音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆巨匠ゲンリヒ・ネイガウス(巨匠スヴァトスラフ・リヒテルの師)の心地よい演奏

2008年11月15日 | 音楽(一般)
あまりレコードやCDなどの
録音された音楽を聴く習慣のない私なのですが、
今夜は、ふとしたことから、
以前買ったまま封のしてあった
ゲンリヒ・ネイガウスのCDを聴いてみました。



20世紀前半にロシアにて活躍したという
ゲンリヒ・ネイガウスは、
巨匠スヴァトスラフ・リヒテルの師、
 
そして、現代において活躍中のスタニスラフ・ブーニン氏の祖父といえば、
我々にもいくらか身近に感じられるのではないでしょうか。
また、
ネイガウスの著書『ピアノ奏法論』は、
ピアノ音楽における総論・教本として、
今日なおその価値を失っていないとても貴重な資料といえましょう。


私にとって、名前だけ知っていたネイガウス氏、
ようやく、彼の演奏を録音を通して聴くことができたのですが・・・


すばらしい。
すごい。


このように弾きたい、
と思える演奏に出会ったのは、どれくらいぶりのことか。


あらゆる声部がそれぞれに違った音色で語りかけるように演奏が聴こえるのは、
この人が高い次元の「ポリフォニー」を極めている何よりの証拠です。

そして、自然な・有機的な音楽の流れが、全くわざとらしくなく、
音楽はあたかも「そうである」かのように「当然」に演奏が成されていることに、
心から、うれしく、すごいと思ってしまうのでした。


これが唯一絶対だと言っているわけではありません、
「頂点のひとつ」といえば、間違いはないでしょう。

いやはや・・・
こんな余計なことを言う必要はまったく無く・・・
ただ・・・
とても心地よい音楽だな、と思ったのです。

そして、
素晴らしいピアニスト、
素晴らしい音楽家だな、と思ったのです。


時代と国境を越えて、素晴らしい音楽家は、
きっと色々なところにいるのだと、
改めて思わされます。



・・・それにしても、
時にものすごく狂ってしまっている「酷い調律」には、苦笑、いや、
大爆笑!!してしまうようなシーンもあるのですが、
(ドビュッシー《アナカプリの丘》の最後の高音が・・・
・・・音階の体を成していないのです・・・)
20世紀当時の健全なピアニスト・音楽家にとっては、
もしかすると、狂った調律というのは、
あまりそこまで意にとめない些細なことだったのかもしれませんね。

過剰に抗菌コートされた21世紀の人間が
現代社会に疲れを感じているのだとしたら、
今一度、
前世紀、さらに昔へとさかのぼって
過去のアナログな人間達の自然な・有機的な生活と感性を
再び取り戻そうと意識的に・積極的に・まじめに考えてみるのは、
これからの先の未来を健全に生きたいと思う人間にとって
多少なりとも有意義なことなのかもしれません。



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