UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力に目覚めた件 287P

2023-10-02 20:50:47 | 日記

「やばいことになった……」

 そんなことを言って、野々野小頭は頭を抱えてた。ちょっと前までは、友達の心配をして、さらにはこの世界には実は変な力らしきものがあるのかも? とか思い悩んでもいた野々野小頭だ。それの原因は大体が友達の草陰草案のせいである。そして今回の出来事もそうだ。

 野々野小頭はスマホを見てる。けど……スマホにはなんの得にもならない動画とかが流れてるわけじゃない。そこには今月のカレンダーが表示されてる。そこにはそこそこの予定が書きこまれてる。塾の日程とか、友達との約束とか……それから好きな動画配信者の配信スケジュールとかも組み込まれてた。

 そんな中に一つ……『収録』とかいうのがある。それを見て、野々野小頭はため息をつく。その時、スマホに通知が届いた。そこには写真でどっちがいいかな? という草陰草案。中二全開の服と、もう一方は中学生らしいけどちょっと大人っぽくいい感じの服だった。

『やっぱり番組的にはこっちかな? コンセプトにあってると思うし。ねーねーどう思う?』

 そんな風に既にテンションが上がり切ってる草陰草案。収録とか書いてるが、これは別にテレビに出る……とかではない。最近は学生は誰もテレビなんて見てない。せいぜい朝の占いくらいである。朝は野々野家では母親がテレビをつけっぱなしにしてるから、その時だけ見るくらい。

 野々野小頭も野々野足軽もスマホで動画は事足りてる。だからもしも町中でテレビにスカウトされたとしても……そんなのに靡いたり、テンション高く飛び上がったりはしない。それは野々野達だけではない。最近の子はそうなのだ。もうテレビへの憧れ……なんてのは薄くなってる時代だ。

 でも草陰草案はテンションたかくなってる。それは今回声をかけられたのが……いや正確には……

(まさか自分から売り込みに行くなんて……)

 そうなのだ。今回草陰草案は自身で動いた。いや、草陰草案ならしそうではある。そして実際やってしまった。本当に『力』って奴を手にしてテンションか上がってるってのもあっただろう。きっと彼女はその力を方峰に自慢したい!! と思ったんだろう。

 そこで思いついたのが、自身が登録してるオカルト系のYoutuberへのメッセージを送ること。さらに動画付きで……である。そんな事したって無意味――と思ってた野々野小頭だったが、予想外に反応が返ってきた。そしてあれよあれよ……と話は進んでいき、なんとチャンネル主演する運びになった……という訳である。

 しかもそれに野々野小頭もついてくことになった。……てか小頭はYoutuberに会うなんて反対である。何本かそのチャンネルの動画を見たがやはり動画では人となりはわからない。ネット上で知り合って会って、何か事件に巻き込まれる……そんなことはこの時代に沢山起こってる。

 でも草陰草案が止まるわけはない。それに今の彼女はやや自信過剰になってる。それもこれもあの『力』のせいである。回復系なのに、なぜにそこまで自信に成れるのか野々野小頭には謎だが、とりあえず説得は不発に終わった。なら……女子中学生が一人でいくよりは二人が良いだろうということで、野々野小頭も同行することになったんだ。

「でも女の子二人でなんて……」

 そこで野々野小頭は扉をみる。実際はその向こう……向かいの部屋である。そこには都合のいい男がいるではないか。いつも暇そうで、頼りにはならなそうだが、いう事なら聞いてくれそうな男である。野々野小頭は自身の兄を便利な男と思ってた。


転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 924

2023-10-02 20:43:00 | 日記

「おめえら、ちょっといいか?」

 仕事中、監督さんの声で皆の作業が止まる。汗を拭きつつその声に振り向くと、なにやら黒光りする監督の横に、鎧に身を包んだ仰々しい輩がみえる。勿論だけど軍の人らしいその人は帯剣してる。このクソ暑い砂漠であの格好は感心するが、なんか雰囲気がピリピリとしてるのを誰もが感じてた。

 たった一人しかここにはいないらしいが、その視線は厳しい。いや、その軍の人は普通にニコニコしてる。その証拠に別に俺たちよそ者の労働者に丁寧なあいさつをしてくれる。

「すみません皆さん。お仕事の邪魔をしてしまって」

 丁寧な言葉……だが、その瞳は一人一人を鋭く射貫くような視線だった。それに気づいてたのが何人いたかわからない。だが……少し嫌な感じはした。そしてそれから、一人ひとり昨夜の話を聞きたい……ということだった。なので再び仕事に戻り、呼ばれたらその軍の人の元へ言って話をする――ということが役目に加わった。

 それからは当然『どんな話をしたんだ?』とか『どんな質問された?』なんてのが先に軍の人の所に行った奴らへと質問が飛ぶ。それからわかったのはただ普通に会話をして、そして昨夜の行動をそこそこ詳しく聞かれる……ということだった。

 そして自分の番……仕事から抜け出して、幌が建てられてる建物までいく。日陰になってるそこは一応の衝立がおいてあって、作業員たちから見えないような配慮がされてた。まあでも、別に密室になってるわけじゃないから、通りがかればきっと会話は聞こえるだろう。

 でもそれでも何の問題もないんだろう。なにかやましい話をすることもない。

「それでは皆さん忙しいでしょうし、さっそくによろしいですか? 話の内容はわかってますよね?」

 そんな風に軍の人は言ってくる。彼もそこそこの人数に同じような事を言うのは面倒なのだろう。既に前の人たちからどんなことを聞かれるのかとか話が回ってる前提の話し方。なので、俺も普通に昨夜の事を話す。

 そして時々相槌を彼はうって、話に花をさかせていく。本当にそれだけだった。しいて言うなら、彼はとても聞き上手で話上手だった。相槌がうまいんだろう。ぽろぽろと会話が続いていく。気づくと色んな事を聞かれてた気がする。

「ありがとうございます」

 そんな彼の言葉がなかったら永遠に喋ってたかもしれない……そう思えるとはくらいにたった十分そこらの時間が楽しかったと思えた。