UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力に目覚めた件 286P

2023-10-01 20:10:44 | 日記

「あれは、病室でオカルトちゃんねるを見てたときだった」

 なんかキラキラとした回想の入りをする草陰草案。どうやら草陰草案にとってはその瞬間がとても感慨深い思い出になってるんだろう。それを否定するつもりもない野々野小頭は「さっさと要点だけいってくれないかな?」とか思いつつも何も言わずに話を聞くことにした。

「私は動画を見つつ、時々顔につけたガーゼをかいてた。でもね、なんか痒いのがおさまらなかったの。だからガーゼをとってカリカリしてたら血が出てきた」

「ちょっと何やってるのよ」

 野々野小頭はもっと自分を大切にしなさいっておもってるみたいだ。なにせこんなでも草陰草案は女の子である。顔に傷が残ったりしたら、困るだろう。それを友達だから、野々野小頭は諌めてる。

「大丈夫大丈夫、もう傷とかないから。ほら」

 そういって見せてくれたその場所には確かに傷なんてない。十代の綺麗な肌しか無い。

「それで?」

「流石に血が出たら怒られるかな? って思ってまずはテッシュで拭いたんだけど、なかなか止まらなくて、どうしようかって思ってたら、ポッケにいれてたあの石を握ったの。そしたらね……なんか暖かくて……なんだろうっておもって取り出して見てたら、なんか血がなくなってた。いや違うね。なんか傷がなくなってた。それでもしかしたらって思って、今度は腕のガーゼを取ってそれでやってみたの」

「で、傷がなくなったと?」

 そういう流れだよね? って感じで野々野小頭は口をはさむ。けどそれに対して、草陰草案は首を横に振った。

「ううん、なんにもならなかった」

「え? じゃあその石は関係なかったってこと?」

「ううん、そうじゃない。私もどうしてかなって思ったし、何かの間違いかともおもった。けどね。そんなわけない。だって本当にさっきあった傷がきれいさっぱりなくなってたもん。絶対に何か「力」が働いたんだって私は思った」

 実際、その現場をしらない野々野小頭は「気の性とか思うのでは?」とか考えるが、草陰草案は絶対になんらかの「力」が働いたって思い込んだらしい。

「だから私は治りかけた傷を更に傷つけて血を流した」

「馬鹿なの?」

「だって腕の方はもうほぼ治ってたし……でも大丈夫そのおかげで、力がわかったからね。やっぱり血が出ると石が光って、傷を塞いでくれたんだ。これはもう確信したよ。私には特別な力があるってね」

「いや、それはその石に特別な力があるよね? 草案ちゃんには無いよね?」

「やっぱり私は特別だった……ふふふ、ふふふ! すごくない!! 私すごくない!?」

 どうやらテンションアゲアゲな草陰草案には野々野小頭の常識的な言葉は届いてないらしい。


転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 923

2023-10-01 20:05:46 | 日記

ざわざわと路地に人が集まってる。仕事を終えて、風呂にも入って、仕事終わりに街に繰り出してるたくさんの人たちの一部でその騒動は起こっていた。

「何があったんですか?」

 先に野次馬になってる人に対してそんな風にきく。楽しい気分に水を差された感じだし、何やら嫌な予感? というものがしたのだ。たださっきまでとても気分良かったから、こんなことは見て見ぬふりをして、街の食い物やら飲み物やらを仲間たちと楽しんだって全然よかっただろう。

 そっちの方がきっと気分よく明日を迎えることができたはずだ。見なくたって、別に何の関係なんて彼らにはない可能性が高い。なにせこの町には来たばかり……誰にも恨みを買うなんてこともまだ起きようはずもないんだ。

 だから自分達には関係ないと割り切れたはずだ。でもなんとなく彼らはその野次馬に興味をもった。

「どうにも結構酷い死に方してたらしい」

「殺し……ですか?」

「この町で飢えなんてないからな……自殺じゃないのなら、そういう事になる。あんたたち、外から来た人たちだろ?」

「ええ……」

 そんな彼らを鋭い目つきでその人は見てくる。けどそれも一瞬ですぐに柔和な笑みになった。

「気をつけな。ここは比較的安全だが、それでもこんなことは普通にあるんだからな。一人にならないこった」

「そうですね。気を付けます」

 素直に彼はそう返した。普通に心配してくれてる……と思ったからだ。奥の方は沢山の憲兵がいてよく見えない。けど何やら馴れてるであろう彼らの空気は重そうだった。

 もちろん、話を信じるなら人死にが出てるのだ。軽口を叩きながら処理できるはずもないだろう。でも……それだけじゃないような……そんな空気だと感じた。

 けどそれを関係ない彼らまで引きずってても仕方ない。それに繁華街の方に戻ると、相変わらずのにぎやかさで、事件のことなんてすぐに忘れてしまった。

 それから数日……毎日仕事終わりに仲間たちと飲みに出てるわけだが、次第にその視線が気になるようになってきてた。なにせ彼らが街に繰り出すと周囲の人たちが見てる……ような気がする。そして何やら、元からアズバインバカラにいた人たちが避けてるような? そんな気がしてた。