日本人研究者が開発した、光を当ててがん細胞を攻撃する新しい免疫療法の臨床試験(治験)が3月にも始まると、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)が明らかにした。口腔内カメラ
対象は 頭頸部とうけいぶ がんの患者で、安全性を確認するために少人数で実施される。計画している米国のベンチャー企業アスピリアン・セラピューティクス社が昨年12月、医薬品医療機器総合機構に治験届を提出した。「光免疫療法」と呼ばれるこの治療法は、米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員が開発した。根管長測定器
小林氏らは、テレビのリモコンにも使われる近赤外線を当てると化学反応が起きる物質を発見した。治療は、がん細胞に集まる「抗体」と呼ばれるたんぱく質にこの物質を付けて、体内に注入。がん細胞に集まったところで近赤外線を照射する。光が当たった物質が化学反応を起こし、がん細胞の膜を破って攻撃するという仕組みだ。
米国では2015年に治験が始まり、手術や放射線療法などで治らなかった首や舌などのがん患者8人のうち、7人で少なくとも一時的にがんが縮小した。このうち3人はがんが消え、治療後1年以上たっても生存している。
治験を担当する同病院の土井俊彦副院長は「食道や大腸など様々ながんに応用できる可能性があり、できるだけ早く治療法として確立したい」と話している。
がん治療に詳しい放射線医学総合研究所病院の岡田直美・腹部腫瘍臨床研究チーム医長の話「どんな細胞でも、膜に穴を開ければ殺せるという発想は画期的で、効果や安全性も期待できる治療法だ」