幻想小説周辺の 覚書

写真付きで日記や趣味を書く

パシフィックリム アップライジング

2023-01-06 14:53:00 | 映画レビュー
#パシフィック・リム:アップライジング
#Pacific Rim: Uprising

決して駄作ではない、手抜き作品でもない。むしろ真面目に造られている。
だが、まるで店頭に「一生懸命作ってます」と貼紙のあるラーメン屋のようにお行儀がよく、大脳辺緑系にグサッとくるような暴力的な1作目の暴走力が消えている。

一つにはあのオタク大兄貴ギレルモが現場の前線から退いてしまっている要因が大きいだろう。
更には途中で製作に資本を肩代わりした中国グループへの忖度とわずかな商業的なおもねりが、本来純粋であるべきスープを濁らせているような気がするのだ。

前半はトランスフォーマーのようでもあり、エヴァンゲリオンの実写版のようでもある。
トレルモがあんなに執着した”怪獣”の面影は後半までオアヅケ。これは我慢できる。
だが前作で僕たちを身震いさせた夜の暴風雨の中の怪獣とイエーガーの対峙、にらみ合い、ド突き合いッ!! 
これが如何に秀逸で的を得たコンテンツであったかは、今回の見事に滑らかな昼間のCGバトルの完成品を見たときのナンカ違ウ感で実感できてしまうのだ。

いろいろとキャッチーでおいしい要素を盛り込みつつ、そつのない優等生は、結局オレらオタクとは違うんだなァ。
とシニカルに一人ごちながらあのエンドロールを聴いた。




撮影データ

2012年、ギレルモ・デル・トロは『パシフィック・リム』公開前の時点で続編の構想を抱いていることを述べており、2014年後半にザック・ペンと共に数か月間構想を練っていたことが報じられた。
2015年7月、同年11月から撮影が開始されることが報じられたが、レジェンダリー・ピクチャーズとユニバーサルの意見対立が起き、撮影が中止された.
しかし、デル・トロは続編の製作を諦めておらず、同年10月には脚本と予算をスタジオに提示したことを公表した。

2016年1月、中国の大連万達グループが35億ドルでレジェンダリーを買収した。前作が中国でもヒットしていたため、続編の製作が大連万達グループ資本の下で再始動する。しかし、買収の影響で製作時期に遅れが生じたため、デル・トロは『シェイプ・オブ・ウォーター』の製作を優先して監督を降板し、同年2月にスティーヴン・S・デナイトが続編の監督を担当すること、自身はプロデューサーとして製作に参加することを公表した。

11月9日からオーストラリアで主要撮影が開始され、
2017年2月3月8日からは中国の青島東方影都での撮影が開始され、3月30日に撮影が終了した。
日本公開は2018年4月13日。

映画のレビュー アイアムサム を見てスタバに行こうか

2022-12-02 17:21:00 | 映画レビュー
「アイアムサム」2001年公開 監督ジェシーネルソン
スターバックスで働くサムは発達障害で7歳の知能しかない中年シングルファーザー。
母親に逃げられ一人でルーシー(ダコタファニング 当時7歳)を頑張って育てているが、やはり世間は厳しく施設に保護され離れ離れに・・・
でもサムはあきらめずにミシェルファイファーの女弁護士を何とか味方につけ法廷で闘います。
ミシェルは本当に頼もしいが、サムも証人の友人たちもサム同様に障害者や対人恐怖症だったりして、どうみても勝ち目はないが、、、、

とってもハートウオーミングな作品で 寒い季節にはぴったりです。
子供を持っていると泣かせられたり、ジーンと考えさせられるエピソードが随所に・・・ 知能が子供並みだってサムには親として一番大切なものがちゃんとあることが、よーくわかります:法廷の分からず屋たちはちっともわかりませんが・・・

何気無いけどお奨めのところは、サムと友達がルーシーに新しい靴を買ってあげるシーンとセリフ、
ルーシーにいろんなへんてこな、でも自分が一番いいと思う靴を勧めるところや、
お金が足りなくてみんなが少しずつお金を出し合ってあげたり、
靴屋に風船をみんなでもらってアビーロードのように横断歩道を渡る場面。

全編にビートルズのカバー曲が流れる中をこのような温かいエピソードが重なってゆきます。ネタばれですが あえて書かねばならないのは、このラストはアンハッピーエンドではないってことです。
気取った映画だとせっかくのラストをアンハッピーで終わらせてドヨーンとさせることがありますが、この話だけはハッピーエンドにしかしてはいけないだろうって気になります。






ダコタちゃんが最後のサッカーのシーンまで可愛く締めてくれますので安心して観てください。

長文失礼 なにぶん好きな映画でしたのでついつい・・・でした

映画レビュー アバウト タイム

2022-08-29 15:11:00 | 映画レビュー



 アバウト・タイム  
監督: リチャード・カーティス
挿入歌: About Time Theme
出演者: ドーナル・グリーソン; 
レイチェル・マクアダムス; ビル・ナイ; 
トム・ホランダー; マーゴット・ロビー

もうすぐ見放題終了映画 
ちょっと不安だったが開始15分で払拭されて
一気に観てしまった。
ヒロインのレイチェル•マクアダムスの存在が
主人公とっても観客にとってもとても大きく
彼女がそのぐらいの時間で登場するからだ。
要領の悪い主人公がある時父親から家系の男子には
時間を遡り過去に戻れる能力があることを伝えられる。
いわゆる、やり直し能力だ。
だが、この力は世界を変えるようなことに行使すると自分も世界も破滅する。だから 使う範囲は自分とその周りの人そこそこに限られる。
まるでドラえもんか藤子不二雄ワールドだ。
だがドラえもんでも実に良く出来ている方のドラえもんだ。 テレビ版じゃなく映画版、スタンドバイミードラえもんの実写版にしたらかくや、と言った風合いです。
見終わったモヤモヤすることなく、ああいい映画観たな、と安心して眠りにつけるような作品でした。



映画レビュー シンゴジラ

2022-08-18 05:57:40 | 映画レビュー
シンゴジラ。(*゚∀゚)=3(*゚∀゚)=3観てきました。

いやあ良かったですぅ。
小4の息子と一緒に観たけど彼も難しいとも思わずに
ガン見してました。
「会議多いよねえ。。。」とか、
「立川は襲われないんだ。じゃあ多摩に住んでて良かったねえ」とか
鋭いんだかボケてるんだか。。。。

まあ突っ込み処もあっても、それでも大人達が一生懸命な姿を
繰り返し出してくれているところ、地球防衛軍とかアメコミ
ヒーローじゃない、公務員やサラリーマンが頑張ってるっていうのが
素晴らしいですよね。

庵野さんファンも自衛隊ファンも、それからブサカワ政治家好き?
イケメン官僚好き?も喜ぶ作り込み。エキストラのリアル演技もバッチリでした。
そして東京都民は自分の知ってるところが出てくると壊されても
嬉しかったりするというアド町的な楽しみ方もありました。( ≧∀≦)ノ

これはちょっと本屋大賞並みにみんなに観てもらって飲み会で
思う存分ネタバレ、細かすぎて好きすぎる見処談義をしたく
なってしまいました。






映画レビュー ファントムスレッド

2022-08-17 03:18:00 | 映画レビュー
#ファントムスレッド #監督ポールトーマスアンダーソン 
#主演ダニエルデイルイス 2017年アメリカ 
アカデミー賞衣装デザイン部門賞受賞 他6部門ノミネート














なんというか明治大正の日本文豪の体面・体裁は絶対失うことができないけど、その実体はコンプレックスと女性に対する奥手とエロをこじらせたフェチ愛、みたいな空気感に全篇満ち滴っている。

食材に漱石と太宰を足して、花袋の鍋で煮込み、秘伝の川端の隠し味で仕上げたイマイチの懐石風創作料理って感じだ。
実に味わい深くギリギリの線で下賎に縁から堕ちないで留まっている(コレ、褒めコトバ)

ダンディーでハンサムで知的で成功しているドレスクリエイターの主人公を演じるのは本作で引退宣言のダニエル・デイ・ルイス。
食堂で見初めた田舎育ちの教養もセンスもないが、理想的なドレスの為にあるようなプロポーションの持ち主のウエイトレスを自宅兼工房に招き、やがて彼女と奇妙な関係性を持つに至ってゆく・・・


















役者が主役からヒロインから助演まで、実に名演技!少しも作り物っぽさがなく、役者と映画のキャラクターが完全にシンクロしている。

露骨なラブシーンや扇情的なヌードやエロは地雷処理班の任務のように慎重の上にも慎重に、ラストまで回避する事に成功している。
観客はいつこのあやういバランスがエロポルノに振れるのか?はたまたサイコホラーのバッドエンドに壊れてゆくのか?とハラハラドキドキしながら画面から目をそらせない。

そして期待外れに、静かに、平穏に物語の幕は降りる。
そして観客は気付くのだ。なんと意味深な、中身の詰まった豊饒でグラマラスな肩透かしかと・・・・!
判りづらい表現になってしまって恐縮だが、褒めコトバである。