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NHK | 羽生結弦 単独インタビュー ノーカット
【書き起こし】
前編「体を痛めつけてでもやりたい表現 見てもらいたい演技がある」
― 今日はありがとうございます
ありがとうございます、お願いします
― エキシビがまだあるとはいえ、オリンピックという競技が一段落したというところで、先程会見でもオリンピックは特別というふうにおっしゃってましたけれども、まだ決めてはないとは思うんですが、次の演技にかける思いとか、なんかイメージしているものっていうのはなんかあったりするんでしょうか
うーん、ぅうん・・・そうだな・・・難しいですね、ふふふっ。なんか・・・やっぱ羽生結弦のスケートだなって思ってもらえるものにしたいです、うん。まぁ作品とは、あんま自分では思わないですけど、競技なので。でもそのプログラム自体が持っている性格だったり、ストーリーだったり、まぁ、毎回やる、やる時にどんどん変わってってはいますけど、なんか、そんなことを感じ取ってもらえるような演技にしたいなって思います
― 最大の目標が4Aといった中で今回初めて認定されたっていう部分があって、僕とか見てても足の怪我がなければとか、いろんな偶発的な要因はあるとは思うんですけれども、やっぱり懸ける思いっていうものは当然、人一倍向上心も強いし大きいものがあると思うんですけどうでしょう、やっぱり成功させたい、この後も成功させたいんだって気持ちっていうのは強いものがあるんでしょうか
正直言ってしまうと、あのぉ、あのケガがなければ、 あのアクセルにはなれなかったなって思ってます。それは、ネガティブな意味じゃなくて、すごくポジティブな意味で。あのケガがあって、周りの方々がたくさんたくさんサポートしてくださってさらにより一層力をくださって、で僕自身もすごく集中できてましたし、なんかぁ、もう注射を打ってもらって完全に痛みを飛ばしていただいてできる状態だったので、なんかある意味すごく集中できました。 今までにない力で、アクセルに挑めたと思いますし、本当に皆さんの思いが、直に伝わった、そんな瞬間だったなぁって僕は思ってます
― まさに今できるベストみたいなものを出し切ったっていうところだと思うんですが、もっと時間があればもっといいものができるっていうかもっと成功に近づけるっていう思いもあるんでしょうか?
そんな簡単なものじゃないです、正直言っちゃうと。そんなに、そんな簡単にできるんだったら、僕はできてると思います。だから、わかんないですけど・・・ぅん・・・まぁ成功させたかったなぁっていう気持ちはもちろんあります。そのために努力し続けてきたと思ってますし。でも、あれが羽生結弦のアクセルとしての4回転半、なのかな、っていう感じもしています
― 現在28歳っていうところで(←27歳です💦)周りを見渡すと若い選手もたくさんいます、次を決めてないとおっしゃってましたけれども、今後の現役への思い、一旦一息つきたいところがあるのかそれともまだ前に進みたいのか、まだ決めてないってところはあるかもしれませんが、そこあたりの思いっていかがでしょうか
ふふっ・・・正直言っちゃえば今どうでもいいって思ってます。そんなの後から決めりゃあいいって思ってます。今はただエキシビに向けて、もちろん足はエキシビに持つ足じゃぁないです。こんな短期間で治るものではないし、正直言って、歩くのも痛いと思います。走るのなんて、痛み止め飲んでてても、痛って思いながらやっていましたし今日。でも、 それでも、体を、体を痛めつけてでもやりたい表現であったり、見てもらいたい演技があるので、今はとにかくそこに全身全霊を、込めたいなって思ってます
― 会見でオリンピックは特別だっていうところすごい僕は印象的だなって思ったんですけれど、羽生さん、ソチ、平昌、北京と経験してきて、それぞれ臨む思いとか感ずる思いっていうものがそれぞれ違うと思うんですけど、羽生さんにとってのオリンピックとはどういうものでしょうか
平昌までは、頑張れば報われる場所だったんですけど、幸せになれる場所って思ってましたけど、 まぁ今回は、報われたなとはやっぱりいろんな方の気持ちとかいろんな方の言葉とかそれを聞いても、やっぱぁ、心の底から思えるほど強くはないです・・・ぅん。ですけど、多分、今回が一番、たくさんたくさんサポートしていただいて、 きっと誰よりも万全な状態で、誰よりも幸せな状態で、ほんと・・・これ以上ないって状態で試合に臨めたので、そういう意味では、それを受けとれきれなかったのは申し訳ないし、その方々に本当は金メダルを掛けたかったなっと、本当は4Aを見せたかったなって思いますけど、でもそうやって僕の演技ができ上がったんだっていう気持ちもあります
― 震災から間もなく11年というタイミングで、その年月を踏まえた上で、故郷仙台市とか、被災地への思い、ファンへの思いっていうのはいかがでしょうか
僕は皆さんに問いかけたいです、ちょっと。僕は皆さんの何かになれましたかって。これまで金メダルを持ってきて、結果というもので恩返しできたと思ってますけど、今回は、何も持って来れなかったなって思ってるんで。皆さんの何かになれてたらいいなぁって・・・ぅん、たとえそれが物じゃなかったとしても、たとえそれが演技そのものだったとしても、たとえそれが、たった一回の4Aという挑戦だけだったとしても、皆さんの何かになれてたらいいなぁって思ってます
後編「今回の演技で自分の生き様を見せられた」
― 北京オリンピックに出て、いろんなことを感じていろんなことを学んだのかなというふうに思うんですがそのあたりいかがでしょうか
ぅーん、今まで僕は、信じてきた道を突き進んできた先には、信じてたものが常にあって、ぅん、今回、今まで進んできた道を超えるぐらいの努力をひたすらしてきて、そしたら、信じたものはそこに存在しなかったので、正直苦しいなって、思うんですよ。でも、たとえば、震災の時に、自分の命を顧みず救助に向かった方々、なんか、どうやっても逃げられなかった方々、そういった方々の魂とか、そういったものってじゃぁ、頑張んなかったからなのって言われたら、そんなことはないなって気づかされて。今までそういうことを見て泣いたり、その、その方々の力にはもうなれないかもしれないけど、そういうことを思いながら「レクイエム」というプログラムを滑ったりとか、「花は咲く」だったり、そういうプログラムを滑らせていただきましたけど、みんな頑張ってんだぁって思って。それでも、命を張った頑張りだったとしても、それがすべて報われるわけではないんだっていうことを、僕は僕自身でやっと学べたのかなぁって思ってて、それは多分、今後の人生の中ですごく大切な経験だったと思いますし、それが、オリンピックという舞台で、そしてそれを、皆さんに見届けてもらえて、そういう意味では本当によかったと思っています
― 次のスケート、エキシビになるとは思いますけれども、それを通してどんなメッセージを、どんなスケートを見せたいという風に思ってらっしゃいますか
うーん、感じるがままにって感じですかね。僕はきっと、そこに感謝の気持ちを詰めて、演技させていただきますけど、それだけじゃないと思うんですよ、きっと見えるものは。僕が今まで感じてきたことだったり、僕が今まで発してきた言葉たちだったり、今回のエキシビションの演技の裏には、僕のフリー演技というものを見てくださった方がいたりとか、ショートを見てくださった方々だったりとか、あとはその結果がわかった上でそのエキシビションを見る方々もたくさんいると思うので、その方々が何を感じてくださるかは、皆さんに任せます。でも、何かは絶対感じていただけるような演技にしたいって心から思っています
―羽生選手本人が思う、羽生結弦のスケートって、今どんなスケートですか
ぅーん・・・まぁ、言葉で簡単に表せないですよね・・・全部が羽生結弦らしいなって自分の中では思ってるんで。なんか今回のフリーもそうですけど、生き様とか、そういったものが出てくれてるんじゃないかなって僕は思ってます。ぅーん、這いつくばったり、押しつぶされたり、そんなことばっかだったなって、振り返ると思うんですけど、皆さんの中ではもしかしたら、 オリンピックの結果だけが残っている方もいらっしゃるかもしれないし、そりゃあ努力なんて全部が見えるわけではないし、皆さんの前にすべてを伝えられるわけではないので、それはもう僕の心の中にとどまってるものかもしれないですけど、でも今回の演技で自分の生き様は見せれたなって思ってはいます
― この4年間って羽生選手にとってどのような4年間、どのような時間だったでしょうか
ひたすら夢を追い続けて・・・体を壊して・・・いろんなものを懸けて、そこまでして、掴み取ろうとした4年間だったと思いますし、きっと、僕は、その努力が報われたとは思わないですけど、でも僕は、今の自分のフィギュアスケートにずっと誇りを持とうと、ずっと誇りを持っていられると、思えるような4年間だったと思います
― 最後の質問します。羽生選手の具体的な目標とかじゃなくて、今の羽生選手の夢って何ですか
ぅーん・・・皆さんに、何か感じてもらえるような、羽生結弦のフィギュアスケートは、羽生結弦にしかできないスケートだなって、そういう世界だなって、そして、この人はやっぱりオリンピックで2連覇した人間なんだって、そう思ってもらえるような演技をし続けたいなって思ってます。
― ありがとうございます、まずはエキシビの演技楽しみにしてます
お願いします。
― 今日はありがとうございました
ありがとうございました