おやつ堂 のあ in 黒部・宇奈月

黒部・宇奈月のちいさな手作りお菓子屋「おやつ堂 のあ」の日々あれこれそれこれぶつくさ日記。今日は何を書こうかな***

ごめんね

2009-12-07 17:12:09 | おやつ堂 のあ
ライトに入った時にはもう目の前で、とっさにハンドルを切ったのだけどドンっという衝撃が走ったから(引いた!)とわかった。
車をUターンさせて確認すると、道路センター寄りにタヌキが横たわっていた。

青空市の出店のため、早朝に出発。
前にも後ろにも車はいなくて、スピードは上がっていた。
視界右側に大きなタヌキの後ろ姿が目に入った。
もうすぐそこだった。
ハンドルの切りが甘かった。
仕方がないので横たわったタヌキの体を持ち上げて、道路横の土手に移した。
体はきれいだ。たぶん顔(頭)をやったんだろう。

いろいろ考える。
大きくて立派なタヌキだった。若くて、もしかしたら家族がいたかもしれない。
そんなことを考えて、はたと気づく。
そんなことはどうでもいいことだと。何故なら死んでいい理由など、何処にもないからだ。
貧弱で年寄りで一人ぼっちでも、命にはかわりないから。

この出来事をどう受け止めるか。
必ず理由がある。ひとつの命を犠牲にしてまでわたしが気づかねばいけない理由。
これは必然。必然だけれども、この必然を導いたのは自分自身だ。
でも命ってなんだろうと思う。
これがタヌキではなくてカエルだったら、気づかぬにいたかもしれない。
蚊なら、パチンと平気で叩くだろうし。。。
宿されているモノが何かで、状況は大きく変わる。

青空市は護国神社の境内なので、お参りした時にあのタヌキの御魂を包んでくれるようお願いした。
とりあえず帰りにタヌキを拾って、家の裏に埋めることに。
日中は車の通りが多いんだよなぁ、とか、カラスにつつかれていなきゃいいけど、とか、もしかしていなくなってるかも!?とか娘といいながら帰りに大きなビニール袋と手袋を買って準備万端で向った。

反対車線なので、現場を少し過ぎてUターンして路肩駐車。
娘が車を降りて探した。
。。。。。。。。。。。。。。。
探した。
。。。。。。。。。。。。。。。
いない。。。。。。。。。。。。???
周りに民家はないし、普段人が通る道でもないし、土手は少し傾斜になっていて車からは多分見えない。
はて???何故いない???
二人でうろうろ何度も行ったり来たり探すけど、見当たらない。
「バカされた?」なんて言いながら、この状況がどうにも理解できない。
でもこの辺りだし、というか此処だし。。。
と、ふとその小さな土手の傾斜からわずかに上がって茂みの中に動物の体を発見。
娘が「動いた!生きてる?」と近づいたら、くるりと身を返したのはタヌキだった。
「おいで。」と娘が声をかけたけど、また身を返してそろそろとゆっくり茂みの奥に入っていった。
間近で見た娘が言うには、顔がきれいだったという。
でも確か口から血を出していたはず。
引かれてから約11時間経っていた。
あれから気が付いて茂みの中に移動して休んでいたんだろう。
でも野生動物にとって怪我は致命傷だ。長くはないかもしれない。
けど、どうすることもできない。
複雑だ。かえって複雑だ。

生きていたからといって何もなかった、というわけにはいかない。
けれども、その後のあのタヌキの経緯を知るわけにもいかない。
自分が見過ごしている何かの原因のせいで、あのタヌキが犠牲になったのは確かだ。
ごめんね。だけどありがとう。