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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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「です」「である」「でした」 別口入力するのか

2016-08-23 | 別口入力にまつわる諸問題
文節の切れ目の解析という難題をカジュアルに解決して見せた…かにみえた「でにをは別口入力」ですが思ったよりオールマイティではなく基本的な言い回しもうまくカバーできていないなどの問題が出てきます。
例えば別口入力「で」は少々厄介で、様々な用法のものがありながらそれらをひとくくりに別口入力「で」で区切り目情報の付加をしています。それらの用法をひとつひとつ検討していくと、

1.格助詞としての「で」…場所/場面・手段/材料・原因/理由・コスト/時間・動作作用の行われる状態(例:疲労困憊で訪問する)・動作作用を行う主体となる組織団体(例:自治体でPRする) など
2.形容動詞の連用形の一部としての「で」…(例)優雅で、微妙で、タイトで
3.断定の助動詞「だ」の連用形として…であるの形で
4.伝聞の助動詞「そうだ」の連用形の一部として…そうであるの形で
5.たとえの助動詞「ようだ」の連用形の一部として…ようであるの形で

のような用法があり「でにをは別口入力」において使われます。「~べきである」なども同様だと思われます。
これらとは別に

別1.接続助詞「て」の濁ったもの…(例)お湯を注いで三分待つ
別2.副詞の一部である「で」…(例)まるで石油王みたいだ

これらはまぎらわしいですが「でにをは別口入力」には使われませんので注意が必要です。

ここまで「で」にまつわることを解説していきましたが、格助詞、形容動詞、助動詞と様々な用法のものを「で」キー一つでとりまわしていくのはなかなか一筋縄ではいかなそうです。


翻ってよく使われる言い回しの「です」「でした」の扱いに焦点をおいてみます。(「である」は「で」の解説中に出てきたのでひとまず置いておきます)
断定の助動詞「だ」の丁寧な形の「です」の活用は
◆「です」(丁寧な断定)
【未然形】でしょ
【連用形】でし
【終止形】です
【連体形】(です)
【仮定形】○・・・ありません
【命令形】○・・・ありません
となっており、断定の助動詞としての接続は体言や一部の助詞(例:古いのです)につきますが、丁寧語全般の用法としては大方の品詞に接続できるもののようです。(でしょう含む)
(「かわいいです」などのような形容詞+ですなどは当初は違和感があったかもしれないが昭和27年の国語審議会で認められており今では誤用とはいえない)
もちろん断定の助動詞だけでなく「でにをは」まわりで使われる形容動詞の活用語尾のですも同様です(【仮定形】「ですれ」がカッコつきで稀ではあるが存在するとあります)

この辺でなんだかモヤモヤするのは別口入力「だ」は終止形に限るとしており「だろ」(未然形)「だっ」(連用形)「なら」(仮定形)は別口入力につながらないという不明瞭さが脳裏によぎってくることです。
この問題と同様に「でしょ」「でし」「です」も「で」単体の区切りがあまりに良いものなので蔑ろにされている感があります。
確かに「である調」の文体においては問題なさそうですが「ですます調」の文体を書き進めていく上では大変具合が悪いです。
何か良い解決方法はないでしょうか?…思いつく限りでは下記の方策くらいしかでてきませんが一応記しておきます。

・[R][r]のル動詞の別口入力の考え方を拡張して
です→[で][R] <終止形>
でしょう→[で][r]う <未然形>+<推量の助動詞「う」>
でした→[で][r]た <連用形>+<過去の助動詞「た」>
でして→[で][r]て <連用形>+<原因/理由の接続助詞「て」>
のようにワイルドカード的に入力して語尾変化に対応する方法が考えられる。

※この方法をつかうにあたっては、別口入力[R][r]としてあったが、ル形動詞以外にも適用されるということなのでR(アール)にこだわらずともよく、ワイルドカードとして仮に○や×などの記号を用いたほうが適当ではないかとの考えに至るものである。(要検討課題)

※別口入力に煩わされて特異な入力をユーザーに強いるのも申し訳ないので、別口入力を用いずプレーンに(です・でした・でしょう)を入力してもどちらでも対応できるように文字列を柔軟に解析し、たとえ気まぐれに入力スタイルがその時々でまちまちであっても許容して解釈するような設計が求められる。

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