UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 467P

2024-06-10 20:04:52 | 日記
 アンゴラ氏が桶狭間忠国と並び立つ。既に社会の波にもまれて、酸いも甘いも知ってるような大人のアンゴラ氏に対して、まだまだ青いひよっこのはずの男子高校生である桶狭間忠国。
 本当ならそこに違和感があるはずだろう。でも……彼らの背中はどちらも同じように大きかった。少なくとも草陰草案にはそんな風に見えてた。なにせ未知の存在……さらに言うと明らかに敵対してるような未知の力をもった存在に立ち向かおうとしてるんだ。
 誰もが出来る事じゃない。高校生のはずの桶狭間忠国の方が物理的に背中が大きいのもおかしいが、なぜか今はどっちかというと細いはずのアンゴラ氏が桶狭間忠国に並び立っても、そこまで違和感なんてなかった。アンゴラ氏はオタクである。今でも中二病を発症してる、生涯現役を掲げてたオタク。
 それに対して桶狭間忠国は高校生離れした肉体を持ってる。身長だって百八十を超えてて、縦にも横にも大きい。だからこそ本当ならこの二人には違和感があってしかるべきだ。
 
「貴方は……」
「アンゴラと呼ばれてる。ありがとう君のおかげで助かったよ」
「いえ、たまたまです。自分には特別な力なんてないので、頼りになります。あと桶狭間忠国、高校一年です」
「え?」
 
 アンゴラ氏が桶狭間忠国の自己紹介のせいで思考が止まった。なにせ隣のデカい人物が高校生だという事実に思考が追い付かなかった。いや、確かに高校生ともなると、大人とそんなにかわらないものだろう。まあまだ一年生は中学生の延長みたいな感じではあるが……
 
「自分が前に行きます。あなたの力が決め手です! 隙をついてください!!」
 
 アンゴラ氏の思考が停止してる間に、桶狭間忠国は動き出した。桶狭間忠国は迷いなくまっすぐに悪魔のような女性へと向かう。桶狭間忠国の正拳突きで吹っ飛んでた彼女は迫る桶狭間忠国に四つん這いになって大きく口を開けた。
 
「がああああ!!」
 
 それはもう人の咆哮じゃなかった。明らかに衝撃を目的としたそれは彼女を中心に広がってあらゆるものが砕けていく。アンゴラ氏はとっさに力を付与したお菓子を放ってそれによって力の障壁を展開した。けど、それでもその衝撃は彼を後退させた。
 
「まずい! 桶狭間君は!? ――へ?」
 
 桶狭間忠国は力がないといってた。だからこそ、アンゴラ氏は今のをもろに食らったであろう桶狭間忠国を心配してた。なにせ今のはどうあがいても避けるなんて事は不可能だった。だって彼女を中心にすべての方向に衝撃が伝わってた。だから確実に当たったはずだ。なのに……
 
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 桶狭間忠国は普通に彼女に迫ってた。なんかパンツ一丁になってるが、それだけだ。そしてその拳を振りかざす。それはあたりはしなかったが、桶狭間忠国の拳は床にめり込んだ。
 
「あの子、力がないって本当か?」
 
 そんな風にアンゴラ氏は思った。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1106

2024-06-10 19:58:47 | 日記
「ネナンちゃん……」
「ぽに!」
 
 ポニ子がまた私のいるコクピットへと戻ってきた。あんまり気軽に来ないでほしい。だってセキュリティが心配になる。いや、こんな気軽に来れるのおかしいんだけどね。
 なにせエネルギーが増えて脳の拡張を繰り返していくにつれて、G-01の機能はどんどんと高機能さらに多機能へとなっていった。それに伴って私はG-01のマニュアルを読み込んでいき、この機械の事を少しずつ理解してる。
 
 実際今でもまだまだ全てを理解した……なんて言えないレベルだけど、このコクピットがただG-01の内部にある……って訳じゃないのは理解してる。そうなのだ。私は実際、今動いてるG-01の中にいる訳じゃない。実際なんとなくわかってたけどね。
 だって私がいるこの場所、それなりに広い。普通人型ロボットのコクピットっていったら、それこそ一畳か半畳くらいのイメージしかないじゃん。けどここはそんなに狭くない。六畳……くらいはあるよ? 私が漬かってるこの水槽みたいなのに、背後にも色々とあるし、モニターも全方位にある。さらにコードやらなんやらもあるからね。
 
 これが普通に胸部分にあるとなると、それなりのスペースが必要だ。けどG-01は結構スリムなロボットである。まあ今はフレームも装備も更新を続けてガリガリの見た目では無くなってるが、それでも無骨……というほどでもない。
 数十メートル単位のロボットなら戦艦クラスでこのくらいのスペースを確保するのは簡単かもしれないが……あいにくとそこまでG-01は巨大ロボットって訳じゃない。十メートル以下のどっちかというとまだロボットとしては小柄な部類だと思う。
 だからこそ、この広さはおかしいというね……だからこそここって本当に胸の中? ってずっと思ってた。物理的におかしいとね。なのに……である。物理的におかしな場所にポニ子は普通にやってくる。
 どういうことだよ。
 
「ポニポニ!」
「はいはい、わかってるわよ。今はあんたのことじゃない……って事ね」
 
 ポニ子に促されるのもどうかと思うが、実際その通りだ。ネナンちゃんはやってくれた。きめてくれた。それによって彼女のサンクチュアリは教会が持ってたらしいピースを得て、完全に覚醒することになった。彼女は今、あの世界のたった一つのカギとなった。
 
 それのせいで皮だった巨大なポニ子ははじけ飛んだ。だからここにやってきたんだろうけど……その当の本人のネナンちゃんはメタリファーを退け、そして用意されたかのような扉へと続く道を今はゆっくりと上がってる。
 メタリファーが消えたことで、時間が止まってた人たちもきっとこの光景を目撃してるだろう。扉から一筋の光が希望のように降りて、その中にネナンちゃんがいる。
 
 彼女自身は動いてない。けど上がってる。扉が……世界が彼女を扉へと導いてるようだ。そしてついに……ネナンちゃんのその手が空の扉へと触れる。