止めされてしまう。
綱渡りのような月々は不安とストレスの連続で貯金も結婚も
思い描くことさえできません。
そして少なくない人数が綱から一度落ちれば更にホームレスや生活困窮者に
転落してしまいます。そこから這い上がることは更にできません。
小説ということで多少の誇張があったとしても事実と実態の持つ重みは
読者にじわじわと詰め寄ります。
いつからか、いつのまにか僕らが育ち、学校を出て就職してきた世界とは
全く変質してしまった世界。ホラーよりも異常殺人よりも怖いです。
この世界はどうしてしまったのでしょうか?
救われる道は下巻では示されるのでしょうか?。。。(/≧◇≦\)
残念ながら下巻の予約の順番が巡ってくるのは少し先のようです。