Organic Life Circle

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食品添加物 <着色料>

2006年02月18日 | 科 学


今年もハロウィーンが終わって、やれやれほっと一息。でも子供が持ち帰った大量のお菓子を前に、どうしたものかと頭を抱える親も多いはず。裏返して内容表示を見れば、病気に対する抵抗力を弱らせたり虫歯の原因になる砂糖や、聞いたこともないような化学薬品の名前が並んでいる……。

スーパーマーケットの棚に並んだ数多くの食べもの。魅力的な包装やコマーシャルで、買ってみたい食べてみたいという気をそそります。でも今の加工食品には、保存料、着色料、発色剤、漂白剤など、数々の合成化学物質の添加が認められています。

毎日、普通の食事をしているだけで、平均約30種の添加物を口に入れることになり、その量は一人一日約11g、年間で4kgにもなるとか。意識することなく加工食品を食べ続けるのは、自分の体にどんな影響を及ぼすかわからない薬を、毎日毎日飲み続けるようなものなのです。

食品添加物は、見かけの食生活を豊かに便利にします。安い原材料を改良し、色・香りをつけ、味を整えて、長持ちさせます。しかし、それぞれの目的で使用される化学物質は人工的に合成されたものであり、食べ物としての歴史は非常に浅いのです。

たとえ添加物ひとつひとつの安全性が確認されていたとしても、長期間、多種多様な添加物を合わせて食べ続けた場合、体にどんな影響があるのか。その「複合汚染」についての研究は、時間もお金もかかりすぎるために、どこの国でもまったく手がつけられていません。

真っ赤なキャンディーや色とりどりのマーブルチョコなど、子供はカラフルなお菓子にひかれます。大人だって、いかにもよく漬かったように見える黄色いたくあんや「有機野菜がいっぱい!」なんてうたい文句の色鮮やかなふりかけに手がのびたりしませんか? 

まず、日常食べている加工食品の「内容表示」を見る習慣をつけ、気づかずに口にしている化学物質を知ることから始めましょう。今回は、添加物の中でも最も悪影響があるとされる着色料を取り上げます。

*着色料の英語名は、米国食品医薬品局 FDA(Food and Drug Administration)で使用される登録名で、北米で販売される製品の内容表示に記される。色素番号が日本名と異なる場合がある。


<赤色2号 Red No.2><赤色3号 Red No.3>

<赤色102号 Red No.102><赤色104号 Red No.28>

<赤色105号 Red No.105><赤色106号 Red No.106>

<黄色4号 Yellow No.5><黄色5号 Yellow No.6>

<緑色3号 Green No.3><青色1号 Blue No.1>

<青色2号 Blue No.2>

コールタールや石油から抽出されるアンニンを原料としている着色料で、食用タール系色素と呼ばれます。タール色素は、食品メーカーにとっては大変便利な食品添加物で、少しぐらい古くなった食品でも、変色せずに美しさを保つ魔法のような物質。

かまぼこ、ソーセージ、たらこ、ふりかけ、福神漬け、梅干し、缶詰チェリー、桜えび、たくあん、あられ、スナック菓子、和菓子、ゼリー、カレー粉、ラーメン、茶そば、清涼飲料水など広範囲に使用されています。

北米では、発ガン性が強い赤色2号は1973年に食品添加物としての使用を禁止されましたが、熟しても皮が黄緑色をしているフロリダ産オレンジの着色料としてはまだ使われることがあります。ちなみにカリフォルニア産のものは、もともと皮がオレンジ色なので使用されていません。

どの色素も発ガン性の疑いが濃厚で、アレルギー反応、慢性貧血、肝臓・腎臓障害、学習障害の原因になることがわかっています。

このうち赤色2号や104号、105号、106号、青色1号、緑色3号は欧米で既に使用禁止になっていますが、日本ではまだ使われているので、日本製の食品には要注意。日本から送られてきたカラフルな子供向けの米菓子には、「赤3、青1、黄5、黄4、赤102」とあきれるほど入っていました。


<カラメル色素 Caramel>

茶色のいかにも香ばしそうな色合いを出すので、コーラ、コーヒー牛乳、ソース、ふりかけ、スナック菓子、奈良漬けなど、ありとあらゆる食品に添加され、着色料の中で最も多く使用されています。

この色素は製造法により数種類あり、糖分を加熱して作るカラメル色素1以外は、亜硫酸やアンモニアの化合物などで色素を抽出しています。

これらの化学物質は長期間とり続けると神経系統を冒すのでしびれや麻痺の原因に、また、胃腸・肝臓障害、発ガン性の疑いもあります。ただし、内容表示に種類は明記されないので、私たち消費者には区別できません。


<コチニール色素 Cochineal><ラック色素 Lac>

オレンジ色や赤紫色のキャンディ、ジャム、ふりかけ、菓子などに使われています。コチニールは、南米のサボテンにつくエンジ虫を煮て色を抽出したもの。

ラックも東南アジアのラックカイガラ虫の分泌液から抽出したもので、本来は繊維の染色用でした。普通では食べたりしない昆虫から食用色素を取ることには、かなり抵抗感があります。天然添加物とされていますが、染色体異常を起こす疑いがあるので、妊婦は特に避けるべきでしょう。


<アナトー色素 Annatto>

にんじんのような赤みがかった黄色の着色料。チーズやバターなどの乳製品、マヨネーズ、菓子、魚加工品、アイスクリーム、ふりかけによく見かけます。

昔は、南米、アフリカなどのベニの木の種皮から抽出していましたが、天然抽出物は大量生産に向かないうえ不純物も多く、製品を安定させるために別の添加物が必要になるので、いまは同系の化学構造をもつ色素が合成されています。そのため遺伝毒性の疑いがあり、長期に取り続けると胎児に影響が出る可能性があります。


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日本では、1995年以降、天然と合成の区別はなくなりました。現在ではそれぞれ既存添加物、指定添加物と表示されています。この他にもクチナシ Gardenia、紅麹 Monascus 、パプリカ Paprika など原料が天然のものが多数ありますが、危険度はその色素を抽出する薬剤によって違います。

水で抽出するものもあれば、エチルアルコールや亜硫酸、アンモニアなどの化学物質によるものもあり、従来から使われているという理由だけで毒性試験が行われていないもの、安全性がわからないものも数多くあります。

いずれにしても高度に精製された薬剤であることには変わりがありません。 天然色素 natural colour だからといって安心はできないのです。

また、日本からの輸入食品には、貿易会社が作った英文の内容表示が貼られていますが、記載漏れや、かなり省略して単に「colour」としか表示されていないことがあるので注意が必要。

これは添加物だけに限らず原材料についても言えることで、以前なにげなく手に取ったスナック菓子の日本語内容表示に、英文表示には記載されていないピーナッツを見つけました。アレルギーがある人はかなり注意する必要があります。

「?」と思ったら、お店の人にことわって、ラベルをはがしてみましょう。それよりなにより、疑わしくは買わず、ということでしょうか。

(石川まりこ)


*日本では下記の食品には合成色素を使用できない。

きなこ、カステラ、魚肉漬物、鯨肉漬物、こんぷ類、醤油、食肉、食肉漬物、スポンジケーキ、鮮魚介類(鯨肉を含む)、茶、のり類、マーマレード、豆類、みそ、麺類(ワンタンを含む)、野菜及びわかめ類(加工品は除く)。


<参考>

Food Additives(R.J.Taylor)(絶版:サークル文庫で貸出可)

自然食品(コンパ21編集部編/新泉社)

手づくりのすすめ(自然食通信社)

着色料安全度リスト
http://www.ea-gent.co.jp/ryohin/column/additive_02.htm    

オーガニック・ライフ・サークル会報
1997年11月号(No.2)掲載

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