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UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力に目覚めた件 304P

2023-10-25 23:52:44 | 日記

「ありがとうございます! ありがとうございます!!」

 そんな風に感謝を口にして涙を流してる明玲の女性。本当はとても綺麗そうなのに、憔悴しきってて、さらにメイクも何もしないからその美貌が陰ってしまってるそんな経産婦。

 さらにはその後ろには子供抱きしめてるこちらも隈がひどい男性。

「ありがとう……お姉ちゃん」

 男性が抱きしめてる男の子もお礼を口にしてる。彼は難病を抱えた子供だった。今の医学でもどうしようもない病。ただ死期を少しでも伸ばす延命治療しか手がなかったほどの難病だった。

 でも……それを草陰草案は治した。それによって感謝されてる。それにそれはその家族だけじゃない。周囲には沢山の人々がいる。それはこの病院の医療関係者もそうだし、大きなカメラを持ったテレビクルーやら、この様子を生放送してるあらゆる動画配信者たちとかだ。

「凄い……」「そんなバカな……」「まさか本当に?」

 そんな声は医療関係者の人々である。彼らは現代医学を学んでるからこそ「奇跡」というものを簡単に受け入れることは出来ない。でもそれは仕方ないと草陰草案はわかってる。

 そもそもがいの一番に詐欺とか言ってきたのは医者の団体とかだった。「そんなことがこの現代であり得る訳がない」――というものだった。

 でもそれは仕方ないよね――と草陰草案は思った。だってそれが今までの常識だった。不思議な力なんてのは物語の中だけの力でしかなくて、人を助けるのは医学という人類の知識だけ……みたいな考えだ。

 でもそんな医学団体も今やだんまりである。なにせ草陰草案の力がちゃんと人体を治療する……というのを実証したのも彼らだからだ。

 なにせ草陰草案は逃げも隠れしなかった。最初はそれこそ顔出しとかヤバそうだからやめてた草陰草案だが、そもそもが承認欲求が強い奴である。ちやほやされたいそんな女子中学生はすぐに顔を出して医学界に挑戦状をたたきつけた。

 自身の動画チャンネルを作って――

「そんなにいうなら、私の力を偽物という根拠と本物という根拠を示しましょう。あなた達が用意する患者を私が治してみせましょう。

 そして完治したかどうかの判断は貴方達に任せます。どうですか?」

 ――という挑戦状をたたきつけた。そしてそれを受けた医学会の方々……そして完膚なきまでに負けた。いや彼らはまだ経過観察中として結果を保留してる。確かに『完治』とするにはいったいどの段階で完治なのか? という疑問がある。

 骨折とかはそれが繋がったら完治で良いかもしれない。でも神経とかも傷ついて不自由が残ってたら? それは完治とはいえないと屁理屈いえる。

 それにもっと複雑な癌とか難病とかいうのは、それこそ一日二日では『完治』なんて言えないのは当然だろう。それを利用してる医学界は結構ボロクソにネットでは叩かれてる。

 なぜにそうなってるのかというと、その勝負の被験者になった方々が自身で配信とか、それか事情を説明して大手の配信者に接触して「自分は今、元気です。ありがとう聖女様」とか感謝を述べてるからである。

 そうなると……ね。そうなると確かに医学的には『完治』はしてないのかもしれない。なにせ再発する可能性はゼロではないからだ。

 でも現状、病気だった本人が草陰草案に感謝を口にしてる。元気な姿をみせてる。勝負がどうなったのか、世間には明らかだった。

 そしてそうなったら世界中の難病を抱える人たちがなんとか草陰草案を頼ろうとするのは当然だ。なにせ彼女はたった一つの希望。絶望の中に見えたただ一つの光の様なものだ。

 その感動の場面は、世界中で涙を生む。一つの配信はそれこそ何百万……何千万回・何億回って、それにスパチャもいっぱい。桁は億くらいが集まる――そんな世界最高の配信者の肩書もこの短期間で草陰草案は手にしていた。


転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 940

2023-10-25 08:56:06 | 日記

「一体何が……だ、大丈夫――」

「こないで!」

 ビクッとその声に兵士は動作を停止させる。ペニーニャイアンはおびえてる。男が怖い……なんて筈はない。なにせこれまで何人もの男をこいつは食ってきたはずだ。

 軟禁されてるといっても、それなりに快適な生活をさせてもらってるはずの彼女である。既に尋問は終わって、ペニーニャイアンから搾り取れる情報は搾り取れてる。

 それに……だ。それに今やこっち側には聖女である『ミレナパウス』さんがいる。そっちの方が協力的だし、さらに深い事を色々と聞いてるから、ぶっちゃけもうペニーニャイアンなんて必要ない……くらいである。

 過激派の中にはペニーニャイアンを見せしめのために公開処刑するべきだ――という奴らだっているほどである。なにせ……だ。なにせペニーニャイアンとそしてミレナパウスさんがくれた教会の内部の情報によって、自分たちがただの贄……それかただの家畜程度だとしか思われてないとわかったのだ。

 見せしめしてしまえ――というのもわかる話ではある。そしてペニーニャイアンはそれだけの罪を犯してる。なにせこれまで遊び半分で沢山の人達を殺してるからだ。

 そういう風に育てられた……と言ってしまえばそれまでだけど、実際都合のいい存在なんだ。なにせ巫女であるペニーニャイアンの上位互換のような聖女ミレナパウスがこっちに来たことで、どう考えても利用価値的にミレナパウスさんの方が高いのである。

 今のアズバインバカラじゃなかったら、口減らしの為にも教会の悪を象徴する存在、そして教会を恐れないという王の威勢の表明として公開処刑は実際にあったといえる。

 でも今のアズバインバカラはそれこそ私たちの技術によって水も食料も困らずにある。それに土地だって……だ。本当ならこの世界の土地は都市核が守れる範囲しか人は住めない。

 だからこそ、人口というのは制限されてしまう。まあけど、そもそもが物資が少ない世界である。そこまで爆発的に増えるなんてこともできなかったわけだ。

 でも今や、それらの制限がここアズバインバカラや近くのジャルバジャルではなくなってる。物資は私が作った施設が色々と生産してくれてるからね。

 だからかなりの人口を今はカバーできる。そして複数の都市核でこれまでよりも広い土地を確保できてる。砂漠の世界であるここはどうあっても物資不足から逃れられない世界だ。まあそれも過剰に教会が中央にだけ集約してるせいでもある。なにせ中央には太った奴らが多い。

 太れるほどに色々とあるということだ。それなのに他の街では皆ガリガリ……は言いすぎだね。この世界の人たちはあんまり食べてないのに、屈強な人たちがおおい。多分少ない食料でも効率的にエネルギーを吸収できるような体してるんだろう。それに元から筋肉質だしね。

 まあアズバインバカラやジャルバジャルはもうそんなことも心配する必要もないから、もしかしたらこれからはどんどん成長する奴が増えて身長も平均2メートル……とかになるかもしれない。わかんないが。

 異常なペニーニャイアンの様子に、動けないでいる兵士。すると彼女は声を絞り出すようにいうよ。

「お願い、勇者を……あいつを呼んで……」

「な、何を? あなたはそんな要求でき――」

「いいから、これは重要な事よ!!」

「ひっ!?」

 何もできない、魔法も使えない筈のペニーニャイアンだ。その体を使えば、兵士が組み敷くなんてたやすいはずなのに、彼はペニーニャイアンのいう事を聞くしかなかった。それだけその時のペニーニャイアンには迫力があったんだろう。

 それからほどなくして、勇者がやってきた。