師走です。今年もあっという間に月日が駆けていきました。この時期、パーティー、仕事納め、帰省、大掃除など、息つく暇も無いと思いますが、そんな時期こそ、しっかりと息をつき、呼吸を整えることが大切です。年末、家中を大掃除して福の神を迎えるように、私たちの体も気分すっきり新年を迎えられるよう、よい呼吸で体内の「気」を大掃除することをお勧めします。
今年一年の仕事や育児の疲れ、ストレス、病気、ネガティブな思いなど、自分では感じていなくても、それらが積もりつもって、いつの間にか「邪気」となり、体内の気の巡りを悪くしたり、その人が持っている本来のパワーを発揮できなくさせていることがあります。
本来人が持っているパワーやエネルギー、つまり元来の気に満ちている人は「元気」です。元気な人はいつも若々しく、溌剌としています。そのような人は、本来の「元の気」が沢山あるだけでなく、普段から無意識のうちにいい気を外から体内に取り入れ、気を上手く循環させているので、邪気が留まっていかないようです。以前、子供はエネルギーの塊みたいだなぁ、と感心している時、子供の頃は元気に満ちていて、体内に邪気が溜まっていない。だから子供は「無邪気」なんだ、ということを本で読みました。その時、言葉の意味への驚きと共に、大人になっても無邪気に近い心身でありたいと気功に取り組んだことを覚えています。
では、早速、「気」で体の大掃除をやってみましょう。自分が心地よく出来る姿勢であれば、座っても、仰向けで寝ても、さらに立っておこなっても構いません。呼吸法はあまり難しく考えず、短い時間でもいいので、出来る限り落ち着ける空間で行うことと、以下のいくつかのポイントを参考にしてみてください。
・ 吸うときはお腹を膨らませ、吐くときはお腹をへこませます。
・ 実際は鼻から吸って、口から吐きますが、頭のてっぺんから息を取り込み、
背骨を通って、お腹を膨らませて気を満たし、
その気を今度は足の裏からすーっと抜くようなイメージで吐くと、
比較的簡単に気の通りを感じられます。
体の隅々まで、細胞のひとつひとつに行き渡るようなイメージで息を吸います。
・ 一旦、全身に気が巡ったことを感じたら、調子の悪い箇所、
病気や怪我をした箇所、痛みや凝りを感じやすい箇所に意識をおいて、
そこから詰まっている悪い気・「邪気」を追い出すようなイメージで息を吐いてください。
・ 新鮮な気で体内の邪気を吹き飛ばしながら、どんどん体の中が
浄化されていっているイメージで、何度か呼吸を続けてください。
・ 吸うことよりも、吐くことに集中します。しっかり吐ききると、
そのあとで自然に空気が入ってきて、その空気を全身に広げていく
イメージだけで簡単に良い気が体に巡り、息も長く続きます。
中国語で「以幻引真」という言葉があり、文字通り想像や幻想を以て真(まこと)を引き出したり、現実に変えたりするという
意味ですが、気功では、呼吸法の大切さと同様、このイメージ力そのものも、実際に効果を得るために非常に重要です。
このイメージを使った呼吸法は、年末だけでなく、普段からコツコツやっていると、毎日の疲れやストレスを溜めず、気の流れがよくなるので、血流をよくし、余分な水分も排出されやすくなり、病気にかかりにくい丈夫な体質になっていきます。
実際、呼吸の上手い下手は二の次にして、やる前、やっている時、やり終えたあとに心地よさを感じることが大切です。始める前は、「さぁ、いまから気で心身共にきれいにしよう!」と純粋な心で臨み、おこなっている途中は、「あーっ、今、きれいになっていっているわ!」と実感し、終わったあとは、「わぁ、体の内側からキラキラ輝いてるわ!」と全身がきれいになった自分を心から喜んで下さい。実際に、邪気によって滞っていた気の巡りがスムーズになるだけでなく、体や頭が軽くなったことを体感したり、細胞から息吹が感じられたり、とても明るい気分になったりします。
さぁ、これであなたも魅惑の変身! 生まれたばかりの赤ちゃんのように無垢で、乙女のようにピュアで素直な心を持ち、野原を駆け回る子供達のように「無邪気」です。今年の邪気は来年に持ち越さず、気分スッキリよい新年をお迎え下さい。
(曽 秀峰)
<参 考> 「気功革命」(盛鶴延/星雲社)
オーガニック・ライフ・サークル会報
2005年11・12月号(No.65)掲載