P突堤2

「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

Rock'n Roll 葬 をはじめとしてますます多様化する接尾語変換の充実が求められる

2019-04-14 | 接頭語・接尾語の変換
内田裕也さんのロックンロール人生の締めくくりもやはりロックな式典となったようですがこれがなかなか変換しにくい。
というわけで自由なことばには受け皿もしっかりしなくちゃいけないな、と思っている変わり者がここにいますが、
日常目にする言語的視点の材料を発見するとついメインをそっちのけで例文整理、リサーチに、気づいた時には手が動いています。
これと関連して文化人を偲ぶ記念日などで使われる「--忌」といった語尾も頻出音素「き」を持つためなかなか思い通りに変換できませんね。
司馬遼太郎の「菜の花忌」、会津八一の「秋艸(しゅうそう)忌」など変換へのリーチが遠そうなものにはさまざまありますが、
与謝野晶子の白桜忌(はくおうき)には昨今のゲーム・アニメ作品「薄桜鬼」とダダカブりなので、接尾語で構成される語として三属性変換・ハ万のワンタッチで目的の変換へアクセスできることは上位マターと言えるでしょう。
何しろこうした接尾語の中には「き」や「ち」のように一文字だったり頻出音素だったりで、いろいろ混在する変換候補テーブルの中からピンポイントで浮上させなければいけないのですから同音異義語の問題は相当根深いものと言えます。

ライフススタイルの変化、ネット界隈でのコミュニケーション、ニュース言葉・評論言葉・CM広告言葉など価値観の多様化によって日夜さまざまな新語が生まれています。
ちょっと定番の言い回しから踏み込んだ、フランクで自由なバリエーションを広げて作り手も受ける側も新鮮な言い回しを求めているがゆえの盛況さだと思います。
その中でも接尾語の生産力に乗っかった造語新語はイメージも喚起しやすいのでこういった新語構成の常套手段となっておりますので、それをはじめて書く(打つ?)うえでアクセスのし易さが気になるところです。
冒頭のRock'n Roll葬や菜の花忌などの例のほかにも気になる例が沢山ありました。

コン…とり婚、ビビビ婚、むっくり婚
タン…青春譚、南極生物譚なども弱い
デン…喝采伝、白蛇伝も電気の電が出てきてしまう
ダン…監督談、購入者談も段や弾がでてしまう
カ…コカイン禍、SNS禍なども上位筆頭が「化」とは言えロ万で上位候補になっては欲しい
ヒョウ…浅田彰評、シネマ評
ゲン…負荷減、トラブル減
ヒ・チ・ボ…歴代比、高CP値・来客簿なども
エ…アプリ絵・捧げもの絵
ニキ・ネキ…慧眼ニキ・寝起きネキ
トウ…般若湯、野草湯
ハン・パン…清一色6飜ハン変換できない
ゲート…崔順実ゲート、加計ゲート---カタカナであっても弁別効果ある
ビ…あるある美、基準美 こういうのも埋もれている
サク…ガイダンス策、周知策
ホウ…ON砲、ロマン砲
ヨク…収集欲、いいね欲
ゼイ…古参勢、連戦勢、ガチ勢
ッケ…ポイント還元っ気、アービトラージっ気
ゲイ…見切れ芸、密室芸
ドミノ…作画崩壊ドミノ、辞任ドミノ
モク・カ…ヒト目面白い事言う科だね
カタ…デフラグ過多、商い過多
カイ…ドシリアス回、温泉回
ジュウ…めんたい重、ローストビーフ重
コ…不凍湖、ダム湖
ブキ…コロニアル葺き、下葺き、葦葺き 濁り音の接尾辞もカバーしたい

…どうでしょうか、こういった語が接尾語で構成されているものだ、と明確に分かっていればワンタッチでアクセスできる三属性キーは実に重宝するインターフェイスだと自負しております。
通常の漢字変換では変換しづらい、コロケーションも確立できていない未知なる語のつながりのため変換AIもうまくカバーできていないタイプのパーツだと思われます。
ただ忌には同じ「き」の接尾語がいくらでもありますから(期・記・機など)単に属性ハのハ万のキーを押すだけでなく、属性の兼任、別の属性へ押し順の遷移過程などの細かいニュアンスの使い分けを駆使して筆頭候補をコントロールしていくこともワザの一つです。
例えば「機」は個別の機体が物体としてある訳ですから名詞属性のイ万も兼任していますし、「期」はイヤイヤ期みたいに盛んなある時期を表しているので様態属性のロ万を兼任しています。
「忌」に関して言えば日時・時間概念のものですからメタ属性のハ万の関与が深そうなのでハ万で上位候補にきそうです。
こういった具合に接尾語のニュアンスを酌んで押すキーもイ万・ロ万・ハ万からアクセスしたり最初は接尾語のハ万を押しておいてつづけてイ万/ロ万のニュアンスに寄せて軌道修正したりするなどインターフェイスの味付けにうまく乗っかっていただければ良いなと思います。

ちょっと横道なんですが、こういったニュアンス違いのイ万・ロ万・ハ万の違いなんですけれど、接尾語と結合する基幹語の語彙的つながりデータを見ているのではなく、意味を見ずして単に「記」のもつ生産力空間はイ万だろう、「期」のもつ生産力空間はハ万だろう
…という推測をもとに分類しているので、つながる語彙によっては違和感のあるカテゴリ分けが施されるケースもあるかとは思いますがそこまで行き届かせることは困難ですのでまずは接尾語生産力を最大限活かす形で対応していくのが三属性変換全体にも通じる枠組みだと捉えていただきたいです。
今後変換メカニズムが煮詰まっていくにつれてこの辺の語彙的データも参照するようになるのかは私の見識では判断しかねますのであまり深いところまでは申し上げられません。

とはいえ語の意味属性・範疇属性をテコに選択肢を劇的に絞れるのは変換キーを3つの三属性キーと通常変換の計4つの変換キーできめ細かく選択できるペンタクラスタキーボードの最大の特徴ですから、
ユーザーの方たちにも機能と利便性を周知して力のあるツールとして確立していければ良いなと思います。接尾語はなかなか奥が深いですよ。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「難産」「達筆」に続き「能... | トップ | 「やらしい話」は副詞か »
最新の画像もっと見る

接頭語・接尾語の変換」カテゴリの最新記事