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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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新語・造語・未知語の入力上の待遇① カタカナ語・ひらがな語

2020-03-04 | ジャンル横断的な問題

日本語入力をするうえで避けて通れないのはかな漢字変換エンジンの処理には常に想定可能なお行儀のよい語句ばかりで構成されているのではなく解釈困難な入力文字列が放り込まれることが往々にしてあること、これを念頭に入れておかねばなりません。
システム辞書にないワードや活用表現は最新の新語造語ばかりではなく既存の語が組み合わさって複合語をなす例なども含めれば新旧・硬軟ところかまわず無尽蔵に出てきています。
ペンタクラスタキーボードではそのような未知語や造語と対峙していかねばなりませんが今回から数回にわたってさまざまなタイプの未知語・造語にあらためて焦点を当ててこちらができそうな対策をノートしていこうと思います。いわば未知語の棚卸しです。
第一回目の今回はカタカナ語・ひらがな語に着目していきたいと思います。

まずざっくりな物言いで申し訳ありませんが、未知語と言ってもいろいろあるでしょうが概観してみますと「--する」サ変活用の未知語は語尾の「する」や[便利キー:し]などのヒントからサ変未知語の見当をつけることはそんなに難しくはないと思います。
また同じく用言の「--る」のル形動詞、これも新語造語でありそうですがこちらは別口入力の[○R][×r]のマーキングがあるので各活用形に対応することはできます。
そして別口入力「だ」「でs」は形容動詞文でもコピュラ文であっても末尾を「だ」で締める分には語幹部分は分離できているので無理に変換できなさそうな場合はカタカナ語に解釈してしまっても差支えなさそうです。
「だ」と並んで連体修飾の「--な」はより明確でカタカナ造語に相性が良さそうですし、「--である」「--になる」「--となる」等の定番表現においても「で」「に」「と」各助詞にはマーキングがついているので素性はわからなくともカタマリ感は保ちながら表記さばきをすることは問題なさそうです。
このように用言・活用のある語で未知語が生じてしまうときには別口入力の助けもあって案外イレギュラーにも強そうな感じがします。(もちろんこのほかにも周辺の付加活用だとか付随する助詞などもヒントになります)

そして副詞については新語造語の類はもとより出現率は低そうですなのですが副詞は活用的でもなく加えて「と」「に」「て」を伴わない"助詞抜き配置"が悪さをしてチャンク把握が困難になる要因ともなるので文解析においては副詞の検出を最優先にやっていくという方針もあってか「未知語見逃し」が比較的起こりにくいと考えます。
ただ数は少ないですが「ほぼほぼ」や「ワンチャン間に合う」「とりま会おうね」みたいな新語もありますし、オノマトペ副詞の新語が生み出される可能性は常にあります。
それと副詞とは微妙に違うかもしれませんが「スコア記録してみた」「カブリバ引退か」みたいな導入部の叙述誘導成分(私はこれをアジェンダ名詞と呼んでいます)のはたらきも助詞抜きという意味では扱いが似てくると思いますので現在分解能向上のために研究している分野でもあります。

カタカナ未知語が一番存在感を発揮するのは何ぞな導入的カタカナ語(例:インクルーシブな社会)であるとかそれこそ固有名詞の宝庫・キャラ名や技名(例:インシネーターを撃つ)などがあるかと思いますが、
ペンタクラスタキーボードではでにをは別口入力が効果的にチャンク切り出しを際立たせてくれているので流石に助詞抜き接続のような要警戒なものでなければもし助詞間に挟まれた未知語が出現したとしてもそれを一律にカタカナ語に解釈・変換してしまえば無茶な誤変換を繰り出すよりも穏当に"放置"できるのではないかと踏んでいます。
ただしこれは乱暴な見立てとなる危うさも秘めておりますが(汗)。未知語の二大巨頭となるもう一方の一角、漢語複合語の存在はどうなってしまうのでしょうか?
これについてはまだ全貌はつかめてはいませんが音素・音韻的な特徴を見極めたうえでこれを援用していこうではないか、との目算を立てています。
具体的に言うと2拍漢語の音読みの2音節目はイウキクチツンのいずれかで終わる、のような法則であったりミュやファのような音やー(長音)つづりの音はカタカナ語である可能性が高い、
あるいはフォスフォフィライトを府ぉ周布ぉFILA意図みたいにモーラを変な切り方をする(一単語チャンクは掴めているのに異字種が混在することも含めて)ことは不自然に感じる
…などの字面からの情報でまずカタカナ語と漢語複合語のスイッチは未知語処理前段段階で区別がつけられそうなのでどちらかに決まり次第各個のチャンクをローカル処理していけば良いはずです。(うまくいけば)
ここではデフォルト解釈をカタカナにしてありますがここで大和言葉の語感を活かしてひらがな表記にしたいのであればここからの追操作で字種切り替え[かな]キーを押して追補的に目的の表記にたどり着く…このような形を思い描いています。
先程の音韻パターンによる判別が首尾よくいくのなら大方の未知語の受け皿として最後に落ち着くのをカタカナ語としてしまうのはわりと無理筋ではなくユーザーのフラストレーションも少ないように思います。

あらためて思うのは別口入力の隙のない活躍で区切り解釈の困難性はひとつのブレイクスルーを迎えている、という認識であります。
もちろん漢語複合語は最後の難敵でありますが、音韻パターンの援用だけでは少し心許ないもののそれに加えて別口助詞の境界明瞭化により不本意な区切りリスクが大分軽減されており少なくとも異次元からひねくり出したような無理やりな漢字変換というのは原理的に起こりにくくなっているのではないでしょうか。
長々とした未知語ももしかしたら局所的検出の見落としで一部漢字変換でき得るものの語片が埋没してしまっているケースもあるかとは思いますが、それならそれで別口入力ハ万で接辞部分をFixするなり粒度操作で「近視眼的食い気味粒度」に捕捉をリトライすることもできますし、なんなら[の][の]代表変換あるいはトランス音訓変換を使って漢カナ異字種混淆複合語をこちらからビルドすることもできます。
くわえて「バイきんぐ」みたいにカナかなハイブリッドな語も[かな][カナ]キー連続押しで末端微修正をあてる手もあります。
また、まだコンセプト手探り中ではありますが「アレンジ・リテラル・ハンド」でチャンクを一文字単位で中途注目しながらの文字列編集も用意してあるのでオールカタカナでもない~完全漢字複合語でもない曖昧な領域の未知語に対してはこうして見るとわりと豊富に操作手段がお膳立てしてあるかと思います。
考えてみれば編集注目ポインタが一文字単位のキャレットの移動だけにとどまらす、ペンタクラスタキーボードではでにをは助詞を「飛び石移動」してのチャンク単位での移動注目動作がキャレット操作と同等かそれ以上に手近なキー操作(盤面下方部≪、≫)で取り回しできているのでひとかたまりでの字種変換、粒度変換、末端変換、中途部変換がシステマティックに全機現していることは強調しておきたいかと思います。
これらの動作は接辞にしても近視眼的粒度にしてもこちらからワンクッション介入してから出す文字操作ですので、逆を言えばこちらから積極的に漢字化していかないのであれば無理には漢字変換せずにデフォルトをカタカナにすることが"期待できる"作りになっており
端的に言えば「種ヴァルグラン」や「あの手ー書ん」みたいな変換は出さないようにしよう、ということであります。

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雨ニモ負ケズ、デニヲハをカタカナにさせるのはちょっと面倒だ

2019-10-21 | ジャンル横断的な問題

でにをは別口入力では「はいになる」をカタカナ変換させると「ハイになる」と、助詞の部分には非干渉で変換してくれます。(フレーズまるごとフォーカスしていても変換意図を酌んでくれて部分的にカナ部分を判別)
また、漢字交じりで「盛り盛りと」となってしまったのを変換して「モリモリと」と修正する際にも同様の配慮が適用されます。
もっと顕著な例でいくと、「めいにあんにうけとっている」が標準状態で「明に暗に受け取っている」とされていても、ある特殊な文脈上においては
「メイにアンに受け取っている」としたいユーザーも中にはいるかもしれません。
そんな時でもフォーカス(注目文節)の移動時に「に」を含む/含まない分け方の揺れがなく変換候補としてのリスト提示はもとよりカナ無干渉変換でそこをピンポイントに変換させたいときもいちいちキワの助詞部分を気にすることなく変換させる動作を想定しています。
従来の説明ではフォーカスの移動が飛び石的にチャンクをまたぐといった言い方をしていましたが実質助詞部分は付属語としてチャンクに付随しているので助詞を含んだ文節チャンクごとで仕切る方がいろいろやりやすいかとも思います。
…これはとても便利な機能なのですが、助詞部分がひらがな固定で決め撃ちになっており暗黙の表記規範を押し付けてしまっている一面もあるかもしれません。
ときには助詞部分をあえてカタカナで表記したいニーズもあるのでしょうがその編集手段についてあまり思い至っておりませんでした。

カナ表記のもたらす効果は面白いもので宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を筆頭に現代においては主に音楽分野で
「ユメのなかノわたしのユメ」「雨アガル。」「ヒトリノ夜」「隠レテ横カラ飛ビ恋慕」
「私ト云ウ 音響キ ソノ先ニ」「緋ノ糸輪廻ノgemini」「命短シ恋セヨ乙女」「花ハ踊レヤいろはにほ」
など独特の効果をもたらした風情が感じられるタイトルが作られてきました。

しかしこういった表現表記にでにをは別口入力がついていくのにはちょっと一捻りが必要でIMEの辞書の問題だけでなくカーソル操作や編集操作などのインターフェイス上の対応策を考えなくてはなりません。
これらの全部に得心が行く解決手段はまだ見いだせてはおりませんが、せめてでにをはがらみの表記のキワをなんとか体裁だけは整えておきたいところです。
ここから先はとりあえずの処理手段を模索して提示するものですが、今後の展望につながる材料出しをかねていろいろ探ってみたいと思います。

まずサ変動詞の異字種変換はあきらめます。「恋スルなんちゃら」みたいな効果を出したいときにはそこは愚直に「こい」で区切って変換して残りの「する」をやはりカナに変換するといった調子です。
次に一般動詞あるいはその変化のもの、「鳴カズ飛バズ」なんてやるのも物凄い編集労力を必要としますがひょっとすれば[の][の]代表変換を駆使すれば少しはましになるかも知れません。
一般動詞の中でもルで終わるもの、例えば「血ワキ肉踊ル」みたいものはこれもアヤシイですねー、一応[○R][×r]キーのル形動詞用の別口入力もあるのですがあれはdisるとかキョドるとかタピるみたいに非動詞範疇の語彙片に「る」が語尾を締める表記上の効果を狙ったものであり、
「踊る」のような五段動詞の有り様とは若干適用しどころが異なっているのでプレーンな変換の範疇で対応するとなると現状キビシイですね。

さてたった今出ました[○R][×r]のル形動詞別口入力に(本来的に)立ち返りました場合は、これは半分はうまくいっている、と言うべきでしょうか。
ウケる、コケる、アマゾる、なんてのもありますし同じく別口入力の[て]を組み合わせれば
イケてる、ヨタってる、ハジケてる、なども同様に混在表記が気軽にできます。ただ活用の全てにらりるるれれ…とキーがあるわけではなく、ワイルドカードRrで適宜活用形を推測して合わせながら置換していきますので結構ケッタイなインターフェイスではあるかと思います。
そもそもこれに限って言えば雨ニモ負ケズ式の送りカナ表記とは反対の末尾かなのトピックですから微妙に混同しやすいのですが分けて考えることが必要です。まあ、これはこれで異字種表記の便宜に大いに役立つことでしょうけれども。
あと「オメデタイ連中」「ユルセル域」、みたいに装定作用素の方をカナにしたいとき、これも正攻法ですが「おめでたい…」までタイプしたときにいったんカナ確定させて順次後続をタイプしていくしかなさそうですね。

ここまで分類しましたが結局残された「でにをは」などの明示的に分かっている部分要素や同じく別口入力の「な」「だ」「でs」に関しては明示的に浮き彫り要因を補足することができるので、何とかこれを活かしていきたいところです。
カーソル移動やチャンク移動の派生した何か補助動作が必要になってきますが、もともと助詞部分ひらがな固定のオペレーションを暗黙的に前提にしてインターフェイスを設計してきたのでこうした文脈以前のあえてカナにしたい場合に対応するのは結構骨が折れることなんですよね。
そこへきていっそのこと懲りずにまた新キーを新設してあらたな編集手段を作っちゃう方が早いかもしれない…なんていう欲求がむくむくとわいてきました。この記事の編集中に。
こうなったら止められません。思いつきついでにアイデアの概要を忘れないうちにノートしておくと、こんな感じものです。

シフトキーの概念の拡張版として、[引きシフト][押しシフト]の2極性シフトキーを新設する。
…[押しシフト]+→で助詞部分キワにフォーカス [引きシフト]+←でキワを戻して元のチャンクにもどる

今日思いついたばかりですが、2極性で組み合わせ動作ができるのでこれ以外の用途にもなにかと発展できる期待が持てそうですね。特に編集操作をもっと作り込みたくなってきました。
とりあえすはここまでにして、もうちょっと可能性を煮詰めた上で本レジュメを近日中にあげたいと思います。

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一般名詞や形容動詞の類まで、--するってしてしまう誤変換はサ変動詞の弱点なんです

2019-09-29 | ジャンル横断的な問題

容易されており
師弟する
状況する
内臓する
確率されておらず
多様される

のようにサ変動詞ではないものが一般名詞などと混同されて--する、になってしまう誤変換は今はどうだか知りませんが昔はよくあったものです。
これはシステム辞書的には適切に品詞分類がなされていればサ変動詞と非なるものであることが前もって分かるはずなのに依然として見られています。
これは素人考えなので滅多なことは言えないとは思いますが、なぜ簡単に対応できないのであるか憶測で申し上げますと、
「お、一人前に先生してるね」
「そんなにイケズしないでよ」
みたいに名詞・形容詞の類に--するという接続もなくはないですからこれを厳格に抑制してしまうとすこし窮屈でいらぬ不整合も生じてしまう恐れがあるためあまり抜本的な改善に手付かずなのではないでしょうか。
対処するにしても、個別にコロケーションの強度を地道に登録していっていくばかりで、文法的なシステムさばきでエイヤッと単純に決定できる問題ではなさそうに思えるのです。
とはいえ、容易にサ変動詞に変化できる名詞概念に比べますと、広義の形容詞のものに--するとつくのはさすがに違和感仕事しろ、と言いたいものもましてや素直なサ変名詞との競合があるのであればわざわざマニアックに変換しなくてもいいだろ…という考えがよぎるのも至って自然な事であります。
例えば
見事に昇華している
発音はネイティブ並みしている
お父さんお父さんしている

みたいなものがあったとしても、「昇華」はサ変動詞以外にも「壮烈なる昇華」のような名詞的・様相的なポテンシャルをもちながらの側面があったり、
「ネイティブ並み」にしても程度を示す接尾語と結びついて形容詞的機能を有していてなお、--すると接続する可能性もゼロではないのです。
さらには「お父さんお父さん」みたいな畳語でサ変動詞化する稀有な例もあります。

あとは動詞の連用形からの転成名詞で
お蔵入りする
大ハシャギする
拍子抜けしています
ゴマすりしてばっかり

などのような文法的変化についていこうとすると、あらゆる動詞の連用形も潜在的には転成名詞的に利用できる可能性もありますからこれらに--する用例の有無があるか個別に吟味しなくてはならないとなるのは現実的ではありません。

…少し脱線しかかったので話をタイピカルな名詞・広義の形容詞のトピックに戻しますと

高速され疲れますよね^^;
魚が俎上する
これから傘下する方は

などは今でも相変わらずみられますし、

軽快している
は先入観で誤変換だと思っていたら医療用語で症状が軽くなることをいうれっきとした専門用語だったみたいでこちらの知らないこともままあります。

さらには「さんしょうする」を試しに「山椒する」なんて出てこないかな…と思っていたら、
参照する三唱する讃頌する*…のように「する」付きの一体化で候補がローテーションしてこちらでは「山椒」は元から外されていましたね(MS-IME)。
その割には「大化する」「好例する」みたいな誤変換では[する]部分と語幹部分がセパレートされてローテーションするのも沢山ありそうですので、
すべてのサ変動詞が網羅的に「する」付きの一体化で登録されてはいないようで、ここら辺の基準はよく分かりません。

あとは
雑草する(○雑想)
糖分する(○等分)

みたいな本質的でない些末な語彙のものは残念な結果となってしまいました。
これと同様に
天球する(○転厩)
みたいな漢語熟語合成法則にもとづくような派生語は全般的に苦手な様子です。

さすがに、
小田原表情する
みたいなものをひねくり出しましたがこちらは恣意的にワザと作り出したものでご心配なく。
一応有名なもの、慣用・連語的で一体のものはワンフレーズとして登録されているようです。

あとは
チラ見する
長湯する


ちらミスる
名がゆする

みたいになることはなくごく一般的なサ変動詞の地位を確立してややこしい誤変換になることはなかったですね。
ただ同様の生産力が造語派生にまでおよぶとすると

雁ミスる(ガン見する)
ちょ日強請る(チョビ湯する)
はちょっと無理過ぎてしまったようです。

…まあこじつけでいろいろ作例するのも野暮だと思いますので、この辺にしておきます。

 

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誤打鍵自動修正機能の活用も視野に入れて

2018-11-02 | ジャンル横断的な問題
タイピング時にはミススペル・誤打鍵がつきものですがすでに先行技術ではスペルチェッカ・コレクタなどの実用化も見られます。
日本語入力における誤打鍵修正の可能性については、
未知語の復元 - 誤打鍵特性利用による語の絞り込み効果について(野田雄三 1994)
で詳しく解説されておりますが、今回はこの文書を参考にして記事をまとめていきたいかと思います。

まず意図しない誤打鍵のうち最も多くのものは横隣接の間違えという配置の物理的な要因によるものが多いのではないでしょうか。
前提として英語QWERTY配列での誤打鍵を考える上において、

・余計な一文字の挿入
・足りない一文字の欠落
・一文字の他の文字での置換
・隣接文字の交換(順序入れ替わり)

などがあるかとは思いますが、ペンタクラスタキーボードの議論では簡単のためにこれらは検出対象には含めず、もっぱら
<同一クラスタキー内での物理的隣接文字の置換>
にだけに的を絞ってオートコレクトを作動させるときについて考察していきたいと思います。
つまり、「たちつてと」なら「たちつてと」の同行内(同じクラスタキー)での打鍵間違えを修正する(「た」を「ち」にするなど)機能についてであります。
5角形のクラスタに、同行の文字を集積させたこのキーボードに則した最適形を探っていこうというわけです。

QWERTY配列での横隣接では[i-o]母音の隣接や[s-d]子音の隣接などがありますが、それに加えて[k-l]のようにlが小書き文字の始動要因となる厄介な隣接もあって概してまとまりがなく複雑なものとなっています。
ですので日本語入力環境としては誤打鍵修正機能の道筋はなかなか現実味に乏しいものでした。
しかしペンタクラスタキーボード配列では同行クラスタ隣接で完結しているので見通しがつきやすくかな入力の発展形で80種近くと多くのかなキーがあるので分別性も高く復元データ参照も効率的にできるのではないでしょうか。
いよいよ日本語入力での誤打鍵自動修正機能も現実性を帯びてくる段階に入ったといえます。

もちろん5角形のクラスタキーの押下機構をどうするのかという問題は根本的にありますがそれはさておきクラスタキーの打鍵特性を事細かに考察していくことでソフトウェア的な突破口を求めることはできます。
まず五角形の形から分析しますとi段e段のようにクラスタの外側にあるもの同士とu段のように内側にあるものとではミスタイプ交錯することにしては若干分離しており混鍵する可能性は少ないのではないかという推測があります。
また「あ段」はキートップにあるので比較的適意の打鍵である確率が高いのではないかという目算があるのも同様です。
また「かかく(価格)」「かくく(各区)」のように連続打鍵部分(かか、くく)はFix度が高いという運指の癖もヒントになるので候補削減に活用できるかと思います。
このような打鍵特性をうまく盛り込んで復元語の候補をスリム化することができれば負荷を最低限に抑えることができるのではないでしょうか。

でにをは別口入力でお膳立ては整っているので欲を言えばイディオムのつながりや文脈解析みたいなものまで判断材料にできれば可能性は広がってくるかと思います。
特に短い2文字3文字の単語の誤打鍵復元は困難であるので「運がいい」「縁がある」「韻を踏む」のように前後のつながりをスコープに入れられれば絞りやすくなり弱点も克服できます。
ここだけでも充実させれば効果は大だと思うのです。
でにをは別口入力を含んだ一連の文章は細切れ変換ではなくひとまとめ変換がペンタクラスタキーボードでは推奨されているのでより全体像をつかんだ文脈解析が活躍できる素地は十分あります。
もちろん別口入力があることでやっかいな一文字助詞はほぼすべて弁別してあるのでわずかな文字列であったとしても混線候補懸念は最低限避けられます。


このようにまだ思索の段階ですが条件は整いつつあります。
「なんとも使い勝手が悪そうなキーの配置だ」と苦言を呈されることもあったこのキーボードの配置ですが、これらの策で少しでもそのイメージを払拭できれば良いなと思います。
実際に動作させるには候補提示の負荷との兼ね合いが読めないところではありますが今の技術で何とか克服できないかと淡い期待を抱いています。
なにより五角形のキーに同行を集積しているおかげで配列上覚えなくてはいけない単位は実質16個+α(でにをはキーは別)ですし、愚直に「あいうえお」が並んでいる構成配置にするのはこの形そのものが欲する必然のわかりやすさですからそれを活かす手段はいかなるものでも取り入れたいと思っています。

あと補足的には盤面下部の「でにをはキー群」の領域のキーは誤打鍵修正対象には考えてはおりませんが、それならば少しキーが小さいのではないのか…という懸念もありましたので、
こちらは物理的に各キー(丸型四角形)を均等に大きくしてしまえば良い…とも考えております。
不便なりにもアイデアは出てくるもので、持って生まれたカタチの個性をそのままにいいところを伸ばしていけばいろんな知恵が出てくるだと信じてこれからも検討を続けていきたいです。
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アルファベット+促音の単語・表現いろいろ

2018-10-12 | ジャンル横断的な問題

「イッヌ」…ネットを見てると時々目にする言葉ですがこれはローマ字入力だとどうやって入力すればいいのか一瞬悩んでしまいますよね。
打鍵的にはiltunuやixtunuで打てばいいのですが促音の直後の文字列(子音)を2度続けてタイプするというローマ字入力特有の事情が抱え持つ"盲点"を体現したかのような文字列であります。
このようなものだけにとどまらずヘボン式や訓令式のものとはまた違った独特の「ワープロ式」のタイピング規則は表記さばきを一意に決めたいがゆえの苦労も垣間見えるところですが、促音、長音、撥音などアルファベット体系とは別物の異質なファクターを一抱えに飲み込むというのは今の入力事情からすれば割り切れなさが残る感があるのは否めません。

しかし、こういった問題もペンタクラスタキーボードなら難なくクリアできてしまいます。(もちろん一応かな入力方式でやれば問題ないのですが)
よく検討してみると先述の「イッヌ」やカイジのセリフの「圧倒的感謝っ!」みたいな促音つなぎの終端が特殊である例はローマ字入力では概してウイークポイントであるようです。
有利に思えるかな入力はかな入力で濁音・半濁音の入力時は二打鍵となり時として煩雑な事や数字の入力もモード切替が必要であるなどなかなか一筋縄ではいきません。
このように従来の入力方法はもともと英語圏で使うことに最適化された物理配置を無理くり日本語であてはめて運用しようというものですから、どだい無理が出てきます。

ペンタクラスタキーボードでは[かな/アルファベット]がそもそも完全分離されておりますのでかな入力でさえもできないような表記の便宜をスムーズに解決してくれる(はず)です。
混乱の要因は日英混在・兼任のキー割り当ての未分化からきていること、これに尽きます。
[かな/アルファベット]がそもそも完全分離で何が変わるのか、の大きな議論はあるかとは思いますが、以前も説明したので割愛しまして今回は冒頭の言葉にちなんで少し関連したトピック…
「アルファベット+促音」の語に関して述べていきたいかと思います。


以前の過去記事、
アルファベット/日本語混在入力に強い(2) - P突堤2
内においてもチラッと出てきましたがちょっと補強しつつ振り返ってみましょう。

[アルファベット+促音の単語・表現いろいろ]
TVっ子 Mっ気 Mッフィー Mッキー BックをOフにしている店 みるみるUPっぷ↑↑

よく使われる/結構マニアックなのかどうなのかは別にして従来の入力方式だとモードの切り替え等でなかなかもどかしい変換になる語群でありますがこんなのもペンタクラスタキーボードでは難なくこなせる例です。
あるいは文末の装飾ニュアンス的なものだと

オロナミンCッッッ! ももいろクローバーZぇぇぇっと

みたいなものもあるかと思います。「っ」ばかりではなく小文字母音「ぁぃぅぇぉ」のものも含めて考えてみることができますね。
さらには「--ぷり」「っぽさ」のような文法要素や別口入力でもある「と」「て」などとの結合、あるいは口語的な語尾などの例:

GREATっぷりに痺れた Mっぽさ HUGっと!プリキュア Rって本当? C#っちゃあC# ggってみたら

なども促音結合例のバリエーションとして押さえておかなければなりません。
こちらは文法的機能や別口入力の助詞とのカラミでもあるので単に名詞単語として認識するのではなく、構文解析上や別口要素付加物として多少ややこしくなるかとも思いますがアルファベットととの境界はハッキリしているので余計な混乱を招くこともないかと思います。
「C#っちゃあC#」の例ですが「っちゃあ」はともかくアルファベット部分のC#のように記号が混在している場合でも同列に処理していけば良いので例えばF1のような数字の場合でも問題なく処理できるのではないでしょうか。


さて、ペンタクラスタキーボードの根本に立ち返って概観してみると「キーが多ければそれはそれでいいことだ」ということは素直に受け取って良いメッセージなのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
浅慮を承知で言いますと日本語のかなの体系は英語のそれとは違ってモーラ[注1]の一文字一文字が立っていますから…つまり英単語におけるアルファベットは例えて言うのなら漢字の部首みたいに部品としての構成要素の側面が大きくて、一文字一文字の粒度は砂絵のように粒は揃っているが文字列処理にとってはどれも等価な扱いのある粒様となっているのが大きな特徴だと私は考えます。
対して、日本語のかな文字一単位はもちろん単語の構成要素の一部品としての存在もありますが単文字助詞「で、に、を、は」としてや接尾語接頭語として「化」や「非」「氏」など機能関連的広がりがみられたりしますし、
さらにはサ変動詞連用中止法の「-し」などのように単文字であっても意味上重要な働きをするものもあります。
何が言いたいのかというと一チャンクの単語中の部品(フラグメント)としてではなく、一文字の意味が文法関係~語彙関係にわたる機能性マーカーとしての綾をその織物素材になしているので「ひと粒の粒度」のシナジーが立体的に広がった、こう、何か別種の粒様ではないかと思うのです。
当然の帰結として「かなとしての一文字」の重要度は増すことになり、アルファベット粒度で分断される(=ローマ字入力)のは言語本来の良さを殺してしまっているということなのではないでしょうか。
「でにをは別口入力」が成り立つその礎も、「かなをかなとして打てる、アルファベットはアルファベットとして打つ」この基本の構えにたどり着く事と同時に、知れば知るほどその良さを反芻しながら再確認せずにはいられません。

キーが多い事、つまりタッチタイピングという観点では不利にならざるを得ないものなのですが元より現在広く普及しているオフィスユース、メインユースのタイピング環境に正面から対抗しようなどとは想定していませんので今さら物理配置の違いについて遠慮するということもないです。
どちらかといえばパーソナルな文章入力編集ツール、あるいは検索語やファイル名タイピングをちょっと独特で創作的なスタイルに柔軟に対応してくれる、オルタナティブで補完的な立ち位置のインターフェイスとしてやっていければと考えていますので、ペンタクラスタキーボードが抱えるちょっとした逸脱も新たな適者生存を目指したうえでのひとつのガラパゴス進化であります。
ちょっと訳の分からないことを言っているので具体的に何が言いたいのかを申し上げますと、

・確かにキーが多いのはやっかいだが適度なリズムで「でにをは別口入力」をはさむので打鍵の流れがよどんでいる…と感じることが体感的に少ない。

これは錯覚かもしれませんが「あ・い・す・く・り・ー・む」と入力するところが例え手探り感満載であったとしてもその後に「を」食べる、「が」うまい、などのように続く助詞が「間を埋めるように」すぐ押せるということ、慣れればとりあえず迷いにくい別口入力部で親指担当の打鍵をすればいいというのがパターン動作になるということを見出しているのです。
これによってたとえ実時間で大した効率がなかったとしてもユーザー体感のストレスはぐっと減るのだと期待しています。
単語のように意味のひとかたまりの動作は中断せず一連の動作で打鍵することができて、一区切りついた手間の終わったところで習慣性の強い「でにをは」動作でパターン化すれば集中と緩和のトータルバランスが優れているのではないでしょうか。
そもそも「でにをは」までタイプしてひと休みすることは理に適っているのですが、固有の単語の入力途中でいきなり小休止を入れるなどといった打鍵は考えにくいですし一度走り出したら単語部分完遂まで一気に打ってしまおうとするタイプ感というのが人間原理的に染みついていますのでその論法に倣うのならペンタクラスタキーボードのそれはより自然な打鍵リズムをサポートする物理システムではないかと思うのです。
さらには

・キーボード盤面の液晶画面で入力中の文章を表示するようにすれば何もタッチタイピングにこだわることもない

というのがあります。打鍵時に手元を見るのは自然なことでそちらに合わせて機械の方が人間に寄り添えばいいのではないか…というのは別に何も大それたことを言っているようには思えません。
現にMacBook Proではタッチバーの機能が非常に便利にはたらいていますし、ペンタクラスタキーボードの液晶画面のようにより思い切って広く領域をとればやれることも可能性が広がっていくことに疑いの余地はありません。
もちろん文章の編集全体像をつかむのにはメインディスプレイに敵うものはないのですが、ローカルの文字列入力確認程度のところでは手元を見ればすぐわかる手軽さというのは今まで見落としていたソリューションであると私は考えます。


今記事はなんだか[アルファベット+促音]のトピックからずいぶん脱線してしまいましたがお陰でモヤっとしていたところがうまく言語化できたのでむしろよかったかな…と勝手に思っています。
一応タッチ液晶部の表示をいくつか改めなくてはならない課題も残りましたが、何にしろ当初の「イッヌ」をきっかけとしてここまで議論が発展できたのでむしろ多キー配置のメリットのくだりがここでは真の本題とすることにします。
カテゴリは最初「かな84キー+記号キーがある事の利便性」にしようと思っていましたが、色々盛り込んでしまったので「ジャンル横断的な問題」の方にしたいと思います。あしからずご容赦ください。


※10月18日一部修正
文中の[注1]としてある部分は元々「シラブル」としておりましたが修正して「モーラ」に訂正することといたします。
かなの一文字一文字に着目しているのはモーラ(拍)の考え方の方が適切でしたのでそちらの方を使います。よろしくお願いします。


<2021.4/26追記事を投稿しました>

イッエーイ!モンヘァンのイッヌ、ぶっ生き返すぜー! - P突堤2

本稿で論じた事柄をさらに発展・考察をして関連記事を書きました。
よかったらそちらも見ていってくださいね。

 

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