UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五話Part1

2024-07-28 19:30:03 | 日記
「つまらなかった?」
 
 そんな風に目の前の平賀式部はいってくる。野々野足軽と平賀式部は夏休みを利用して二人で映画館にきてた。つまりはそれは所謂世間でいうところの『デート』というものだろう。
 なにせ付き合ってる男女が二人っきりでお出かけしてるのである。これはまごう事なきデートといえる。
 本当なら野々野足軽も平賀式部とのデートでドッキンドッキンと心臓が高鳴ってるはずだ。けど……平賀式部がそんな風に言ってくるくらいには野々野足軽はなんだか心ここにあらず……と言う感じだった。
 
「いや、面白かったよ」
「ほんとに?」
 
 その言い方に心を感じなかった平賀式部は顔には出さないが、ちょっとイラっとしてた。だって平賀式部は楽しみにしてた。昨日の夜から万全の自分を見せるために色々と準備をしてたんだ。
 お風呂で出来る限りのエステをして、パックだってして、睡眠時間だって計算して、今日着てきた服だって新たに取りよせた今年の新作である。しかもブランドだ。もちろんそのブランドを自慢したいわけじゃない。だって野々野足軽がブランドに詳しいとは思ってない。
 寧ろ野々野足軽はそこらへん疎い方だろう。でもわざわざブランドの新作を着てきたのは、これがかわいいと思ったからだ。腕や首筋、脇とかは大胆に出てるが、胸から下はふわっとした感じで、足首まで隠してる。さらにはスカートは二重になってて外側の生地はとても薄くて、透けてるかんじなのだ。
 凄く爽やかでいいなって平賀式部は思った。だから見てほしかった。けど……待ち合わせして出会ったとき、平賀式部はちょっと動きをつけて、ひらりひらりとスカートを動かしてた。
 でも、それに野々野足軽は反応しなかった。でもあれは変化に気づかなかったとかじゃなく、呆けた感じだった。その後に顔を背けつつも、野々野足軽は「いいね、それ」とかいった。だからあの時はそれでよかった――と平賀式部は思った。
 
 でもなにか今日は野々野足軽はきもそぞろだ。「私を見てよ!!」とか平賀式部は言わないが、平賀式部だけがどきどきしてるようでなにか……何か心にささくれが出来るような気がしてる。
 それに同じ映画を見てる時もそうだ。二人でやりとりをして決めた映画だ。楽しみにして今日一緒にみた。スクリーンの中のドキドキだけじゃなく、隣に野々野足軽がいるというドキドキだって平賀式部は感じてた。けど平賀式部は気づいてた。みなかったことしてたけど、野々野足軽は所々でコクリコクリと船をこいでたのだ。つまりは平賀式部と同じようなドキドキを感じてなかった――と言うことだ。
 だって同じようにドキドキしてたら、眠るなんて絶対にできない。そう平賀式部は確信してる。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 33

2024-07-28 19:25:25 | 日記
「てかそもそも、メタリファーは何をやってるんだろう?」
 
 何を持って、ここにいざなってるのか……今回の船でも最後の最後、船の乗員が全て息絶えようとしてるその時……というか、今回は全ての人が息絶えた後にどうやらメタリファーは現れたみたいだ。
 
 そしてこの船をこの場所へといざなった。いざなったというか、無理矢理確保したのかもしれない。
 
「この船、そもそもが自動運転だったし、本当なら乗組員が死んだら戻ったんじゃ……」
 
 そういう風に設定してある痕跡も実は見つけてた。帰る予定は確かにこの船にはなかっただろう。けどそれは彼ら……極一級犯罪者たちが帰る予定はなかった……というだけだ。
 彼らが帰還することは万に一つもないが、この船だけが帰還するシステムは組んであった。なかなかにこの船を作った世界の人はエグいことをする。まあもちろんこの船を帰還できないことは想定に入ってただろう。
 とりあえず、そういうプログラムも入れ込んでおこう……的な感じだったと思われる。船だけでも帰ってきてくれたらめっけもん……みたいな。まあ結局はメタリファーに捕まって何も帰ってはこなかった訳だけど。
 でもここに来た後も、この船はわずかながらに稼働してた期間があったみたい。その間にもきっとデータをおくったりしてたかもしれない。それが届いてるかは残ってるデータから確かめる術はないけど。
 
「とりあえず、この船の世界の座標は手に入れた」
 
 最大の功績はこれではなかろうか? 私はそう思った。なにせこの船は自身の世界に向かってデータを送信してたわけで、そうなるともちろんだけど、世界の位置ってやつが重要になってくる。
 だからこの船のデータを得たG-01はこの船が作られたであろう世界の道筋を立てる事ができたということだ。この前の船では、帰ることを想定してなかったからか、元の世界の情報はあっても、やり取りはなかったから元の世界を特定することは出来なかったんだよね。
 でも今回はそれが出来た。まあけど、私たちはこれまでも自分たちで選んで世界を渡ってたわけじゃない。ランダムだったのか、それとももしかしたらG-01には「こういうルートで」――とあらかじめ設定してあるのかはわかんないけど、選択肢として、新たな世界が開拓されたのは純粋に嬉しい。
 
 まあ結局、メタリファーの目的とかは全く持ってわかんないけど。でも焦ることはない。なにせ数え切れない程にここには船がある。