UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 488P

2024-07-09 23:41:26 | 日記
「ふーはあー」
 
 野々野足軽は息を整えてる。そんなに時間はない。なにせ自身の力が暴走してる。本当なら野々野足軽は放った力を回収してめでたしめでたし――としたい。でも既にその段階は過ぎさった。
 
『どうするんですか?』
 
 そんな風に他人事のように言ってくるアース。せっかく助けてくれたのに……と野々野足軽はアースを不満げに見る。だってここにやってきたくれたのは助けるためだろう。
 そして実際手助けしてくれた。アースが来なかったら、今頃きっとこの駅は……いやこの駅だけじゃなく、かなりの範囲が崩壊か消失か……それはわかんないが、きっと悲惨な事になってただろう。
 
 力を持つ者の心……それがどれだけ重要で力にとって大切か……それを野々野足軽は自覚してた。もしもアースが来なかったら間違いなく最悪の結果が訪れてた。
 そしてそれをきっと野々野足軽は受け止めることができなかっただろう。彼は自分自身の事だ。だからこそ、それを確信出来てる。もしも妹を含め、沢山の見ず知らずの人達が自身の力で消え去る――それは力を持ってるただの高校生である野々野足軽には重すぎる罪になる。
 だから本当にアースには感謝してた。でもだからこそ、もっと協力してくれたって……とも思うんだ。けどアースはこれ以上なにかする気はないようで、ただ見守ってるだけ。
 
「このまま放つ」
『そんなことをしたら……』
 
 どうなるのかわかってるのか? と最後まで言わなくても野々野足軽はアースのいいたいことがわかってる。だからこそ、ただこの力を無造作に放つわけじゃない。でもどうしようもないのも確かだっだ。
 だからこそ、無理矢理抑え込むよりも放つ方を選ぶ野々野足軽だ。それが一番いいと判断した。せめてある程度の方向性を指し示すことで、無害な力へと反転させる。
 
「きっと今、この中にいる人たちは絶望に染まってる。さっきまでの俺のように。だから、希望を持たせるように……そんな希望を与える力に変えて放つ。それを拡散させる。それで力の連鎖的な反応をなくす」
『そうですか、いいんじゃないですか? ですがその影響は――』
 
 何かをアースは言いかけてた。けどすべてを聞いてる時間はなかった。野々野足軽急いで弾けそうな力を制御して、綺麗で輝かしい力として、拡散させたからだ。それは周囲に飛び散って、空高くに上がっていく。
 そしてそれから、世界中に降り注ぐことになった。そしてその場からは、野々野足軽と悪魔の姿は消えたんだ。どうやら悪魔は希望の様な力の本流にのまれて消えてしまったらしい。