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PARC Audio初システム、DCS-W3発売

2008年09月16日 23時32分24秒 | オーディオ



こんばんは。
今日はPARC Audio初の完成品システムであるDCS-W3の発売のご案内です。と言っても既にPARCのホームページや販売店様のサイトで掲載されているので、ご存知の方も多いかも知れません。

このモデルの最大の特徴は、何と言ってもその贅沢なピアノ塗装です。どうしてピアノ塗装のような高価な塗装をこんな小型モデルで採用したのか、不思議に思われる方もいらっしゃるかも知れませんね。私自身も最初はピアノ塗装ではなく通常のウレタン系の塗装で検討しており、それはそれなりに満足していたのですが、2月に開催されたA&Vフェスタ2008に出展のためたまたま製作したピアノ塗装サンプルを聴いてその考えが少し変わったのです。自分が頭の中で予想していた音をはるかに超えたその音に、これはデモ機で終わらせるのはもったいないなぁ、と感じていたのです。

でも価格を考慮するとPARC Audioとして商品化するにはちょっと(というか大分)厳しい感じもあり、自分としても少しまよいながらの出展だったのですが、多くの方から高いご評価をいただき、さらに私の背中をぐっと押してくれたのが5月に開催された
ハイエンドショートウキョウでした。このショーでは、かなり多くの方から「是非発売してほしい」とか「実際に音を聴き、現物を見て、十分にその価値観に納得しました。この内容なら是非欲しい。」とのコメントをいただき、商品化を決断したのです。この辺がガレージメーカーの強みですね。会議で審議する必要もなく、心の中で決定!って感じです。(笑) 実はこの時にリクエストをいただいた熱心なユーザーの方にはその後も何回もお問い合わせをいただき、量産試作機を既に納品させていただいております。

ではDCS-W3とキットモデルとは最終的にどう違うのかということですが、ピアノ塗装以外にも木組みをより高音質な構造に変更したり、完全非磁性の大型高級端子を採用したりといろいろあるのですが、一番違うのはやはりその音質です。ショーでも多くの方が驚かれたのは、その抜群の解像度独特の音場再生能力だと思います。もともとウッドコーンユニットがフルレンジということもあり、通常の塗装BOXでもかなりのレベルではあると自負していますが、一度このW3を聴いてしまうとやはりその差は歴然とあることに驚きます。W3の音に比べれば、通常BOXの音には薄い藻がかかっている感じで、解像度自体も落ちたように感じてしまいます。まぁモニタースピーカーじゃないのだからそこまで音が見えなくてもいいじゃない、と言われればそうなんですが、でも見えないよりは見えた方がうれしいんですよね、やっぱり。

だここで要注意なのは、へたに音が見えすぎると、うるさい音になってしまうことが多いのですが、そこはPARC Audioとしてしっかりとポイントを抑えていますので安心してください。これはあくまで私見ではありますが、このBOXにちょっと派手め(うるさめ)のユニットを付けると、逆に通常のウレタン塗装の方が聴きやすくていいという評価になるかも知れません。


ところで5月のショーから今まで何をのんびりしてたの? と厳しい突っ込みをいただきそうですが、実際に発売となるといろいろと細かいことがあるのです。もちろん音の細かい最終調整をやるのは当然ですが、それ以外に例えば先日のPARC Audioのロゴバッチなんかもその一つで、たかがバッチですが、やはり10万円を超えるような商品に付けても恥ずかしくないようなものにしたいと貧乏会社なりにいろいろと無い知恵を絞って奔走していたのです。金が無い分、知恵を使うって感じでしょうか。実は最終の取説はまだ完成しておらず、現在鋭意製作中だったりもします。

それからカタログ用の写真撮影も本当に苦労しました。これについては自主制作を断念し、初めてプロのカメラマンに撮影を依頼しました。でもプロでもこの黒の鏡面仕上げで凹凸のない平坦な形状というのは難題のようで、なかなかOKのものが出来ず、一時は断念しようかとも思ったほどです。ソニーなら社内に専門のスタッフとスタジオがあって、依頼書を書くだけでOKなんですが・・・・・。今更ながら、自分のモデルを撮影している時にもっと詳しく見とけば良かったなぁなんて、後悔先に立たずですね。

また量産試作で塗装の品質確認を行っている間に、欲が出てきて塗装の回数がどんどん増えていき、最終的には下塗りを入れると13回もの豪華仕様になってしまいました。ソニーだとこら~、お前原価率見てんのか!と上から確実にカミナリが落ちるところですね。
この塗装についての詳しい話は、次回また別途お話したいと思います。

ホームページにも案内していますが、このDCS-W3だけはPARC Audioとして初めてデモ機の貸出サービスも行っていますので、ご興味のある方は遠慮せずに是非お試しください。往復の送料だけはご負担いただきますが、それ以外の費用は不要です。またデモ機を借りたから絶対に買わなきゃダメよ、なんていうケチなことは申しません。いよっ、太っ腹!


では今日はこの辺で。次回はピアノ塗装の詳細です。


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12 コメント

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凄げーDCS-W3 (I,Y)
2008-09-17 09:30:38
今日は、 昨日、何気に御社のHPを開いたらDCS-W3の世にも美しい写真がドーンとでてるではありませんか?
代表は大体夜の12時ごろブログをUPするので待っていようかかと思いましたが眠たくなつて寝てしまいました。
翌日ブログ拝見!塗装13回ですか? もう本漆と変わりませんね伝統工芸品を観てるみたいです。
本漆の下地は生漆にとの粉を練りこんで木目を潰し、色漆の塗り重ねとほお炭の木口面での磨きを繰り返し、最後は鹿の角を焼いて粉末にしたものを極細コンパウンドの代わりにして鏡面にするらしいですが~・・・
現代の技術ではどうやるのか次のブログ更新が楽しみです。
塗料はやはりカシューなのかな?
次の更新楽しみにしてます。
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ピアノ塗装なら (ノヴァオブロンリー)
2008-09-17 10:04:03
初めて書き込みします。ピアノ塗装といえば、総合音楽メーカー・ヤマハのスプルース板と塗装を使ったスピーカーがあったと記憶しています。
 なんと言っても、ギター・ピアノの原木となるスプルース板が最高だから、そしてピアノ作りもしているヤマハならでは・といえるのではないでしょうか?
思い出しました・ソニーの平面スピーカーのAPMxxでしたね。
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Unknown (倉田 有大)
2008-09-17 19:09:04
発売おめでとうございます。
次は、17cmのパルプを利用した、大きめのブックシェルフなんて、需要がないかな?と思っています。
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Unknown (PARC)
2008-09-17 23:06:44
I.Y様

コメントありがとうございます。本漆は伝統工芸の代表のようなものですが、今回のピアノ塗装も工程的にはそれに近いものかも知れませんね。
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Unknown (PARC)
2008-09-17 23:10:02
ノヴァオブロンリー様

ヤマハは楽器メーカーらしく昔からスプルースをよく使っていたような気がします。ただ私がスプルースのような響きの良い無垢材を使うなら、多分ピアノ塗装ではなく、素材の良さをできるだけ出すように塗料はオイルステンとかの非常に薄いものにするかも知れませんね。

ソニーの平面スピーカーのAPMxxはピアノ塗装ではなかったのですが・・・。
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Unknown (PARC)
2008-09-17 23:11:56
倉田様

17cmのブックシェルフはちょっと厳しいかなぁと思います。13cmのウッドも正直あまり売れないだろうと思っているのですが・・・。(^^;
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スプルース (I.Y)
2008-09-17 23:39:10
ブログにスプルースの話題がでていましたが、現在W3のエンクロージャーのサイズの無垢材の確保は難しいと思いますね。
又シロウト考えですがスプルースを使うとなると、エンクロージャーそのものを1っの楽器として考えないといけないと思います。
その響かせ方も個人の好みが出てくるでしょうし、工業製品としての品質のばらつきも気になるところですね。
生意気、言ってすみません。
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Unknown (PARC)
2008-09-17 23:45:56
I.Y様

実はスプルースは10cmでテストしたことがありました。MDF+ピアノ塗装のW3とは全く正反対の音という感じで、スプルースの方が好きという方もいらっしゃるかも知れませんね。

ざっくり言うと、スプルースは箱自体が楽器のようによく鳴り、非常に軽やかな音で、弱点としては少し低域が軽めになるという印象でした。

反対にMDFでは高比重ということもあり、音は非常にしっかりして低重心な音で安心して聴けます。ただMDFそのものの音色はあまりクリアではなく、無垢材に比べると少し濁ったような感じなので、ピアノ塗装のような高品位の塗装をすることでうまくその弱点を補うことができます。
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音の重心 (I.Y)
2008-09-17 23:56:15
ご丁寧な御説明、有難うございます。
クラフト・スピーカーの本に音作りは低音を基礎にして構築するとありましたが、まさにそのとうりなのですね、この辺はなにか建築と似てる気もしますね、基礎が大事と言うことですね、さすが代表は天才です。
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Unknown (PARC)
2008-09-18 00:14:16
I.Y様

いや私は凡才そのものですが、私の経験で言えば音の世界はひらめきや天才よりも、地道に努力した者が報われる世界だと痛感しています。

100の能書よりも一つの確認(実践)という感じでしょうか。ソニー時代も、ユニットの試作数では負けたことがありません。そんなもん自慢してもしょうがないか。(^^;
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