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退職オヤジのひとりごと

退職オヤジが直面する新しい日々…感動か困惑か?
カオスの日々を綴ります

戦後史の正体

2025年01月23日 04時10分07秒 | 本を読みました

孫崎享氏の『 戦後史の正体 1945-2012 』を読みました。


以前読んだのですが、どうしても読み返してみたいと思った本です。

やはり、読み返すと新しい発見が多くありました。
忘れたくないところに貼る付箋も、ずいぶん違う場所に貼り替えたりしました。


内容は・・・
 はじめに
 序 章 なぜ「高校生でも読める」戦後史の本を書くのか
 第一章 「終戦」から占領へ
 第二章 冷戦の始まり
 第三章 講和条約と日米安保条約
 第四章 保守合同と安保改定
 第五章 自民党と経済成長の時代
 第六章 冷戦終結と米国の変容
 第七章 9.11とイラク戦争後の世界
 あとがき
 資料① ポツダム宣言 
   資料② 降伏文書
   資料③ 年表


ベストセラーになっただけの充実した内容の本です。

戦後の日米関係を、米国の圧力を軸に「高校生にも読める本」を意識し記されたものです。


ネットのレビューに『高校の教科書にすべき』などと書いた人がいましたが、本当にそう思わせるものです。

内向きになりがちで、自分の考えに近い意見の中だけで生活している若い世代の人には、この本に触れて「視野」を広げ、表面化しない見えにくいところに視線を向けることが、より良い未来の選択に繋がる気がします。


本当に読み返して良かった。

戦後日本を支えてきた高齢世代も、読んで気づくことはとても楽しいことだと思うのです。


知ってはいけない・・・

2025年01月09日 10時35分28秒 | 本を読みました

矢部宏治氏の『 知ってはいけない 隠された日本支配の構造 』を読みました。


日米間で取り交わされている条約の裏側にある「密約」について、詳しく書かれているものです。


内容は・・・
いつもは目次を列挙していますが、今回は著者が商業目的以外での使用・拡散を許可されている四コマ漫画で載せたいと思います。


 はじめに
     
 あとがき
 追記  なぜ「9条3項・加憲案」はダメなのか

 

特に印象に残ったのは、朝鮮戦争時に海上保安庁の掃海艇が米軍指揮下の上陸作戦に参加し死者1名負傷者18名を出していたこと(1950年10月)でしょうか。


毎回勉強になることが多い氏の著作です。

次回は「砂川裁判」についての本を読みたいと思います。

 


無私の日本人

2025年01月07日 09時11分35秒 | 本を読みました

磯田道史氏の『 無私の日本人の中の「穀田屋十三郎」 』を読みました。


12月に観た『殿、利息でござる!』の元になった話しです。

                             

「穀田屋十三郎」は『国恩記』という史料をもとにしているとか。

『国恩記』とは、江戸時代後期に仙台藩吉岡宿(現:宮城県黒川郡大和町吉岡)で行われた救済事業に関わる諸資料をまとめたもので、著者は龍泉院栄洲瑞芝(りゅうせんいんえいしゅうずいし)和尚とありました。


当時の吉岡宿は、「但木氏」の領地内であり仙台藩自体の直轄領ではなかった為に、仙台藩から助成金が給付されず、さらには傳馬(幕府の公用をこなすために宿駅で乗り継ぐ馬のこと)使役で疲弊していた。

そこで造り酒屋穀田屋十三郎が茶師菅原屋篤平治と組んで、仙台藩に1000両という金を貸し付け、その利子で宿場を救済しようと企て、奔走したということです。


物語を読み進めていくと、感動的なエピソードだけではなく、当時から役人は「事なかれ主義」で上を向いて事に当たっていることなどが知れました。

しかし、もっと驚いたのは、江戸時代合戦が本務の武士たちは民政にかかわらず、庄屋(肝煎)が国を下支えしていたという事実。
また、鋳銭御用(寛永通宝を鋳る)などといって商人に銭を作らせたこと。
など、時代劇だけでは解らない当時の社会の有り様が驚きの連続でした。

さらに、倫理道徳に於いて一般庶民の意識が高く、「体面」を重んじそれは一種の宗教に近かったことも初めて知りました。


そして、「味噌は味噌臭きがよく、武士は武士臭きがよし」という家康が好んだと云われることばに代表されるように、そこに生きる人たちは身分相応の振る舞いが求められ、江戸時代の上流者は「身分相応のことをしろ」と庶民から容赦のない突き上げにさらされていたとか・・・。

そのことが「恥の文化」に繋がっているように思えます。


私たちも、政に携わる者たちに「身分相応のことをしろ!」と言い続けなくてはいけません。


江戸時代を学ぶことで、今を知ることができるのではと感じました。


さらば外務省

2025年01月04日 16時38分01秒 | 本を読みました

天木直人氏の『 さらば外務省! - 私は小泉首相と売国官僚を許さない - 』という本を読みました。


内容は、

まえがき
第一章 無視された意見具申
第二章 私はけっして小泉純一郎を許さない
第三章 外務官僚と政治家たちの恥ずべき行状
第四章 封印された外務省の犯罪
第五章 恐るべき外務官僚の世界
第六章 こんな外務省はいらない
第七章 さらば外務省
あとがき

 

そこには、多くのエピソードが記されているものの、その一つひとつが短くまとめられ読みやすいものでした。
外務省を去らざるを得なかった著者の遺恨を差し引いても、驚かされる内容の数々でした。


また、2003年に書かれた『対イラク攻撃に対する我が国の立場』という具申書に、国際法違反ともとれる米国のイラク攻撃に対する意見だけにとどまらず、イスラエル政府が行っているパレスチナ人殺害に対して言及し、ともに和平の道を模索すべしと意見していることに、イラク戦争の失敗と現在のパレスチナ人に対する攻撃を予見しているようで、驚くばかりでした。

 

2003年初版と古い本のためか、題名が過激だからか、出版元でも在庫がなく増版の予定もないとのこと。
図書館にもなかったので、図書館のネットワークで探して頂き、他市の図書館より取り寄せて頂きました。


手元に届いた本には「汚れあり」のシールが貼られていました。

この本の汚れは、過去の検証ができない現在の世の中を象徴するようで、少し残念でした。


退省されたことにより、小泉政権や外務省の汚点を暴いたこの本は、むしろ自民党や官僚の人たちが大事に読まなくてはいけないものだと思います。

「牛角」がクレームを大切にして話題になっていたことを思い出しました。

過去の失政は、当事者にとってクレームにも似た辛い事実かも知れません。
でも、そこから目を背けていては進歩は望めないのだと思います。

「政治家や官僚の無謬性という体質」こそが、大きな壁なのかもしれません。


最後に著者の考える日本の基本課題が挙げられていました。
①日米安保条約の歴史と変遷を学び、自らの意見を持つ
②第二次世界大戦以降の日本の現代史を知る
③憲法改正問題を避けずに直視する
④アジア諸国への謝罪と天皇の戦争責任について考える
⑤日本経済の混迷の真の原因を知り責任者を追求する
⑥政治家、官僚にこれ以上特権を持たせない決意を固める
⑦石にかじりついても政権交代を実現する
⑧情報公開法を更に改善し積極的に活用する
⑨地方分権化を徹底して推進する


私も、もう少し勉強してみようと思いました。


青い壺

2024年12月30日 09時30分23秒 | 本を読みました

有吉佐和子氏の『 青い壺 』という本を読みました。

陶芸家が生み出した青磁の壺が人の手から人の手へと移りゆく中で様々なドラマを伴い、再び作者の目の前に現れる・・・。そんな全13話でした。


最近、日米安保条約にまつわる私にとっては「腹立たしい」内容の本ばかり読んでいたので、読みやすい本を読みたいと探していたところ、妻に勧められて手に取りました。


文章はとても読みやすく、初有吉佐和子の私としては、良い選択だったと思いました。


そのうち、『複合汚染』も読んでみたいと思いました。